6:ブラックホール
アズサ君…
ああ、アズサ君
アズサ君
私の可愛いぎゃんかわな天使…
今日も相変わらずその天使な笑顔可愛い抱きたい。今すぐに。
「おい、野獣。それ以上アズサを見るんじゃない。穴が開く程に見つめるという表現があるがこのままだと本当にアズサに穴が開きそうで怖い。」
「何言ってんのルキ君そんな訳ないじゃないていうかどいてよ天使が見れないでしょぉぉぉお!?」
「させるか野獣!!ひっこめ!!!」
ギリリリとルキ君と取っ組み合いになりながらも必死に彼の背中に隠れちゃったアズサ君を見ようとすればそれを阻止されてしまってビキリと青筋が浮かぶ。
こ、こいつ!!!前愛読書めちゃめちゃ燃やされたのにまだめげてないのか!!!
いい加減アズサ君を私のお嫁にしちゃう覚悟位決めてよね!!馬鹿!!!!
二人で静かな決闘を行っていればひょいっとルキ君の背中から顔を出してくれたアズサ君に私の乙女心はきゅんっと高鳴る。
今この両手に血管が浮かんで吸血鬼であるルキ君と互角に力比べをしていても、だ。
「ええと、ね…俺、花子さんになら…あけられてもいいよ…穴。」
「あずしゃきゅううううううん…!!」
「は!?お、おいアズサ正気か!?お前この野獣に自ら穢されに行くのか!?早まるな!!!」
へにゃりと優しく微笑んでくれてとたとたと私の方に歩み寄ってくれた天使に涙腺は崩壊して
さっさとルキ君から離れてそのままぎゅっと彼に抱き付いた。
すぐそばから「俺は弟さえ守ってやれない無力な兄だ…」という悲惨な言葉が聞こえたけれどそんなの無視だ。
「えへへ…アズサ君、アズサ君大好きっ!」
「うん…俺も、花子…さん…だいすき…ふふっ」
彼が自分から私の所にやってきてくれた事実がすごく嬉しくて、すりすりと頬を寄せてれば
そのままじっと顔を見つめられて数秒。
何か言いたいのかなって思って首を傾げていても彼の口から言葉が紡がれる事はない。
…………。
「ええと、アズサ君どうしたの?」
「んー…ふふっ」
じーっと見つめられ続けたままで流石に沈黙が辛くなって彼の行動を問えばその笑顔は更に深いものへと変わる。
そしてちゅっと可愛らしい音と共に頬に降って来たのは彼の唇。
「俺も…だいすきな花子さんに…あな…あけたいなー…って。…あいた?」
「開いた!!!!開きました!!!!直径20000km位のブラックホールが開きましたぁぁぁ!!!」
可愛すぎるそんな台詞に私の可愛らしい乙女心はマシンガンに撃ち抜かれてもはや蜂の巣だ。
なんだこの天使。吸血鬼とか種族詐称にも程がある天界の天使だそうに違いない。
ぎゅうぎゅうと彼に抱き付く腕に力を込めたら「苦しいよ」って困ったように笑われちゃったけど
でもでも今この手の力を抑えることは出来ない。
だってそれ位今の私の体中からはアズサ君への好きが溢れちゃってるんだから。
「ふふ…アズサ君、すき。だいすき!!ずっと、ずーっと一緒にいようね!!」
「…………うん、そう…だね。」
彼が少し間を開けて同意してくれたけれど
今の私にはその少しの間が何を意味していたのかなんて気付く余裕はなかったのだ。
…アズサ君の事が好きすぎて。
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