01:カウントダウン
もうすぐ最愛の誕生日だという時に事件は起きた。
人生何事もなく、刺激がないとマンネリ化して生きながらに死んでしまうというけれど
ここまでの刺激だとちょっと強すぎて人生に傷入ってしまいそうだ。
「はい、今なら許してあげるよレイジ君土下座して」
「わ、私がこんな事するはずがないでしょう!!今でも大変だと言うのに更に自身の苦労を増やすような真似しません!!」
「うるせぇ!!こんなのレイジ君の薬以外原因見つかんないよ謝れ!!今すぐだ!!!」
片手で目の前のレイジ君の胸倉を掴みながら鬼の形相で迫るが
肝心の彼は身に覚えが一切ないの一点張り……
そんな訳……そんな訳あるか!!!
こんな事態、レイジ君の薬以外で起こりえないんだもん他はぜーったいない!!
ぎゃんぎゃんとお前の所為だと違うの攻防を続けていれば
不意にレイジ君に掴みかかってない方の手で抱き締めていた少年がオロオロし始めたので
即座に安心させるように笑みを浮かべそのまま微笑みかけてあげる
「え、と……お兄さん、お姉さん……喧嘩?」
「ううん、喧嘩じゃないよ?ただ真実を問いただそうとしてるだけというかこのお兄さんはシュウさんにとって弟だからねー?よしよし」
「?、?、僕の弟はこんなに大きくない……」
そう、私の腕の中でレイジ君との口論を聞いて困ってしまっている少年は
クルクルふわふわエンジェルヘアーの碧眼、私の最愛、シュウさん
の、筈なんだけど今日夜起きて見たらこのありさまである。
そろそろ彼の誕生日が近いし、毎年誕生日なんざ興味ないとか言われてしまうけれど
やはり最愛としては祝いたいと思って誕生日、何かしてほしいことはないかと聞いてみようと思って部屋を訪ねてみれば
そこにいたのはいつもの19歳一年留年無気力ダル男ニート青年シュウさんではなく
ちょっぴりあどけなくてかわいい可愛いいつ頃の時代かはちょっとよくわからないけれど
確実に若返ってるというか見た目から相当子供になっちゃってるシュウさんというよりかはシュウ君が彼のベッドの上できょとんと自身の置かれた状況を理解できずパチパチと瞬きしていたのだ。
「じゃぁ他に誰がシュウさんをシュウ君に出来るっていうんだ!!!無理でしょ!!!」
「だから私ではないと何度も…!というかいるでしょう!!!私の薬以外にも穀潰しの時間を遡らせることが出来る例えば父上とか………!」
「あ、うん全て察した。察したけどどうすんのホントこんなの元に戻す方法とかあるのかな」
「…………………察しないで頂きたい。」
シュウさん…もといシュウ君を宥めて今一度レイジ君と向き合って口論を再開するも
その最中に出てきた一番厄介そうな名前に心当たりしかなさ過ぎて
先程までレイジ君を疑っていたというか100%クロだと思っていた事に聊かの罪悪感を抱きながら
原因が彼だとするとそう易々とこの幼少シュウさんを元に戻すのは難しいだろうと私とレイジ君は二人してながーい溜息をついた。
「カールハインツさん何考えてんだろ……もうすぐシュウさんのお誕生日なのに」
「父上………これ以上私の負担を増やすなんて……やはり私は愛されていないのでしょうか……」
「ええと、ええと……お姉さん、お兄さん……あの、えっと」
私はもうすぐシュウさんの誕生日だというのに肝心の本人が歳を取るどころか滅茶苦茶歳減らしちゃってる状態でどうすればいいか分からず
レイジ君は今でも弟君の面倒や家事全般で大変だというのに更にシュウさんが子供になってしまったからその世話までしないといけないのかと
互いに各々の悩みを抱え思い切りながーい溜息を付けば
一番状況を把握できていないシュウさんが私の腕の中で再びオロオロと困惑し始めてしまう。
今年、最愛の誕生日はどうやら彼の父親の所為で一筋縄ではいかないようだ
せめて……
「(せめて誕生日までには元に戻ってほしいかも…)」
じっと腕の中の最愛を見つめてそんな事を考えてしまう
10月11日、彼の誕生日まであと一週間の出来事。
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