溺愛〜ライト君の場合〜
「僕は今までの自分の行いを生まれて初めて後悔したよ。」
「ど…どうしたのライト君。」
普段の飄々した雰囲気はなくて、ちょっと真剣な彼の眼差しにドキリとしてしまう。
一体どうしたのかなぁ…なんて、考えていれば恐る恐る頬に触れる彼の右手。
「ライト君?」
「僕はね、今まで沢山の女の子に優しくしてきたつもり。」
ゆるゆると撫でられる冷たい手は心地よく、思わず目つぶる。
いつもならこのままキスを落としてくるのに今日は一向にその気配はない。
不思議に思って目を開けれれば視界に入って来た悲しげな彼の顔。
「でも花子ちゃんは違うんだ。」
「え…?」
彼の言葉を理解することが出来なくて思わず聞き返せばようやく触れる唇。
今日のライト君はどこかおかしい。
ようやく降って来たキスだっていつもの深いモノじゃなくて触れるだけの可愛いものだ。
そしてぎゅっと、優しく壊れ物を扱うかのように抱き締められる。
「どうしたらいいのかなぁ…他の女の子達と同じじゃ嫌なんだ。」
「どういう事?」
こつんと触れた額。
綺麗に整った眉をはの字に下げて困ったようなしょんぼりしたような表情はとてもかわいい。
「ねぇ、花子ちゃん。僕はどうしたら君を世界で一番しあわせに出来るかなぁ?」
「しあわせに…って、」
戸惑う私に対して小さく息を吐いていつも通りおどける彼。
けれど困った微笑みは今だに崩れることはない。
「分かってるよ?ちゃんとした愛を知らない僕がそんなオカシイ事って、でも花子ちゃんだけはどうしても僕の手でしあわせにしたいんだよねぇ。」
徐に私の前に跪いて手を取りキスをするライト君はまるで王子様のようでどきりと心臓が跳ね上がる。
「僕は悦ばせる術は知っていても喜ばせる術を知らない。」
悲しいそんな言葉。
自嘲気味に笑う彼は王子様であると同時に道化師だ。
私をしあわせにしたいだなんて、そんな言葉。
その場にしゃがみ込んでライト君に視線を合わせてそのまま私を写す綺麗な翡翠の瞳にキスをした。
「花子ちゃん?」
「なら一緒にその術を考えようか。」
微笑めばくしゃりと嬉しそうに笑ってくれる彼につられて私も笑う。
ライト君は気付いていないかもしれないけれど、今この瞬間私は人生で一番幸福を感じている。
愛おしい人が私の為にこんなに一生懸命悩んでくれているだけで私の心は満たされるのだ。
「一緒に考えて、一緒にしあわせになろう?」
愛をしらない貴方とでも、ううんそんな貴方だからきっとこの世で一番素敵な愛を見つけることが出来ると思うんだ。
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