溺愛〜レイジさんの場合〜


「……………」


「どうしましたか?花子さん。先程から私の顔ばかり見つめて…」


難しい本を読んでいたレイジさんが私の視線に気付いてこちらを向いてくれた。
パタリと閉じられた本に静かに勝利宣言。
何だかんだ言って私を優先してくれるレイジさんが大好き。


「ええっと、レイジさんの眼鏡姿って相変わらず格好いいなぁって…」


「いつもの姿ではないですか。全くおかしな事を…けれど嫌な気分ではありませんね。」


へにゃりと笑って本音を言えば困ったように微笑んだ彼に思わず見惚れてしまう。
ああ、やっぱりレイジさんって素敵。

すると不意に彼の両手が私の頬を包み込んでずいっと近付いてくる綺麗なお顔。
条件反射と言わんばかりに沸騰する私の顔。
それを見てレイジさんは意地悪に笑う。


「ホラ…もっと見て?貴女の好きな私を、その瞳に映してください」


「レイ、ジさん…」


どきどき、心臓が凄く大きな音を立てている。
レイジさんに聞こえちゃってるんじゃないかなぁなんて心配していれば彼はおかしそうに微笑む。


「嗚呼、花子さんの瞳に映る私はとても幸せそうだ。」


そんな愛おしげな声で言わないでくださいレイジさん。
貴方への愛しさでもう今にも心臓が壊れそうなんです。
徐に唇にキスをされそうになり、思わず目を瞑るけれどレイジさんの唇は寸前で止まってクスリと微笑んだ。


「邪魔…ですね、コレ」


「あ…、」


目を開ければ困ったように微笑むレイジさん。
そして彼はそのまま乱暴に眼鏡を外して宙へ放り投げる。
瞬間降って来たのは普段の彼からは想像できない熱くて激しい口付け。


少し離れたところでカシャリと眼鏡が落ちる音がした。


「ん、レイ、ジさ…ぅむ…んん」


「ん…は、花子…」


呼び捨てだなんて、そんないつもはしないくせに
レンズ越しでは分からなかったぎらついた瞳が私を捕えて離さない。

ゾクリと快感が体全体に押し寄せる。
嗚呼、その瞳は私にだけに見せる貴方の奥底に眠る本能のようなもの…


「ねぇ、花子…貴女が愛するのは眼鏡をかけている私だけ…?」


言われるんですか、それを。
息と整える暇なんか与えてくれない彼の首に手を回して自ら口付ければ満足そうに笑ってくれた。

それを合図に私は彼のベッドの海へと沈められてしまう。
嗚呼、今宵も貴方に溺れてしまう時間が来たのか。


「花子…言って下さい、この唇で」


愛おしげに唇を撫でられてそんなオネガイをされてしまえば私はもう彼の望むままに言葉を紡いでしまう。


「愛してます…レイジさん」


「誰よりも…?何よりも…?」


「眼鏡に嫉妬ですか?」


大人びた容姿に似合わない幼稚な独占欲にクスリと笑えばレイジさんはまた困ったように笑う。


「どうやら貴女が絡むと私は余裕がなくなるらしい」


また唇にキスを落とされて、熱くてあつくて蕩けてしまえば嬉しそうな何度目かの微笑みに胸を熱くする。


「花子…私をここまで溺れさせた責任、取ってくださいね」


「私でよければ喜んで」


絡め取られた指先に力を込めてそのまま彼に全てを委ねる。
今夜も貴方と一緒にベッドの舞台で踊り狂いましょう。



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