溺愛〜シュウさんの場合〜


ぽちゃん、ぽちゃんといい香りの紅茶に角砂糖を落としていく。
そんな私の行動にシュウは大きな溜息だ。


「…甘党。」


「仕方ないじゃない。好きなんだもの。」


シュウは甘いものが苦手だ。
けれど、こうして黙って私の甘味めぐりに付き合ってくれる。

普段眠って動かない彼がここまで動いてくれる時点で奇跡なのに、彼のこの優しさが酷く愛おしいのは内緒の話である。

注文していたケーキを一口頬張ればむにむにと頬をつつかれて遊ばれる。
どうやら私が食べている間酷くお暇なようで…


「ああ、そうだ花子…知ってるか?」


「ん?」


彼の問いかけに首を傾げれば愛おしげに微笑むものだから思わずドキリとしてしまう。
シュウはそんな私を知ってか知らずかその微笑みを崩さない。


「甘いのを求めるヤツって、愛情を無意識下で求めてるらしいぞ。」


「んむ、」


そんな言葉と共に落とされたキスは酷く甘くて胸焼けがしそうだ。
突然の出来事に固まれば、クスクスと声を上げて笑うシュウ。
ああ、もうその顔…結構好きかもしれない。


「なぁ花子…俺にどれだけ愛されたい?」


「な、に…言って…」


動揺を隠しきれなくて目を泳がせば逃がさないと言わんばかりに顔を固定されてしまって
強制的に視界をシュウの顔で埋めさせられてしまう。


「溶ける位甘く愛してやろうか…?」


「しゅ、シュウは甘いの…嫌いじゃない…」


悔し紛れに反論してみても全然効かなくて、今度は深い深いキスに反射的に体を揺らしてしまう。

暫く唇を貪られたかと思えば名残惜しげに離されてバチリと目が合えば妖艶なその瞳に思わず吸い込まれそうになる。


「お前の為なら角砂糖10個や20個分以上でも甘く愛してやるさ」


「…やだもう、そんなの融解しきれないじゃない。」


もう今これ以上ないくらい顔が熱い。
そんな私を見つめて呆れたように小さく息をついて私の額を小突くシュウはとても大人びている。


「この程度で赤面してどうすんの?俺の愛はこんなもんじゃないぞ…?」


「う、うぅ…シュウは私をどうしたいのよ」


小さく呟けば手を取られてちゅっと音を立てて可愛らしくキスを落とされた。
そして挑戦的で自信に満ち溢れた瞳で彼は言うのだ。


「馬鹿みたいに愛して、愛して、砂糖細工にして全部食べたい」


「だ、から…シュウは、あまいの…んぅ」


反論する隙さえ与えてくれない彼の口付けはもう本当に甘くて彼の言う通り砂糖細工にされそうでぶるりと体をふるわせてしまう。


「花子は別…ねぇ、花子。俺に食べられて?」



甘いのが嫌いなくせにどうしてシュウの声も言葉も全部全部甘いんだろうか。
決して解ける事のない疑問を抱きつつも私は観念して小さく息を吐いた。


「どうぞ美味しく召し上がれ」


「じゃぁ遠慮なく…イタダキマス」


同時に塞がれた唇は今までで一番甘くて、ぎゅっと胸が締め付けられた。



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