お菓子ないから悪戯していいよ?


今日は待ちに待ったハロウィン!
トリック・オア・トリート
この言葉が何処でも聞こえてきて私も胸が躍って仕方がない。





目指すは愛しい彼の部屋
今日も今日とてあまーい時間を一秒でも長く味わいたい…
折角のハロウィンだし、今日はそう言うのをテーマにしてもいいかもなぁ





…なんて卑しい下心向き出しで最愛がいる部屋の扉を開けた
今日は、ハロウィン。勿論お菓子なんて持っていない!





「シュウくん!ハッピーハロウィン!!お菓子持ってないから悪戯していいよ!!!」




「うるさい」




「へぶっ!!」




いつも通りベッドで好きな音楽を聴いて、好きな睡眠を貪っているシュウ君に元気よく話しかければ
返って来たのはあまーい愛の言葉じゃなくて剛速球の枕君だった。
く、くそう!やっぱり寝起きのシュウくんは最高にご機嫌ななめだ!
けれどめげない、花子ちゃんはめげないんだからね!!




「シュウくーん!今日はハロウィンだよハロウィン!!お菓子持ってない人に悪戯出来ちゃう素晴らしい日だよ私に悪戯と言ういやらしい事してよおお!!」




「ハロウィンとかどうでもいい…それに俺は甘いもの嫌いだしと言うか誘い方に色気もクソも……って重い花子、どいて」




「色気とかもう今更だしそれこそどうでもいいよっていうかハロウィンに乗っかった誘い文句だよ私としては頑張ったよ、どかない!」




全くもって相手をしてくれそうにないシュウ君の上にごろんと乗っかって
そのままゴロゴロと駄々っ子のように転がっていれば呆れかえった彼のながーい溜息と
大きくて冷たい手が私の頭を撫でるから漸く転がるのはやめたけれど退きはしない。
だってこんな合法的にシュウ君に悪戯してもらえるなんて滅諦にないんだもん、今日はぜーったいシュウ君に悪戯してもらうまでどかないんだから。




そう思って彼の胸板にぐりぐりと顔を擦り付ければ
もう一度ながーい…ながーい溜息の後にぽつり、シュウ君が言葉を零した。




「そう言えば俺も菓子……持ってないな、当たり前だけど」




「シュウくん?」




「花子」




そっと両手で頬を包まれ、ぐいっと彼と対面するように顔を持ち上げられて
気が付けばそのまま唇をそっと塞がれていた。
嗚呼、やっぱり本人は甘いの嫌いなくせに彼がくれるキスはどのお菓子よりも甘いなぁ…なんて





静かに触れ合っていた唇が離れ、うっとりと彼を見つめていれば
シュウ君はくたりと首を傾げて妖艶に微笑みを浮かべてこういった。





「ほら、花子…俺も菓子持ってない………悪戯、スれば?」




「う、うううう!する!悪戯しちゃう!!失礼します!!!」





そんな笑みと、そんな言葉を紡がれて冷静で居られる女が居れば見てみたい。
私は自身の頬をぼぼぼっと赤く染めて、今日は好きにしていいと彼からの許可をもらってしまい有頂天のまま
今度は自分からシュウ君の唇を奪いに行った。






ハッピー・ハロウィン
お菓子ないから悪戯していいよ?





結局今日も今日とてシュウ君から悪戯はされなかったけれど
まぁ、いつも通りが一番ってことで。





「シュウくん、シュウくん、今夜は寝かせないよ!」




「ふは、それは花子の頑張り次第…精々俺を飽きて寝かせないように頑張りなよ」





ギシリとベッドが揺れ
今日も通常運転の中、私の精一杯の悪戯が彼を襲うまで後三秒



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