2:銀のペンダント


「はっぴばーすでー!花子ちゃーん!!」


「花子…生まれてきてくれて…ありがと」



やだもうアイドルスマイル眩しいよコウ君。
そしてアズサ君、その笑顔は反則マイナスイオン出てる。だが取りあえず言いたい…言いたいのである。

「この縄ほどいて下さい!」

訳が分からない。訳が分からない!
0時になった瞬間部屋の窓ガラスが割られたかと思うと侵入してきた無神4兄弟に縛り上げられ、肉体労働担当のユーマさんに担ぎ上げられて無神家に拉致られて今に至るとかホント訳が分からない。


「怒りたいのはこっちの方だ。全く…」


ルキさんが仁王立ちで私の目の前に立っている。怖い…怖すぎる。というか私何かしましたか?考えを巡らせるが思い当たることは何一つなくてそれでも悩んでいると後ろからルキさん同様不機嫌なユーマさんが相も変わらずぶっきらぼうな口調で話し始める。

「つーかよ、なぁんで言ってくれなかったんだよ。今日が誕生日だってよー。」


「ホントだよねぇ。エム猫ちゃんが教えてくれるまで全然知らなかったし。」


「イヴも…教えてくれたのが直前だったから…」


「おかげでケーキやごちそうを作る時間がなかったじゃないか。」




次々に不満を口にする無神4兄弟。
私はそんな彼らに首を傾げるしかなかった。


「…ヴァンパイアには餌の誕生日を祝うという習慣があるんスか?」

私の質問に彼らは互いの顔を見合わせ
はぁぁぁぁと長い溜息をついて呆れたような顔を私に向けた。

「あのねぇ、俺達、単なる餌の誕生日にわざわざこんな大騒ぎしないから。」

「いい加減気付けよバァーカ」

「…みんな、花子の事がだいすき…だいすきなんだよ?」

アズサ君がそう言って私の頭をよしよしと撫でてくれた。冷たいはずなのにあったく感じたのはどうしてだろう。

「そう言うわけで、これは俺達からの贈り物だ。」

ルキさんがするりと私の首に手をかけて
カシャリと金属音がしたので、なんだろうと思ってみてみるとそこには控えめに輝く銀のペンダント。

「本当は首輪でも良かったんだが、逆巻の変態と一緒にされるのは好かんのでな。」


「俺達みーんなで選んだんだよ?アクセサリーショップで真剣に選ぶユーマ君マジウケた…!」


「るせぇぞコウ!やー…そのなんだ…にあってんじゃねぇ?」


「ふふ…花子…綺麗だよ…」


じわりと、胸が熱くなるのを感じた。
正直自分の誕生日ってこんなに嬉しいモノだとは思わなかった。
ああ、私今最高に幸せかもしれない…


「ありがとう…ございます。」


コウ君のように眩しくもないしアズサ君のようにマイナスイオンは出ないけど
私はお返しとばかりに彼らに精一杯の笑顔を向けた。
4人はそんな私を見て、今度は呆れた顔でなく、嬉しそうな笑みを浮かべてくれたのだ。



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