レイジさんの場合


「ご、ごめんなさいレイジさん…」


「今日という今日は許しません」


かれこれ数時間…
私はレイジさんの前でびしりと正座させられて固まってしまっている。
目の前の愛しの彼はもう本当にご立腹のようで…目が合わせられない。



「全くいつもいつも残業残業残業と!夜道を帰る時は私を呼べと何度言えば!」


「だ、だってレイジさん寝てたらいけないと思って…」


「花子さん?私は吸血鬼なのですが?」


うぅ…それはそうなんだけどさ。
なんだか夜に電話とか申し訳ない気がするし、そもそも迎えだけで夜中呼び出すとかどうなの?って思うのよ。
するとレイジさんが盛大な溜息をつく。


「貴女はもう少し女性であると言う事を自覚すべきです。夜に一人で帰宅など…襲われてしまってからでは遅いのですよ?」


「いやいや、こんな不細工誰も襲いませんし。」


「ほう…それはつまり遠まわしに私の美的センスを貶していると言う事になりますが今の発言は撤回しなくて宜しいですか?」


「あ、ごめんなさい撤回しますスイマセン私美し過ぎるこの世の罪ですね」


漆黒よりも黒いんじゃないかと言うどす黒い微笑みで凄まれてしまい
必死に弁解をしていれば徐に彼は懐中時計を取りだして時間を確認する。
そしてどうしてか突然私の前に跪いて唇に噛み付いてきた。


突然の出来事に私は只々固まるばかりである。



「お誕生日、おめでとうございます。本日も残業と聞いておりましたので、一番に祝えないのではないかとハラハラしておりましたよ。」


困ったように微笑んで私の手を取って立ち上がらせる。
勿論数時間も正座させられていた私はうまくたつことが出来ずそのまま彼の胸へと倒れてしまう。


「おや、本日のお誕生日様は随分と積極的なご様子で」


「え、ちょ、ちが…っ!んぅ…」



否定の言葉は彼の唇によって遮られてしまって
そのまま抱き抱えられてベッドへと放り出されてしまう。
身の危険を感じて逃げようとするけれど足がうまい事動かない。


「ちょっと待ってレイジさん、今日私の誕生日ですよ。お祝いとかしてくれないんですか!?」


「えぇ、勿論この後腕によりをかけて食事を作らせていただきますよ?でもその前に…」


ちゅっちゅっと、何度も何度も唇や首筋にキスをされてしまって
私はもう甘い声を出す事しかできない。
彼はそんな私を見やり、美しく妖艶に笑う。


「ひとつ大人になった貴女を味わわせて…?」


耳元で、何処までも低く甘い声色でそんな事…
これから先も彼にとっての極上の身体と血と心でいようと誓いながら
観念してレイジさんの首に腕を回した。



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