4:水曜日


「ホラホラ、早くしないと私の口は閉じてしまうよ?頑張れスバル。」



「…っ!クソっ!手は動くだろ馬鹿花子!!」




嬉しそうにニコニコ微笑みながら大きく口をあけている花子。
そしてそんな彼女を見ながらブルブルと顔を赤くして震えている俺。
手にはフォークと巻かれたパスタ。



「昨日スバルが沢山血を吸ったからね。もう私は何もしたくない気分なんだ。」



「だ、だ、だからって別にこんな事!!」



「ん?別にいいじゃないかあーん位。減るものではなし。」



減るわ!!!確実に!!俺の乙女心とかトキメキとかそう言うのがすげぇ減るっつーか爆発するわ!!
あれ!?俺乙女みたい!!
ひとりなそんな事をぐるぐると考えていれば待ちきれなかったのか
花子は小さく笑って「あー」と間抜けな声をあげたまま俺が持っているパスタをぱくりと口に含んだ。
や、やべぇ…あーんやっちまった。



もぐもぐと満足げにパスタを頬張る彼女を震えながら見つめていれば
花子はまたおかしそうにケラケラと初日の様に笑う。



「ふふ、スバル…こういうので照れるのは私の役目だよ?お前ではないはずだが…」



「う、うるせぇうるせぇ!花子のバーカ!!バーカ!!!!おらぁ!黙って食いやがれ!!」



「ははは…いただきます。…あー…ん、」




彼女の言葉に更に照れてしまった俺はもはや自棄ぎみに
再びパスタをくるくると巻いて彼女の前にずいっと差し出してやれば花子は笑ってまた大きく口を開いた。



「…ねぇスバル、もうあと半分だね。」



「あ?もっと食いてぇのか?ちょっと待ってろ、今すぐ取りに…」



「ふふ…そうだね、ではおかわりいただこうかな?」



彼女の言葉に俺はまた食い足りねぇのかと思って席を立てば
花子が少しだけ淋しそうに笑う意味が此処では分からなかった。



そう、もう半分…花子と過ごせる時間がもう半分まで来たって事、
こういう恥ずかしくてもどっか幸せな時間を過ごして舞い上がってる俺はまだ気づかなかったのだ。



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