9:大好きな貴方の声を聴かせて


「夢のような一日だったな…」

ぽーんと自分の体をベッドに投げ出して
今日一日を振り返る。

無神家に拉致されて
意外に可愛いライト君を見れて
レイジさんにキスされて
アヤト君にデートしてもらって
カナト君がお菓子作りに挑戦しようとして
シュウさんに泣かされて
スバル君にときめかされて


「ふは…っ。あー幸せですねぇ。」


私は微睡の中、徐に携帯を取り出した。
もし叶うのならば誕生日の残りの時間、彼の声を聞いていたいと思って。まぁ随分と図々しくなったものだなと自嘲するも彼の電話番号を検索する指は止めないでいる。

プルルル、プルルル

「もしもし、私です。花子です。すいません、こんな遅くに…
ふふっ、どうしても貴方の声が聴きたくて…
え、眠るまで?本当に…嬉しいです。
後、今日誕生日祝ってくれてありがとうございます。恋人なんだから当たり前って…よくそんな恥ずかしい事…
ああもう、スイマセンでした反省してます。今度から記念日はちゃんと自己申告しますから。」



「ふふ、大好きです。」



私の言葉に、彼は優しく


“知っている”


そう囁いてくれた。



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