17:会いたくて


「………」


「ユーマ、しっかりしろ」


「…おう。」



呆れたようなルキの声に返事はするものの、机に突っ伏したままの俺の身体は動かない。
花子と距離をとる事になって約一か月。
ガチで何もすることがなくて暇を持て余してしまっている。


家庭菜園はきっちり管理はしているのだがホントにそれだけだ。
いかに今まで花子中心の生活をしてきたのかを思い知らされてしまい
正直…うん、今ここに花子がいないってのが淋しくて仕方なえぇ。



「なぁルキ…花子、毎朝起きれてっかな?メシもちゃんと食べてっかなぁ…」



「………ユーマと出会う以前、彼女はどうやって生きて来たというのだ」



「…そうなんだけどよ。」




正論だ。
正に正論様ってやつだ。
俺と出会う前まではちゃんと花子一人で生きて来れてただろう。
だったら今俺が心配する事は何もない。
…何もない、はずだ。




「…花子、淋しがってねぇかな。」



「はぁ…直接は会うなよ?」




小さく呟いた俺の言葉にルキが静かに扉を開けてGOサインを出してくれた。
それと同時に弾かれた様に俺は全速力で花子の元へと駆けだした。
後ろからまた溜息が聞こえたけれどそんなの関係ない。
直接会わなくてもいい。大丈夫。
只…只…



遠くからでいい、花子に会いたい。




「い、一か月ぶり。」




ぜぇぜぇと肩で息をしながらも彼女の元へとやって来た。
けれどちゃんと気づかれないように距離は取っている。
確かもう仕事終わってる時間だから家にいると思うんだが…


ガチャリと扉が開けば花子がのっそりと出てきたけれど
当たり前だが自身の足で立っている彼女に感動する。
すると花子はそのままフラフラと何処かへ歩いて行ってしまう。
…今は夜中だってのに、どこ行くんだアイツ。



ガチで心配になってそのまま後を付けていけば辿り着いたのは少し離れた場所にある花畑だった。
辺りは真っ白な花が咲き乱れている。



「あー…」



辛うじてデカ過ぎる自身の体を隠して彼女を見守っていれば
彼女の口から長く息を吐くと同時に出た何の意味も持たない単語。
あ?なんか…ちっと様子が変じゃねぇか?



「花子?」



思わず出た彼女の名前。
瞬間花子の右手に見えたギラリと光るものに背筋が凍った。



戻る


ALICE+