溺愛〜ユーマ君の場合〜


「最低だ…ユーマ本当最低。死ね。」


「………最低じゃねぇし。」


「彼女を動けなくなるまで抱き潰すだなんて最低吸血鬼の所業!」


ぼふん!


「いてぇ!」


だるい体を一生懸命なんとか動かしてユーマの顔面目がけてクッションを思いっきり投げつける。

コイツ、マジ本能に忠実すぎてサイテー!
するとぶすっとふくれっ面したユーマが唇を尖らせてぶーぶーと文句を垂れる。


「仕方ねぇだろォ!?花子が可愛すぎんのがワリィんだよ!反省したならちっとはその可愛さを抑えやがれ!」


「無茶苦茶すぎる!そして私の事が大好きすぎる!」


ぼふんと顔面を真っ赤にしてしまえば恥ずかしくてもぞもぞとシーツを被りごろんと蹲る。
するとユーマはそんな私の行動をひとおりじっと見て、そわそわとしながらこちらに寄ってくる。


「おい、花子。顔見せろ。すげぇ可愛い。おい、なぁ…なぁ。」


「やだ。絶対ヤダ。見せたら絶対ただじゃすまないモン。」


「俺を野獣みたいな扱いすんじゃねぇよ!…まぁただじゃ済まさねぇけど。」


「もう!馬鹿!?馬鹿なの!?ユーマって馬鹿だっけ!?」


ユーマのお馬鹿発言に思わず顔を上げればそのままガシリと大きな手で肩を掴まれて
何度も何度も飽きる位深くて激しいキスが私を襲う。

恍惚とした瞳で私を射抜く彼の視線は熱くて痛い。激しい快感に体を震わせればニヤリと意地悪な笑み。


「よし、もう一ラウンド…」


「ユーマ!ステェェェイ!」


ゴスッ!


私の全力の頭突きが彼のみぞおちにクリティカルヒットすれば勢いよくその場に転がるユーマ。

痛さでじたじたしてるけれどそんなの私の知った事か。
私はそのままベッドに座り込んでじわっと涙を溜める。


「ユーマは私の身体さえあればいいんだ…ひどい…」


「おい、花子…」


「うるさい、黙れ、野獣。」


ぐずぐずと泣いてしまえば彼の腕に優しく包まれてしまう。
もうやめてよ、こういう時に優しくしないでよ。またほだされて都合のいい女になっちゃうよ。


「花子、」


「やだ、離して、馬鹿ユーマ」


「俺の話聞けって」


ちゅっと可愛いキスをされてしまい、涙をとめればじっと瞳を見つめられる。
ユーマの表情がいつもよりひどくまじめでドキリとしてしまった。


「ゆーま…?」


「あのな、花子。俺はお前の事そんな風に思った事なんて一度もねぇぞ。」


まっすぐな瞳はそのまま私を射抜いて逃げることを許してくれない。
固まったまま彼の言葉の続きを待っていれば今度は頬に唇を落とされた。


「お前の事が愛し過ぎてどうしようもねぇから抱くんだよ。」


「…ほんと?」


私の言葉に彼は困ったように、けれどいつもの優しくて明るい笑顔で笑う。


「俺は不器用だから嘘は付けねぇよ。」


乱暴に頭を撫でられて髪がぼさぼさになってしまうけれどその後優しくその大きな指で梳かしてくれる。
そんな行動が心地よくて目を細める。


「ユーマは私の事、好き?」


「ああ、」


「…あいしてる?」


「聞くなバーカ。…すげぇあいしてんよ。」


そんな嬉し過ぎる言葉にまた涙を零せば苦笑した彼がその唇で頬に伝う涙を掬ってくれる。


「ごめんな、俺不器用だし馬鹿だからよ…こーいう形でしか花子へ愛を伝えらんねぇんだ。」


「ん…仕方ないから許してあげる。」


「ありがとーございます。オヒメサマ?」


ふざけたそんな会話にお互い笑いあってそのまま一緒にベッドへ沈む。
けれどユーマが私を抱くことはない。
そのまま優しく頭や頬を撫でて、何度も何度もキスをする。


「くすぐったいよ…」


「愛しの花子ちゃんの為に我慢してやってんだ。光栄に思えバーカ」



不器用な彼の愛情と優しさに包まれたまま
私は静かに笑ってだるすぎるからだと思考回路に瞳を閉じた。



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