Which?


トクベツではない花子を愛した俺達には
幸せなハッピーエンドは用意されていない。




只置かれた二つのバッドエンド、どちらを取るかを選ばされるだけだ。





「花子の生きた証を自身に刻んでそのまま生きて行きたい。」



ぼんやりと弟達と遊んでいる花子を見つめてそう呟けば
目の前のライバルはコーヒーを一口飲み、目を伏せたまま独り言のように呟く。



「花子と共に堕ちてそのまま死んでしまいたい。」



バチリと互いの視線が交差して同時に長い溜息をつく。
俺もルキも花子が好きだ。愛している。
だか残酷な事に花子は特別な人間ではないから覚醒は難しい。



彼女は同族には…吸血鬼にはなれない。




「花子の命を途中で終わらせるなんてありえないだろう。俺は彼女の命を全て背負いたいんだよ。」



「花子を独り淋しく逝かせる訳にはいかないだろう。…何よりも残された後、俺はどうすればいい。」



俺とルキの気持ちは一緒。
けれど考えは正反対。



花子を心の底から愛してる。
だから俺は彼女を最後の最期まで愛し抜いてそのまま彼女を愛おしい傷として残したいと思うが

ルキは共に堕ちることが愛だと。花子に老いて朽ちる恐怖を…独りで息絶える孤独を味わせたくないと言う。


どちらも正しく、どちらも間違い。


互いに抜け出すことの出来ない迷路に迷い込んでいるようで
二人でまた二度目の溜息をつく。




「あんたとは合わないよ、ルキ。」



「奇遇だな。俺もそう思っている、逆巻シュウ。」




どちらが花子にとって幸せなのか
それは彼女自身しかわかりえない事だし、寧ろ俺達吸血鬼に愛された時点で彼女の幸せというモノは潰えているのかもしれない。
けれど、それでも彼女の愛を諦めようとしない俺達は…なんとも滑稽で愚かで、それでいて非道なのか。




花子の幸せを真に願うのならば
彼女と交わる事をやめるのが一番だと、俺もルキも気付いてる。



「はぁ…エゴイストにも程がある。」



「俺もそう思う。」



互いに顔を見合わせて困ったように笑う。
くそう、俺もアンタも大概だな。



「変なとこは気、合うな。」



「全くだ。」



けれどそろそろ答えも出さなければならない。
平行線の俺達の価値観、どちらかを彼女に選ばさせる時はそう遠くない。



「花子、どうか俺の中で生きて…」



「花子、どうか俺と共に堕ちて…」




互いの切なる願いはまだ…
まだ月明かりの下で無邪気に微笑む彼女には届かない。



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