1:スキンシップじゃなくてセクハラです
「ふふふ、まさかライト君と一緒に登下校が出来るだなんて夢にも思わなかった」
「そ、そう…だね。」
「私今とっても幸せ。」
その会話だけを聞いていると仲睦まじいバカップルだろう。そして彼女はとても健気なように聞こえる。あくまでセリフだけを聞いていればの話だ。
「お、おい…大丈夫かよライトのヤツ」
「完全に怯えきってる顔ですね…」
アヤト君とカナト君が珍しいモノを見るかのような目でこちらを見ている。そりゃそうだ。今の僕はリムジンの中でぴっしり姿勢を正して顔を真っ青にしながらガクガク震えているのだから。
そしてその隣にはぴったりとくっついて可愛らしい笑顔を咲かせる僕の恋人花子ちゃん。
可愛い、とっても可愛いのだ。
…僕の太腿を撫でる手つきが異常にいやらしくなければ。
「ふふ…怯えてるライト君可愛い…昨日のアレが善かった?今度はもっと激しくしてアゲル」
「ひぃ」
ふぅーっと僕の首筋に息を吹きかけるとニッコリ微笑んで僕のトラウマを刺激する。
昨日の事なんて思い出したくもない。思い返そうとするだけで体がぶるりと震えてしまう。
というかもっと激しくってどういう事?花子ちゃん…
しまいには僕は彼女に壊されてしまうんじゃないかとさえ思えてくる。そしていやらしい手つきはだんだん僕の中心に向ってきているのに気付いて慌てて彼女の手を止めようと彼女の腕を掴んだ。
「あの、花子ちゃん…?これ以上はちょっとシャレにならないっていうかぁ…」
「ああ、ごめんなさい。」
僕に腕を掴まれ気付いたかのように謝罪の言葉をする彼女に一つ、安堵のため息を落とした。
―が、その溜息は次の彼女の可愛い笑顔と声に一掃された。
「兄弟に視姦されて感じるライト君って素敵だと思わない?」
しかも車内プレイだよ?ふふっ
「え、あ、の…花子ちゃ…」
「私、憧れてたんだよねー。恋人同士のスキンシップって言うの?」
その細い身体のどこにそんな力があるか分からないけれど
ガシィ!っと僕の肩を掴んでその反則級の笑顔が炸裂する。 逃げられない。そう確信して僕の今夜一番の悲鳴が車内にこだました。
「こ、これはスキンシップじゃなくてセクハラだからねぇぇぇぇぇ!!!?」
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