不自然長男


「いやぁうんうん、花子すごく強くなったな俺は嬉しい。」



「…嘘つけぶっとばすぞニートここから出せ。」




花子に締め出し喰らって扉の前でめちゃめちゃ叫んでたらどっかの逆巻のニートが現れて
そのまますげぇ力でずるずるとここまで連れて来られちまった。
目の前には馬鹿みてぇな豪華過ぎるベッド。中には勿論クソニート。
そしてさっきから俺が掴んでるのは鉄格子。




「なぁぁんで彼女に捨てられかけて傷心な俺が逆巻邸の地下牢にぶち込まれなきゃなんねぇんだ出せ!!そんでわざわざベッドここまで持ってくんなクソニート!!囚われの俺がそんなに面白れぇか!!!」



「お、俺だってエド…ユーマを監禁するなんてこんな酷い事したくな…ぶふぉ!」



「嬉しそうだなオイ!!!だろうな!!これだからお貴族系無気力ドSはキライなんだよ!!!」



がちゃがちゃと格子を派手に揺らせばベッドの中で声あげて笑い転げるニートに青筋が浮かびまくる。


くっそ!どーせ騒いでた俺がうるせぇから花子の馬鹿がニートに連絡しやがったんだ相変わらず仲良しかよクソが。
そんなムカツクニートが一通り笑った後にしみじみと嬉しそうに俺の顔を見る。
意味分からず怪訝な顔をしていれば紡がれたのは花子の保護者じゃねぇのかみてぇな言葉。




「…うん、花子もアンタも幸せそうでよかった。」



「今そんな幸せそうなユーマ君は花子に捨てられそうな挙句閉じ込められて半泣きだけどな。」



「くく…っあんたホントにそう思ってんの?ふは…っふははは、おっかしぃ…ふふっ」



俺の正論な言葉に何故か再びおかしそうに笑うニートに首を傾げる。
あ?何がおかしいんだよクソが。意味わかんねぇ…
ひらすら笑うニートをずーっと睨んでればそのままもぞもぞとふとんの中に潜ってダンゴムシみたいになりやがった。
…おいおいおいおい待て。マジ待ってくれニート!!



「おいいい!おまっ、まさかこのまま放置すんのか!!!ふざ、ふざけんな!!出せよ!!何が悲しくて牢屋で一晩すご…聞けよニート!!」



「んぅ…うるさい。放置プレイはお気に召さないのか?……わがままだな。」



「放置プレイって何だよ!!俺が言うのもなんだけどすぐにエロに直結すんのヤメロドエロニート!!!」




ぎゃんぎゃんとデカい声で喚けば頭だけひょっこりふとんから出して不服そうなニートにガチギレする。
すると格子の間から一枚のシーツを差し入れてきた。
瞬間ふわりと香るのは俺を捨てそうな最愛のモノで…



「花子から借りてきた。…後数時間したら出してやるからそれまでコレぎゅってして寝てろ。」



「………いやいやそんなそんなふざけんなよこんなんで誤魔化されねぇんだからなシュウ君マジ感謝。」




久々に花子からこんだけ長い時間離れてたから正直この施しは最高に嬉しくて
目の前のニートに悪態着きながらも花子の香りのするシーツを素直にぎゅうぎゅうと抱き締めてれば
そのままアイツの事抱き締めてるんじゃねぇかって錯覚しちまうけど…
うん、花子はもっと柔らかくてあたたけぇ。





「……なぁニート。俺、花子になんかしちまったのか?花子はまた傷付いたのか?」



「………、」




ぎゅっと花子のシーツを抱き締める腕に力を込めて昨日からの不安を口にする。
俺には全く身に覚えがねぇ…でも花子が出てけとか、会社にも近付くなって言うくらいだ
きっと知らねぇうちに花子の事傷付けちまったんだろう。



…あんなに傷付けねぇって、守るって誓ったのに
俺ってどうしてこうなんだろう。




けれど俺のこの不安過ぎる気持ちを知ってか知らずか
目の前のニートは暫くポカーンとした後ニヤリとすげぇ意地悪そうな、でも少し嬉しそうな感じでその口元で弧を描く。



「んだよ…なにがそんなにおかしいんだよ。」



「いや?別に?…ああ、あっつ…あつい。どっかの馬鹿な野生児が花子の事好きすぎて此処の温度すげぇ上がった。」



ニヤニヤと意地悪な微笑みを崩さないまますげぇ恥ずかしい事を言いやがるニートにこっちが赤面だ。
うううううるせぇ!!仕方ねぇだろ!?
俺はどうあっても花子の事だいすきなんだよ!!


ボボボとひたすら顔を赤らめてればニートは携帯を取りだして何処かへ電話し始めて
暫くするとコチラに近付きガチャリと牢屋のカギを外してくれた。
おずおずと抜け出せばニートはすげぇ嬉しそうに笑う。




「気が変わった。保護者呼んだからあっちで待機してろ。今は絶対に花子には近付くなよ?」



「あ?保護者って一体…」



「はぁ…こんな所にいたのかユーマ…っと、何故地下牢にベッドがあるんだ。」




悪戯なガキみたいに俺に言い聞かせるニートの言葉に疑問を持てば
すぐさま扉の方から聞き覚えあり過ぎる声が聞こえて思わず青筋を立てながらニートに掴みかかる。



「おいクソニート、ルキは保護者じゃねぇわクソが。どう考えても兄貴だろうがふざけんなルキパパとか洒落になんねぇ。」



「え、ルキってお母さんじゃなかったっけ。」



「真顔で気色ワリィこと言ってんじゃねぇよ夏なのに鳥肌立った!!!!」



ガクガクと体を揺らしてものんびりぼやーっとしててもはや突っ込む気も失せた俺はルキとそのまま地下牢を後にした。
ったく…花子といいニートと言い、何だよ一体。




「ユーマ、後で逆巻シュウに礼を言わねばな。」



「あ?何でだよ。報復ならする気満々だけどな!」




やっぱり例に漏れずルキも何故かご機嫌で意味が分からず聞いてみれば
不意にズボンのポケットを指さされてしまう。
チラリと視線を向けるとそこに入っていたのはちいせぇボイスレコーダー



「あ?」



「逆巻シュウからの贈り物だ。受け取っておけ。」




いやいや受け取っとけって言われてももらう理由もねぇし
こんなの使うタイミングもねぇだろって思ってれば俺の考えが分かったのかルキはクスクスとおかしそうに笑う。



「そうだな…2日後、きっとそれは涙しながら使うと思うから大事に…な?」



「?お、おう…ルキがそう言うなら取っとくけどよ。」




やべぇ、今日はルキもちょっと意味わかんねぇ。
周りの不自然過ぎる態度に心んなかで全力で首傾げるけど
コイツらがおかしい理由が全然見当たらない。



…ええと熱さでおかしくなった、とか?



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