短編集4 - paranoia的な

やきもち～シュウさんの場合～

「…おい花子、これはどういう事だ。」

「全部シュウが悪い」

シュウは自身の部屋の不自然にあいている空間を不機嫌に指さす。
そこは先程まで彼のベッドが置いていた場所。

「何が「もう俺はベッドと結婚する」だ、馬鹿！わた、私というモノがありながら！シュウなんかもうずっと床で寝てればいいよ！」

「…じゃぁ、今度は床と結婚するけど？」

「ひどい！」

以前何気なくいつもの様に会話をしていればそんな台詞。
もういつもいつも寝てばっかりで私の事構ってくれないのに今度は結婚だと！？
許さない！断じてだ！
けれど私の怒りっぷりを見てシュウは長い溜息をついてそのまま部屋を出ていってしまう。

「え、ちょっとシュウ。どこ行くの？」

「花子の部屋」

「何で！？」

当たり前の様にそう答えた彼に慌ててついて行けば私の部屋にくるなりそのまま体をベッドへと投げ出してしまった。
そんな彼に腹が立ちぐいぐいと引っ張るけれどびくともしない。

「も、もうもう！今度は私のベッドと結婚する気！？酷い！シュウのビッチ！」

「ああもう、うるさい…」

大きな声で喚けば眉間に皺よよせてそのまま私をベッドへと引き摺り込んで
そのままぎゅうぎゅうと抱き締めはじめた。

「これだから女は嫉妬深くてヤなんだ…」

「だからって無機質なものと結婚だなんてそんな…、」

言葉の途中でキスされてしまって固まれば
もう既に眠る体制なのか虚ろな瞳のまま彼は私を射抜く。

「俺がベッドを好きなのは花子の夢を見れるから…」

「え、」

そんな台詞を言われて赤面しない女子がいるのならば見てみたい。
例にもれず真っ赤になってしまった私を見ておかしそうにふにゃりと笑うシュウはとてもかわいい。

「でも…本人が自分に嫉妬してるとか…笑える」

「…逆巻シュウ君、それは反則。」

恥ずかし過ぎて仕方なくて彼の胸に顔を埋めて隠せばそのままもっと抱き締められてしまい
結果身動きが取れなくなってしまった。

「可愛いやきもち妬きの花子のご機嫌を取るために、俺は今から頑張ろうと思うんだけど…どうしてほしい？」

「う…うぅ…う～」

耳元でそんな事言わないでよシュウ。
もう私心臓爆発しそうで瀕死なんだけれど。
けれど誤魔化すことを許してくれない彼は更に追い打ちとばかりに耳元で囁いてくる。

「ホラ、花子…言って？」

「じゃ、じゃぁ…もっと、ぎゅって…」

私のお願いのままにもっともっとぎゅっとされて
彼の香りが全身を覆う。
この幸せな感じは何とも表現できない。

「次は？」

「き、キス…して、」

「ん、」

ちゅっちゅ、と何度も何度も色んな所にキスの雨が降る。
心地よくて目を細めれば愛おしい彼の目とバチリとあってしまい、また赤面。

「これだけ？」

「…え、」

「………なぁ、花子。もっと俺にシて欲しい事…あるだろ？」

挑発的に微笑まれてしまい
もう成す術がない私は観念して彼の首へ手を回して懇願する。

「…やさしく抱いて下さい」

「はは…よくできました」

満足した答えを得たのか、彼は嬉しそうに笑い始まりの合図の様に私の唇を深く深く塞いだ。

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