やきもち〜スバル君の場合〜


「スバル君はいかに自分がイケメンかをもっと自覚すべき」


「は?…はぁ!?んだよいきなり…ばかじゃねぇ!?」


「そう!それだよ!それが全国の女の子達を惑わせるんだよ!」


大きく喚けば呆れた溜息。
だって仕方ないよね!スバル君って普段は格好良く手怖くて近寄りがたいイメージだけど

こうやってちょっと褒めれば顔真っ赤にして照れ隠しに悪態。正直可愛い。
全国の女の子が放っておくはずないじゃん!



「もう本当に私はいつ他の子にスバル君取られるか心配で心配で仕方ないよーぅ」


「花子が馬鹿すぎてもう言葉も出ねぇよ」



ぎゅうっと腰に抱き付いて嘆けばぽんぽんと優しく頭を撫でてくれる。
ホントさ、そうやって何気なく優しいところもだいすきだし。


「つかそんなん言い出したら俺の方が心配で仕方ねぇよ」


「え、何を心配してるの?」


彼の言葉の意味が分からず首を傾げて見上げれば再び赤くなってしまったスバル君。
そしてふいっと顔を逸らされてしまい、それでも見つめれば何かぼそぼそと呟いた。


「な、何?聞こえなかった…もういっかい」


「あーくそっ!」


わしゃわしゃと髪を掻き毟って、そのまま勢いよくこちらを振り向いたスバル君は
銀髪とのコントラストが素晴らしいくらい赤面していて思わず笑いそうになってしまったけれど
何かを決心したかのような彼の表情にじっと言葉を待った。


「おまえ…っ!可愛すぎんだよ!いつもいつも俺の後ろちょこちょこついてきやがって!犬か!後その上目遣いも反則だかんな!俺の理性試して何が楽しいんだこの馬鹿花子!これ以上お前を好きにさせたいのか!?」


「え、あの…すば…えぇ?」


一気にまくし立てられてしまう愛の言葉は止まる事を知らない。
もう今度は私が顔を赤くしてしまう番だ。


「可愛い自覚ねぇからかいつも男近くに置きやがって、嫉妬するこっちの身にもなれ!後血ィ吸われてる時に出す声エロ過ぎだしもうホント我慢してる俺は聖人かなんかかよ!」


「え、我慢って?何我慢してるの?」


「っだぁぁぁ!そういう天然もやめろっつってんだよ!クソ、可愛いなオイ!」



何かがキレてしまったのか盛大に叫び散らしたスバル君はそのまま私の手を引っ張って
彼の部屋へとずんずん進んでいく。



「あ、あの…スバル君?」


「あーもう知らねぇ。もう知らねぇ。どうにでもなれ。花子がワリィんだからな」


…私は何もしていないと思うけれど。
そんな事を考えながら彼について行けばそのまま棺桶に引きずり込まれると思っていたが滅多に使わないであろうベッドに放り投げられてしまった。



「俺の方が可愛くて天然で自覚ねぇ花子が誰かに取られそうで心配だよ」



困ったような、観念したように笑ってそう言ったスバル君は
そのまま私の首元に自分のだと言う証を刻み込んだ。



それは自己表現が苦手な彼が出来る唯一の主張。



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