13:0と1のフローチャート
この世界は大体0か1で、出来ている。
0:キライ
1:スキ
この二種類だ。
生きていれば常に周りの人物の0か1どちらかが上がっていく。
私達は脳内に表示されるいくつかの選択肢の中から出来る限り最善の、1を積み重ねるような回答を選択していかなければいけない。
もし0ばかりを選択してしまえば残念無念、
人間社会からの総攻撃を食らい精査されて強制バッドエンディングだ。
別にその生き方が下らないとかは思わない。
だってこの行動は私が生まれたときから存在している当たり前の事であってなんら疑問に思わないからである。
この社会のフローチャートから外れる気もないし、そんな勇気もない。ならばその中に埋もれたままうまくやっていけば私の人生順風満帆、円満ハッピーエンドという訳だ。
「そんな中出会っちゃったんだよね〜HOMOに。」
「…まって、いままで超シリアス展開だったのに花子ちゃんの台詞で全部台無しなんだけど。」
酷い、酷過ぎるこの展開!
目の前で優雅にお茶を飲みながら無駄にイイ顔でそんな事を語りだした花子ちゃんに期待した俺が馬鹿だとでもいうのか
否!これはもう頭がおかし過ぎる花子ちゃんが全面的に悪い!
「やり直そう。あの方にお願いして時を戻してホモに出会う前まで行って真人間に戻ろうよ。」
「え、物心つく前まで戻るの?めんどくさいなぁ」
「じゃぁさっきまでのちょっぴり大人びた考えは物心つく前の話!?花子ちゃんの頭はどうなってんの!?ある意味天才!」
恐ろしい…あんな冷めた考えを持つ幼女も恐ろしいし
それからホモにハァハァ言いだす幼女も、もっと恐ろしい!
「まぁいいんじゃない?私の頭がおかしくなったからこうしてコウ君を愛する事が出来たんだし。」
「ぅ…そ、それを言われちゃうと…まぁ、」
ていうか自分で頭おかしいって…自覚あるんだ花子ちゃん。
ニコニコしながら俺の頭を撫でる花子ちゃんにずっと思ってた不安を話す。
「でもさ、花子ちゃん的には俺に出会わなかった方がよかったんじゃない…?」
「はぁ?」
素頓狂な彼女の声を無視して俺の言葉はとめどなく溢れてくる。
「だって、俺はヴァンパイアで花子ちゃんは人間で…だからっ…っていたたたたたた!」
「そぉぉぉい!」
先程まで頭を撫でていたその手は今はギリギリとそのまま鷲掴みの態勢だ。
痛い痛い痛い!
この子いつも思うけどさぁ、何処からこの馬鹿力出し手くんの!?
「私はさぁ、もう別にいつだってヴァンパイアになっちゃってもいいんだよ?」
「え、」
溜息と優しい微笑み、そして締め付ける頭の上の手。
…うん、いい加減手だけは放してほしい。
「いい?この世界は0か1。なら、私の中でコウ君のパラメータは今どれくらいだと思う?」
「え?え?ひゃ、ひゃく…くらい?…っぎゃぁぁぁあ!痛い痛い痛い!間違ったんだね俺!ごめんなさい!」
も、もうこれ以上頭締め付けないで!割れる!割れてしまう!
むすっとした彼女がようやく頭を解放してくれたかと思うと身体を乗り出して不意に顔を近付けてちゅっと触れるだけのキス。
「1まみれだよ、数えきれないの。そうだなぁ、この世の数値で言うなら無限大かな。」
「え、えぇ…!?」
ぼふんと顔が沸騰するのが分かる。
名に俺のこの反応、まるで乙女じゃんか!
でも、でも仕方ない!だってこんな事花子ちゃんは今まで言ってくれたことないんだ。
「コウ君の事が好き、愛してる。だからこの身体を変えることくらい全然余裕なの。私の愛をなめないで。」
「ぁ…う、…え、…う…」
もうもう言葉が出ない。
やめてよ馬鹿いつもみたいに叫び散らしながら言えばいいだろそんな事。
そんな穏やかに囁かないで、じわりとキミの愛に浸食される感覚が酷く恐ろしくて愛おしい。
「じゃぁ…花子ちゃんは、ずっと…ずーっと…一緒に居てくれるの?」
「当たり前でしょ?」
「うぅぅ…だいすきー…」
「私は愛してるっつーの」
困った微笑みに顔を歪めてぎゅうっと抱き付き、ぐりぐりと彼女の肩に頭を押し付ける。
不安だったのも、覚悟が足りなかったのも、全部全部俺で。
この男前すぎる俺の恋人はそんな俺にいつだってこうして愛を囁いてくれる。
大好き、だいすき、愛してる。
「ねぇ、きっと覚醒は痛いよ?苦しいよ?」
「コウ君と一緒に居れる萌え萌えの日々の為ならそんな試練余裕だっつーの。来いや。」
「やだもう格好いい!」
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