4:食べちゃうぞが冗談に聞こえません


「わぁ今日もおいしそうなごちそうですね!流石レイジさんです。」



「当然ですね。」



花子ちゃんに褒められてまんざらでもないレイジがムカつく。
なんだよ!花子ちゃんはぼくのなのにさ!その二人のやり取りが面白くなくて、ぶーっとむくれているとふにっと花子ちゃんの人差し指が僕のほっぺを押していて
彼女はへにゃりと笑うのだ。


「ライト君、怒っちゃいや。笑って?ね?」



「誰のせいで怒ってると思ってるのー?もー。」



でもそんなキミの顔が可愛くて愛しくてさっきまで渦巻いてた嫉妬はあっという間に溶けていて僕は何事もなかったかのようにレイジの作った晩餐を口にする。うん、やっぱりレイジのごはんはおいしいや。

「ふふ…おいしいね。」


「花子ちゃん可愛い、これもあげる。はいあーん。」


手近にあったソーセージを彼女の可愛いお口に放り込むと嬉しそうにほうばっていて、その姿はまるで小動物みたいでとても可愛らしい。



「ライト君のソーセージおいしい」


「シモネタかよ花子」


「…ちょっとアヤト君。」


折角いい雰囲気なのに台無しじゃないかぁ。
僕の不満げな溜息をじっと見つめていた花子ちゃんはその顔をアヤト君に向けて真顔でこう言った。



「噛み千切っちゃったらライト君、女の子になっちゃうね。」




………ぞわっ。


多分今この場にいる花子ちゃんとビッチちゃん以外は全員縮み上がっているだろう。何処がとは言わないがそれはもう確実に。



「まぁ私は別にいいけど。女の子同士って禁断の香りがするし」



バリッ!



花子ちゃんは自分のお皿に乗っていソーセージを食べながらニコニコしていた。僕はひきつった笑顔を浮かべ、カタカタと小刻みに震えながらも言葉を口にした。



「ぼぼぼぼぼ僕としてはちゃんと男の子のままで花子ちゃんと愛し合いたいなぁ〜…なんて…」



「…そう?ざーんねん。って、ライト君、ソーセージ食べないの?」




“だったら私が食べちゃうぞ?”


その言葉に全員が青ざめた。
食べちゃうぞが冗談に聞こえません花子ちゃん…


それから暫く、逆巻家の食卓にソーセージが並ぶことはなかった。



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