ネタ晴らし!!


んー…

ごろごろ


あー…


ごろろろろ




やべぇ、ガチで心当たりがねぇ。




家に戻ってきてからずっとベッドの上でゴロゴロと寝返り打ちまくって
花子が俺を追い出した理由を考えるけれど全然出てこねぇから
もう無理だって思ってガバリと起き上がり彼女の元へと殴り込もうと決意。
花子もニートも近付くなって言ってたけどそんなんじゃいつまで経っても解決しねぇ。



意を決して扉に手をかけた瞬間、いきなり外側から開いちまったから
スゲェ勢いで扉が顔面にぶつかってきてしまって勢いよく後ろに倒れてしまう。
くっそ誰だ!!ノック位しろよ!!!俺が出るの確認しやがれってんだ!!!



ヒリヒリと未だに痛みが走る鼻をさすってれば
扉を思いっきり開けた犯人、俺の兄貴がスゲェご機嫌に笑って俺の体を勢いよく起こす。




「ちょっとユーマ君何倒れてんの?貧血?」



「おめぇの所為だよコウ!!ドアはゆっくり開けやがれ!!!」




でけぇ声で詰めよってもコウは全然気にしねぇって感じでそのままぐいぐいと俺をリビングへと連れ出してしまう。
や、あの…俺花子のとこ行きてぇんだけど。
けれどそんな不満も扉を開けた瞬間一気に吹っ飛んでしまった。




「お誕生日おめでとうユーマ君!」



「おめでとう、ユーマ」



「ユーマ…おめで、とう…ふふっ」




そこで待ち構えていたルキとアズサがパーンとクラッカーを鳴らしてそんな台詞。
そして俺をここまで連れてきたコウも笑顔でおめでとうって言う。
あ、そう言えば俺のたんじょう…び。





いや、





いやいやいやいや




三人が俺の為に用意してくれた飾り付けやケーキ、うまそうなごちそうを目の前にして
俺は今世紀最大にいたたまれない気もちでやべぇ位視線を泳がしてしまう。




俺の!!誕生日!!!!明日なんだけど!!!!!!!!




で、でも目の前で嬉しそうな三人に「誕生日は明日だ馬鹿」とか言えねぇ雰囲気に嫌な汗が噴き出す。
ぐいぐいとアズサに背中を押されながら用意してくれたケーキの前に座らされちまうけど
俺は今すぐこの気まず過ぎるこの空間から逃げ出してぇ。




けれどそんな俺の泳ぎまくってる目を見てコウがニヤリと悪い笑みを浮かべて爆弾発言。




「ユーマ君、俺の誕生日明日だけどなーって思ってるでしょ。」



「はぁ!?べべべ別に思ってねぇし!!!そ、そうだ!!!こ、今年から俺の誕生は7月22日にカールハインツ様が変えたって言ったような言ってねぇような!!!」




的を得過ぎたその発言に裏返り震える声で訳分かんねぇ言い訳みたいの事をしていれば
ルキがその様子を見ておかしそうに微笑んだ。




「慌てるなユーマ。俺達もお前の誕生日は明日だと分かっている。…だが今年はこれでいいんだ。」



「は?」



「ユーマ…ケーキのろうそく、お願い事、言いながら…消して?きっと叶う…」




ルキの言葉の真意が掴めず首を傾げてれば
アズサがそんな可愛らしい迷信を口にする。
や、そんなどっかの国の迷信とか…



でも、うん。



俺はそんなくだらねぇモンでも今は必死に縋りたい。




「花子と仲直りできますよーに」



ぶっちゃけ俺はなんも悪い事してねぇと思ってっけど。
でも、このままずっとアイツに近付けないまま自然消滅だけは避けたくて
そんなクソ情けねぇ願いを言葉にして縋る思いで目の前の蝋燭を吹き消した。




ガチャリ。




「ユーマ君、よんだ?」



「…………は?」





蝋燭が消えた瞬間にドアが開いてひょっこり現れたのは数日ぶりの最愛で。
突然の展開すぎて俺の思考回路はビッシリと止まったままだ。
取りあえず言えるのは…うん。



無神ケーキの効果はハンパねぇ。




そんなバカな事を考えてる俺を花子がぐいぐいと引っ張って何処かへ連れ出そうとする。
未だに頭が付いて行ってない俺はそんな彼女にされるがままだ。
チラリと先程まで座ってた場所を見やれば俺がいた周りでルキもコウもアズサも嬉しそうに笑ってた。




「さて、家族との時間はここまでらしい。」



「あとは恋人同士の時間ってね!」



「ふふ…シュウさんが、気…変えてくれて…よかった」




え、
は?
んん!?




三人の言葉たちを必死に組み合わせて、ニートと花子の言動も全部合わせてみる。
すると次第に熱を帯びてきてしまう俺の顔、ってか体。




嘘だろ…
まじでか!!!
え、無理!!!嬉し過ぎて死にそう!!!




全てを組み合わせて出来たシナリオに俺は溺れて死んでしまいそうだ。




花子が俺を突き放したのは明日の俺の誕生日の準備をする為。
ニートが牢屋に閉じ込めたのはそんな花子のサプライズをきちんと遂行させてやるため。
ルキたちが一日早い誕生日を祝ってくれたのは当日花子が俺とふたりきりになるからで…




「ううううううううわああああああ」



「?ユーマ君、マナーモードになっちゃったの?」




ずるずると花子に引きずられながらも震えまくる声で変な声をあげちまえば
振り返ってきょとんとしちまう最愛を今すぐに抱き締めたいけれどそれは無理な相談だ。
だって今、左手は花子に引っ張られてるし…




右手は感動の涙を隠すのに精いっぱいの働きをしてしまっている。




「ユーマ君、顔隠してどうしたの?なんかあった?」



「……あった。ありすぎた。やべぇどうしよう。」





何が花子に捨てられるだ俺。
大馬鹿野郎かクソ。




花子、俺の事好きすぎるじゃねぇか。
この普段何もしねぇ駄目人間が俺の為にサプライズ…泣きそう。
泣いてるけど。




「くっそ、お前の行動だけでサプライズだわ馬鹿花子心臓止まる。」



「ユーマ君もともと心臓ないじゃん。」




未だにぐずぐずと涙を零しながら連れられるのは彼女の家。
俺の言葉に花子はおかしそうに笑う。
嗚呼、これから俺の誕生日パーティしてくれるんだって思うと涙の止め方さえも忘れちまいそうだ。




「花子、さんきゅーな」



「ユーマ君、それはまだちょっとはやいかな?」




感謝の言葉に困ったように笑う花子が
いつもの様に彼女の家の扉を開いた。



戻る


ALICE+