溺愛〜コウ君の場合〜
コウ君はすごく格好いい。
正直私は釣り合わない。
血だってすごくおいしいという訳じゃないらしい。
だからいつも不安で仕方がない。いつ飽きて捨てられるんだろうって。
「ねぇねぇ花子ちゃん、俺といるのに考え事?考え読んでいい?」
「だ、ダメ!絶対ダメ!」
彼の腕の中であわわと足をばたつかせれば「冗談だよー」っておかしそうに笑うコウ君に唇を尖らせて拗ねればちゅっとキスをされてしまった。
突然の事でびっくりしていれば今度はコウ君が不機嫌顔。
「折角可愛い顔なのにそんな拗ねた顔しちゃだぁめ!」
「…可愛くないもん。」
「花子ちゃん?」
小さく呟けばコウ君は首を傾げる。
だって、可愛くない。
本当に可愛かったらこんなに不安になる事はないもの。
いつコウ君に捨てられてしまうかだなんて不安で胸を押しつぶされる事なんてないんだもん。
暗い事ばかり考えてしまえば必然的に顔も暗くなってしまって、コウ君がとても不安そうな顔になってしまった。
「ねぇ花子ちゃん…俺といるの、楽しくない?…飽きちゃった?」
「え、コウ君?」
痛いくらい抱き締められてしまい思わずくぐもった声を上げるけれど
締め付ける力が弱まることはなくてそれどころか更にぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
「こ、コウ君…痛い…いたいよ…」
「花子ちゃんが俺に飽きちゃっても…離したくない…離したくないよ…」
え、何言ってるの?コウ君。私が飽きる?何に?コウ君に?
混乱する私をよそにコウ君は更に言葉を続ける。
「俺ってば自分勝手だし、仕事多いからあまり構ってあげれないけど…でもでも!俺、花子ちゃんの事大好きで仕方ないから…お願いだから捨てないでよ」
うん、意味が分からない。
どうしてコウ君がそんなこと言うの?捨てられるかもしれないと不安なのは私の方なのに
何でコウ君が今にも泣きそうな顔をしてるの?
「私が捨てるんじゃなくて、コウ君が私を捨てるんじゃないの?」
「………はぁ?」
私の言葉にピクリと、整った眉を動かせば思いっきり頬を両手で挟まれてずいっとその綺麗な顔を近付けてくる。
あああ、慣れない…慣れないよその美形な顔が近付いてくるの。
「誰が?花子ちゃんを?捨てる?え、馬鹿?花子ちゃんって馬鹿だっけ、」
「え、な、なんでそんなに怒ってるの…?」
おどおどしていれば酷く不機嫌なコウ君。
不安になって泣きそうになれば何度も何度もキスをしてくれる。
そして相変わらずむすっとしたコウ君は高らかに宣言する。
「決めた!俺、今日から一日に最低一回は花子ちゃんに愛してるって叫ぶ!」
「え、えぇ!?」
訳のわからない宣言にこれでもかって位声が裏返ってしまった。
するとコウ君はそんな私の額を弾いて今度はぷくーってふくれっ面。
「だぁって花子ちゃんは俺がどれだけキミにメロメロなのか分かってくれてないみたいだしぃ?それで不安になってるならもう毎日愛を叫ぶしかないでしょ?」
「め、めろめろって!」
ま、まさかコウ君の口からそんな言葉が出てくるだなんて思ってなかったのでもう私の脳内は大爆発だ。
完璧に思考が止まってしまった私をよそにコウ君のラブラブ計画はどんどんエスカレートしていく。
「後は一日最低10回はキスするでしょ〜。電話だって仕事の休憩時間は必ずかけるようにしようっと!一日一個は何かプレゼントってのもアリだなぁ…他はえっとぉ〜」
「まままままってまってまって!わかった、わかったから!」
「んー?何を分かったって言うのかなぁ不安症花子ちゃーん?」
言わせるの…?それを言わせるの!?コウ君!?
けれど言わなければ本当にその計画が実行されてしまいそうで、恥ずかしさの余り震えてしまう声で小さく呟いた。
「コ、コウ君…が、わたし、の事…だいすきって…」
「はいよくできましたー。」
先程とは違ってふわりと優しく抱き締めてくれるコウ君に遂には顔を赤らめてしまう。
そんな私の反応に満足したのか、彼は嬉しそうに笑う。
「もう、余計な不安とかいらないから。俺は花子ちゃんしか見えてないんだから!」
「うん…うん、」
嬉しいやら恥ずかしいやら複雑な気持ちで彼の言葉に応える。
すると何か思いついたように彼は意地悪に微笑む。
「そぉだ!不安がなくなった分、空いた気持ちでもーっと俺の事考えてよ!俺だけが花子ちゃんの事大好きなの不公平だもんね!」
「そ、そんな俺様な!でも…うん、コウ君の事考えるの幸せだからそうする。」
そんな恥ずかしい台詞を言い合えば
同時にふふふって吹き出してお互いこれでもかっていうくらい抱き締めあった。
うん、不安になる必要なんてないんだね。
だってコウ君はこんなにも私を愛してくれてるんだもの!
(「さて、ダイナマイトか花火か好きな方を選ぶがいい」)
(「…ごめんなさい、ルキ君の目の前でいちゃついてごめんなさい」)
戻る