スバル君の場合


「えっと、ごめんねスバル君。」

「………うぜぇ。」


「あああああ…」


どうしよう、これ完璧に拗ねてしまってる。
私は今すごく不機嫌なスバル君にぎゅうぎゅうと抱き締められて身動きが取れない。
それもこれも全て私が悪いのだけれど…


すっかり忘れていたのだ。
自分の誕生日というモノを。
そしてそんな私をクラスの友人がサプライズで祝ってくれて…

純粋にそれが嬉しくてはしゃいでいたらスバル君と鉢合わせてしまい、怒りに満ちた顔でこちらを睨みつけてその場を去ってしまったかと思えば家に帰ってきた瞬間彼の部屋に引き摺り込まれて今に至ると言う事だ。


「…何で彼氏の俺が花子の誕生日一番に祝えねぇんだよ。」


「あれ?そんな事気にしてるの?」


「そんな事だと!?大事な事だろ馬鹿花子!」



意外な言葉にそのままの感想を述べれば酷く怒られてしまった。
全く、別にいいじゃん誕生日位さ…


「ヴァンパイアは永遠を生きるから誕生日とかどうでもいいんじゃないの?」


私の言葉に顔を歪めたスバル君はそのまま私の額に思いっきり頭突き。
い、いたい!今ゴチンって音したけど!?
彼女に頭突きってどういう事!?

涙目で彼を睨みつけるも、彼だって負けてなくて
じっと私の顔を睨みつける。


「花子の誕生日は全部俺が一番に祝いたいんだよ!大切な奴だから!」


「な、はぁ!?」


大きな声でそんな恥ずかしい事を叫ぶから
私も素っ頓狂な声をあげてしまう。

そんなそんな、いつも私が恥ずかしい事言ってスバル君が顔を赤くするのがセオリーなのに
何で今日に限って私が赤面してる訳?


「好きな奴の特別になりてぇんだ俺は…なのに、今日の誕生日…クソっ」


「う、うん…そ、そう…」


「…んだよ、ソレ。」


彼の腕の中でブルブル震えながら両手で顔を覆う。
無理無理。これ以上スバル君を好きになったら耐え切れずに死んじゃう。
そんな必死な私の脳内を知ってか知らずか彼は更に言葉を続ける。


「なぁ花子、来年リベンジさせろ。いや、これから先ずっと予約しとくから誕生日は0時になったら絶対俺んとこ来い」


「…ハイ私死んだー。」


もう彼の言葉に私の乙女心のバロメーターは勢いよく降り切れて
彼の背中に腕を回してぎゅうぎゅうと力いっぱいに抱き締める。


「知ってる?スバル君。さっきの台詞、どう考えてもプロポーズなんだけど。」


「………は?はぁぁぁぁ!?」


私の言葉にようやくスバル君が赤面する番が来た。
そんな彼にニヤリと口角を上げてたくましい胸板に頬擦りすればビクリと揺れるからだ。


「ああもう、スバル君がプロポーズしてくれるなんて思わなかったよぉ。シアワセにしてね?きゃ★」


「…っ!…っ!」



もう言葉さえ出ないのか、林檎の様に真っ赤になって口をパクパクしているスバル君が可愛くて精一杯背伸びして自分から彼にキスをした。
すると徐にどこからかブツンと不気味な音。


「おい、花子」


「え、何、スバ…ぅわ!」



いきなり姫抱きをされてしまい驚いていればそのまま突き進む先に見えたシーツの海。
あれ?この展開はヤバい奴じゃないだろうか。
ぶわわと全身に冷や汗が走るけれど意地悪な微笑みのスバル君に何も言えない。


「責任、しっかり取って幸せにしやっから…な?」


「な?じゃないよね!?何する気!?ちょっとスバル君!?」


いつもの純情ボーイはどこ行ったよ!?
慌ててじたじた暴れてみれば熱くて深いキスで全身を痺れさせられてしまう。



「俺だって男なんだ。分からせてやんよバーカ」



ええと、これはつまりこれから毎年誕生日は腰立たなくなるって言う宣言か何かなんですかね?
そんなふざけたことを考えながらもいつも以上に格好いいスバル君にぎゅっと抱き付いた。



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