03:デートの誘い
シュウさんが幼くなってしまってもう三日……
なのに未だに彼が元に戻る手掛かりはゼロ
そして私のライフもそろそろゼロである。
「シュウさんの辛辣な言葉が懐かしい」
ぐったりと机に突っ伏しながら本物もマゾヒストのような言葉を漏らしてしまう自分に思わずたま溜息が零れる。
シュウさんが幼くなってしまってから本当によく溜息を付いてしまうと思う。
勿論今のシュウさんも可愛いし天使だし鬼のような事言わないしダル男じゃないし本当に素敵な男の子だと思う……思うけれど
「シュウさんに会いたいよ……」
青年の彼に会えずに三日目で遂に出てしまった弱音。
特に今回は大切な日が近いというのに普段愛を捧げている彼が居ないと言うのは正直不安だし、それ以上に寂しいものだ。
勿論情報を聞き出すことが出来なかったレイジ君にも今幼いままのシュウさんにも罪はない
ないのだけれど、なんの進展もないままこうして時間を刻む度に私の元気もそれに比例するように削られてしまって今に至る。
「シュウさん……シュウさん……、」
ぐりぐりと机に顔を擦り付けて愛しい人の名を呼んでも
いつもみたいに「煩い」って酷い言葉は返ってこない。
嗚呼、今……本当に私の愛している彼はこの時間線には存在しないのだと思うとじわりと自然に涙が浮かんでしまう。
寂しい……寂しいよシュウさん、早く元に戻ってほしい。
寂しさの余り机に突っ伏したままグスリと鼻を鳴らせば
ふわりと遠慮がちに私の頭を撫でる小さくて冷たい手に気付きそっと頭をあげれば酷く悲しそうな幼い顔に思わずぎょっと目を見開いた。
「しゅ、シュウさん?」
「ごめんね、花子さん……花子さんは大きな僕が好きなのに此処にいるのはそんな僕じゃない」
「あ、えっと」
「早く戻ってあげたいけど……、んん、だって僕は花子さんにとっては要らない僕だもの」
落ち込んでいる私に遠慮がちに言葉を紡いでくれる彼
紡がれるその言葉一つ一つが彼の幼いこころをグザグサと刺してしまっているのがありありと手に取って分かってしまう。
嗚呼、私……シュウさんの誕生日が近い事や、解決策が見つからない事に焦って
目の前の幼い彼に酷い態度をとってしまっていたかもしれない。
この三日間思い返せばずっと私は彼が早く元に戻らないか戻らないかばかり。
彼にとっては、私がそんな言葉を紡ぐ度に今こうして言葉にしているように「お前は要らない」と言われているようだったのだろうか。
一番戸惑っているのはこうして何百年も未来に自分だけ飛ばされたような感覚の彼だというのに私は自分の焦りの気持ちばかりに気を取られて今の幼い彼に酷いことを沢山言ってしまった。
「シュウさん」
ぎゅうと彼を抱き締めてそのまま何度もその小さな背中を撫でてごめんなさいと紡ぐ。
そうだよ、私が愛しているのは大きな彼だけれど今の目の前の彼だってそんな愛しいシュウさんであることには間違いはないのだ。
なのにそんな彼を悲しませるような態度をとってしまって…いくら焦っていたとはいえ本当に最愛失格だなぁ。
この幼いシュウさんだってシュウさんの一部なのに…
「シュウさん、ごめんなさい。私、今のシュウさんも大好きだよ?」
「ん、ん、でも……」
「まぁ確かに愛してるのは大きなシュウさんだけど今のシュウさんもそんなシュウさんの一部だしって、今はよくわかんないかな」
確かにこのままの彼とずっと…となってしまうと話は変わってしまうけれど
きっとカールハインツさんの気まぐれだそう長くは続かないだろう。
それにレイジ君も頑張って元に戻る方法を探してくれて未だに有力なものはゼロだと言うのなら
そのまま悲観してこうして落ち込み続けるのもよろしくない……こうして幼い彼に気を使わせてしまうし、悲しい思いもさせてしまう。
だったら解決方法が見つかるまで折角こうして幼い彼にも楽しい思い出を作ってあげようじゃないか。
「ねぇシュウさん、明日私とデートしません?」
思い切ってそんな提案をした10月13日、
彼の誕生日まで後5日……
私がデートに誘えばその大きな瞳をパチパチとさせて「この姿の僕でいいの?」って聞いてきちゃうシュウさんに思わずきゅんっと胸が締め付けられてしまったけれど…
別にショタコンって訳じゃ無い……決して、決してである。
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