4:腐女子的勉強方法


神様仏様カールハインツ様。
俺には解せない謎がひとつあります。



「…なんで花子ちゃんこんなに成績いいんだろう。」



貼りだされた中間テスト結果に思わず呟いた。
や、うん…ルキ君やレイジ君がトップクラスなのは分かる。分かるよ?
だってあの二人ホントに頭いいからさぁ…
俺が疑問に思うのは花子ちゃんの学年の成績順位だ。



…なんでいつも逆巻さん逆巻さんホモホモ言いまくってる花子ちゃんがずっと学年トップなんだろう。


普段すっごく馬鹿っぽいのに。





「それって腐女子は全員馬鹿って遠まわしに言ってんの?コウ君。宜しい、ならば戦争だ。」



「ちちち違うよ!只純粋に疑問に思っただけ…いたたたたた!!!ごめんなさい!軽率な発言マジゴメンなさい!!」



ギリギリギリ



自身の疑問を直接声にして本人に聞いてみれば呆れたような声でそう言われて
即座にコブラツイストを決めらられてしまった。
ねぇ!最近!余計に彼氏の扱い雑じゃないですか!!?



「まぁね。そりゃこんな可愛くてキュートで更に勉強が出来るとかチートすぎて疑っちゃうのも分かるけどね。」



「…ねぇ俺が言うのもどうかと思うけど自意識過剰は嫌われるよ。」




や、確かに彼氏の俺の贔屓目で花子ちゃんは可愛いと思うけれど
そんなドヤ顔で言われたらマジ悔しいからコブラツイスト受けてる体勢で思わず悪態を付けば締め付けが更に強くなった。
うん!俺も学習しない!!!痛い!!ごめんなさい!



「仕方ないから特別にコウ君の勉強も見てあげるよ。」



「え?で、でも俺花子ちゃんよりお兄ちゃんだよ?勉強教えるって無理じゃ…」



戸惑いの俺の言葉に彼女は当然のような声色で
彼女が成績優秀な理由をぶちまけてくれた。



「はぁ?数学は主に掛け算がカップリングみたいで萌えるし国語は言い回しが同人小説に大活躍だし化学、生物は結合とかもう単語だけで18禁ご褒美だし社会は歴史時事共に耽美妄想できる内容しかないしそんなに学年って関係あるの?」



「うわーい!花子ちゃん勉強熱心ー!!じゃないよ!!!先生に!!先生に謝れ!!そんな腐った思考回路で授業受けないでよ!!」



流石!流石だね花子ちゃん!!
そんな思考回路で授業受けてるなら彼女だったら学年一位じゃないと逆におかしよね!納得だよ!!!
俺はてっきりこう…陰で努力してるんだなって何処かで思ってたけど馬鹿でした!俺!馬鹿でした!!


呆れかえってる俺をじっと見つめて花子ちゃんはようやくコブラツイストを解いてくれたけれど
次はガシリと俺の肩を掴んでずいっとその彼女曰く可愛くてキュートなお顔を近付けてくる。



「腐女子的勉強法を馬鹿にするとは心外。今から徹底的にコウ君に叩き込んであ・げ・る★」



「や、やだ…やだよ…絶対やだぁぁぁぁあ!!」



俺の可哀想すぎる断末魔は通常運転の如く誰にも聞かれる事無く暗闇に消えたけれど…
ねぇ!?絶対誰か聞いてるよね!!!?花子ちゃんが怖いから誰も助けに来ないんでしょ!?
知ってる俺知ってるんだからね!!!




そして期末テスト結果…



「すごいなコウ…アイドルの仕事をしておきながら俺を超えたばかりではなく学年一位だなんて…」



「ふふ…ルキ君、知ってる?酸素って実は受けで水素は鬼畜攻めなんだよ?そして分数は実は3Pなんだって…ふへ」



「こ、コウ…?」




あれから花子ちゃんにずっとハイパースパルタ家庭教師をされ続けた俺は
なんと期末テストで学年一位を取ってしまった。



けれど…




嗚呼、けれど…




「ルキ君…いくら勉強できたからって、大切なもの…失っちゃいけないと、俺は思う。」




ボロボロと涙を零しながらそう呟いた俺の真意を知るひとなんて誰もいない。
もう、俺は数式はカップリングにしか見えないし、結合式も恥ずかして直視できない体になってしまった。




全部腐女子な俺の彼女の所為だ!!!



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