溺愛〜スバル君の場合〜


お仕事でミスをした。
些細な事で、上司にも気にするなとは言われたけれどどうしてもへこんでしまう。

ながーい溜息をついてだらりと机に項垂れてマイナス思考はぐるぐると頭の中で回転する。
嫌な思考をシャットダウンしたくてそのまま目を閉じて暫く夢の世界へ飛び立った。

「………ん?」


少しばかり時間が経って、目を開けたら何かが私の身体にかけられている。
この香りは私大好きな某末っ子のものじゃないか。

もぞもぞと動いて視線を机の前へと動かせばふわふわと動く銀髪わたあめくん。


「…なにしてんのスバル君。」


「…………べつに。」


…べつにじゃないよ。
何でスバル君の制服の上着が私にかかっていてスバル君がじっと至近距離で私を見つめてるんだよ。

くそう可愛いじゃないかやめてくれよ襲うぞ。
そんな事を考えてれば徐にスバル君が私の頭をそっと撫でる。
変わらず彼はじっと私を見つめたままだ。


「…スバル君?」


「…チッ。」


小さく舌打ちをして勢いよく立ち上がったと思えば今度は後ろからぎゅうぎゅう抱き締めてくる。

ええっと、どういった状況ですか。
理解できなくてオロオロしているとまた舌打ち。


「ど、どうしたの?何か不満でもあるの?」


「ああ、不満だな。すっげぇ不満だ。」


私の問いに不機嫌な声で答えたスバル君はそのまま乱暴に私の顔を彼の方へと向けてそのままキスを降らせてきた。

突然の事に驚いてしまっていれば未だに不機嫌な彼は吐き捨てる。


「花子にそんな顔させやがった奴等マジムカつく。」


「え、あの…えぇ?」


思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
私、どんな顔をしてたんだろうか。
確かに仕事のミスでへこんではいたけれど…
ぎゅうぎゅうと抱き締める腕に力が込められて思わずビクリとしてしまう。


「おい、花子。」


「は、はい!」


「どうしたらその顔、直んだ?」


しゅんとしてそんな台詞を言われてしまえばもう私はいとも簡単に破顔である。
もう既に顔が真っ赤になっているであろう自分の顔を隠すように両手で覆えば不安そうなスバル君の声。


「お、おい…平気か?どうしたんだ?花子?」


「う、うん…大丈夫…だいじょうぶ、」


スバル君への愛しさでぶるぶる震えれば寒がっていると勘違いした彼は抱き締めるときに落ちてしまった上着を慌ててバサリとかけてくれる。

ちがう、そうじゃないんだよスバル君…

もう我慢の限界で彼の腕の中でもぞもぞ動いて向かい合いの体勢になって自分からぎゅうぎゅうと抱き付いた。


「花子?」


「スバル君、もっとぎゅってして。そしたら私の機嫌直る。」


「お、おう!」


言われるがままに私をぎゅうぎゅう抱き締めてくれるスバル君が愛おし過ぎて
そのまま本能に任せて彼の唇にキスをすれば、ぼふんと顔を赤くしてくれたスバル君にいつも通りの笑顔でこういうのだ。


「お礼、受け取ってくれる?」


スバル君は大きくため息をついて意地悪に口角を吊り上げる。
そしてそのまま私の唇に噛み付くような熱いキス。


「俺を心配させた罪は重いんだよばーか。こんなんで足りるか。」


「心配してくれたの?」


「当たり前だろ?誰だって好きな奴が落ち込んでりゃ心配になる。」


いつもだったら恥ずかしがってそんな事言ってくれないのに、こんな時にそんな台詞…ずるいよスバル君。

珍しく私の方が照れてしまって彼の胸に顔を埋めてぐりぐりと顔を動かせば
「すくぐってぇよ」っておかしそうに笑うスバル君が愛おし過ぎてもうどうしようもない。


「もうスバル君だいすき!」


「俺の方が大好きだばーか」



そんな嬉し過ぎる告白に私は彼の腕の中でえへへって笑った。



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