21:フラグ回収は彼女のお仕事


「いやぁこうやって花子ちゃんとカフェデートとか久しぶりだよねぇ。」


「受け、受け、攻め、受け、受け、受け、攻め」


「そ、それにしてもココのケーキ美味しいでしょ?マネージャーに聞いたんだよ?」


「攻め、受け、受け…はっ、リバ発見!」


「……くっ!」


引き攣った微笑みにびきりと青筋が一つ。
そして先程から訳のわからない事を呟いている彼女の胸倉を思いっきり掴む。


「ねぇちょっと、さっきから通行人を受け攻めで振り分けてんじゃないよ、折角の俺とのデートに何してくれちゃってんの。」


「あ、総受け発見。」


「だだだだだだ誰が総受けだ!」


「やかましい!」


俺の顔を見つめて真顔でそんな発言をするもんだから思わず店内で叫び散らかせば花子ちゃんは勢いよく俺の口にケーキを突っ込んできた。

突然の事で彼女を離して咳込んでいると彼女は冷静にココのお店一押しのケーキを頬張りながらあきれ顔。


「全く、店内で騒ぐとか何事?しかもちゃんと落ち着いて食べないよねー。」


「だ、だれのせいだと…っ!」


恨めしく睨みつければ小突かれる俺の額。
何事かと重いきょとんとしていると彼女は苦笑。
そして優し俺の頭を撫でてくる。


「コウ君が怒るのも喜ぶのも全部私の所為だよねー。」


「う…うん、そ、そう…だね。」


そんな嬉しそうな顔しないでよ馬鹿。かわいいじゃん。
恥ずかしくてそれを隠すように目の前のケーキを頬張る。
そしてチラリと花子ちゃんを盗み見れば口元に白い生クリーム。


…チャンスです。


これは俺がスマートに舌で舐めとってあげるパターンじゃないだろうか!
そして突然の出来事に呆然とする花子ちゃんに妖艶に微笑んであげて乙女心を鷲掴みにする場面だ。
ニヤリと笑えば、彼女が不意に俺と目線を合わせ俺の前に妖艶に微笑んだ。
…ん?何だろう…


すると彼女はちょいちょいと口元のクリームを指さして嗤う。


「付いちゃったみたいだねぇ。勿論、コウ君が舐めとってくれるんだよね…?」


「う…うぅ〜…!」


そんな、確信犯な彼女にぼふんと赤面するのは俺の方で
訳わかんない汗が身体中を伝う。
けれど彼女は相変わらず余裕めいた表情でニヤニヤ。


「ホラ、コウ君…」


「う、うごかない…でよ?」


おそるおそる彼女に近付いて目を閉じてソレを舐めようとした瞬間
花子ちゃんは顔を動かして俺の唇を強引に奪った。


「ん!?んん〜!」


じたじた暴れてみても一向に離してくれない。
それどころかそれはだんだん深いモノになってしまって
もう花子ちゃんじゃなくて俺が真っ赤で涙目だ。


「も、もうもうもーう!なにするのさ!」


「え、コウ君が可愛かったから。」


「俺は!格好良いんだから!ね!」


悔し紛れに喚いても花子ちゃんには全然効かなくて
悔しくてぶーぶーと文句をたれていれば不意に頬にペロリと彼女の舌。
瞬間もうどうしようもないくらいかの温度が急上昇だ。


「さっき顔くっつけちゃったから私のクリームついてたよ、ごちそうさま。」


「う…うーうーうー!花子ちゃんが格好いい〜!ばかー!」


格好良い彼女の微笑みが悔し過ぎて
テーブルに頭をついてじたじたと足を遊ばせる。
すると徐にガスッと足を蹴られてしまい、思わず顔を上げる。
花子ちゃんはそんな俺にまたしても微笑みかける。


「折角久々のデートなんだから、コウ君の顔見せてよ。」


「やだもうホント俺の彼女イケメンすぎてツラいんですけど!」


俺の叫びは店中に響き渡って、顔に青筋を浮かべた花子ちゃんに再びケーキで口を塞がれてしまった。


いつか、いつか絶対!ぜぇぇったい花子ちゃんに格好良いって言わせてやる!



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