アズサ君の場合


「ど、どうしたの?アズサ君…」


「えっと…」


仕事から帰って来てみれば部屋の中央に座り込んでいるアズサ君。
両手は可愛らしいリボンで縛られておいておぞおずと此方へ寄ってくる。


「花子さん…今日、誕生日…でしょ?」


「う、うん。そうだけど?」


彼の言う通り、今日は私の誕生日で
職場の人にも祝われて両手に沢山のプレゼントを抱えている。
それとこのアズサ君のとんでもない可愛い状況と何の関係があるのだろうか?


「花子さんに…プレゼント、あげたくて…コウと、ライトさんに…きいたら…こうなって、」


…どうしてその二人に聞いちゃったのかな?アズサ君。


取りあえず明日その二人を気が済むまでと言うか気が済んでも尚殴りつけようと心に誓いつつ
彼を縛り上げてるリボンを解こうとすればひょいっと腕を上げられて逃げられる。

どうしたのかと思ってアズサ君の顔を見上げれば拗ねたようなふくれっ面。


「ダメ…今日の俺、は…花子さんの…プレゼント、だから…」


「うえええんアズサ君意味わかってるの〜!?」


可愛すぎる発言にもうどうしようもなくてその場にへたり込んでしまえば
アズサ君もひょいっとしゃがみ込んで私の顔を覗き込んでくる。
そしてもうマイナスイオン出ちゃうんじゃないのかって位可愛くて癒される笑顔。


「わかってる…俺は花子さんの、もの…なんだよね…?」


「うん、うん…そう、だね。」


今両手の自由がきかないアズサ君は代わりにと
私の頬にすりすりと頬擦りしてくる。
やめてください。本当にやめてください。襲ってしまいそうです。
女としてのプライドをかなぐり捨ててしまいそうです誰か私を止めてください。


「ああ、でも…」


「ん?アズサ君…?」


不意に何かに気付いたのは寄せていた頬を離して、くてんと首を傾げてしまう。
そしてキョトンとした顔で固まってしまったアズサ君を今度は私が覗き込む。


「それじゃぁ…花子さん、毎日…誕生日だ…」


「どういう事?」


彼の言っている意味が分からなくて私も一緒に首を傾げれば不意に重ねられた唇に唖然としてしまう。
そしてそんな私を見て無邪気に彼は微笑む。


「だって…俺は、いつだって…花子さんのモノ、だもの…ね?」


「…よし、アズサ君ベッド行こう」


そんな言葉を紡がれてはもう理性とかなかったものになる訳で。
ぶっちゃけ女だからーとかそんな可愛い事言っている余裕もない訳で。

未だに意味の分かっていないアズサ君をぐいぐいとベッドへと連れていっている途中に彼が不意にぽっぺにキス。
びっくりしてアズサ君を見ればもう本当に可愛い笑顔。
…あれ、彼女ってどっちだっけ?


「花子さん…おたんじょうび、おめでとう…だいすき」


「わ、わた…わた…わたしも…だい、すき…」



嗚呼、もう。
この可愛すぎるアズサ君の笑顔に免じて変態とアイドルを殴るのはやめよう。


お礼を言いながら心置きなく蹴り続けてやる。



「アズサ君、最高のプレゼントありがとうね」



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