アヤト君の場合
「アヤト君最近たこ焼き食べてないみたいだけど、どうしたの?」
「おう、ちょっと欲しいモンがあってな。」
へぇ、アヤト君にそんなものがねぇ…珍しい。
まさか好物のたこ焼きを我慢するまで欲しいモノが彼にできるだなんて思ってなかったのでちょっとびっくりだ。
「ねぇねぇ、欲しいモノってなに?」
「あ?んなもん花子に教えるかっつーのばーか!」
私の純粋な問いに意地悪な顔でそう吐き捨てれば何処かへ行ってしまうアヤト君。
最近こんな感じでちっとも構ってくれない。
正直彼氏として失格だと思う。うん。
「淋しいんですけど…」
小さな私の独り言は、ぽつりと暗闇に消えていった。
「え、何これ…」
次の日目を醒ませばベッド、部屋、所構わずプレゼントの山山山。
私の足の置き場がない位敷き詰められてて呆然としてしまう。
え、一体どういう事だろうこれ…
オロオロしてると不意に部屋の扉が開かれて
ひょっこりまた沢山のプレゼントボックスが顔を出す。
「お、起きたか花子!」
ひょっこりとプレゼント達の中から現れたアヤト君に驚いてしまえば
そんな私のリアクションに悪戯が成功したかのような無邪気な微笑みの彼。
どうやらこの大量のプレゼント達は彼の仕業のようで…
「あ、アヤト君…これ一体どうしたの?」
「ったく、今まで大変だったぜ!」
私の問いに盛大にため息をついて、やれやれといった様子でボフンとベッドの端へと腰かける。
そしてそのまま指折り今日までの彼の苦労が語られる。
「たこ焼きもエロ本も我慢だろ?シチサンメガネのお使い、カナトのパシリ、ライトの女漁りに協力、ダル男の介護、スバルの部屋の修理!」
「え、な、なんで?」
訳が分からず聞いてみればわしゃわしゃと頭を撫でられてしまった。
最近構ってもらえなかったから久々の感覚に胸が締め付けられる。
けれど次の台詞で私の心臓はぐしゃっと鷲掴みにされてしまう。
「花子へのプレゼントの為に頑張ったんだっつーの!」
…そう、今日は私の誕生日だ。
どうやら今まで構ってくれなかったのはこの日の為にプレゼントを用意するのにみんなの用事を請け負ってお小遣いを溜めていたからのようで…
大好きなたこ焼きとえっちな本も我慢してくれてたみたい…。
嬉しくてじわりと涙を浮かべれば「泣くのはまだ早ぇ!」って怒られてしまい、ビクリと体を揺らしてしまっていれば
彼は徐に自身の髪の色と同じ真っ赤なリボンを取りだしてそのまま首へと巻きつけた。
完成したのは不格好なリボン結び。
けれどそれとは対照にどこまでも格好良いアヤト君はこう言った。
「最後のプレゼントはこの俺様だ。返品はしてくれるなよ?花子」
「〜!返品なんて絶対しないよ!だいすきっ!」
もうこの最高の誕生日の演出に遂に涙腺は崩壊してしまって私は感情の赴くままアヤト君に抱き付いた。
彼氏失格なんて思ってごめんね、アヤト君。
貴方は最高で自慢の私の彼氏だ!
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