やきもち〜コウ君の場合〜
「はぁ…やっぱりコウ君って格好良いよね…だいすき」
「…………ちょっと。」
「あ、ちょっと黙って今すごくコウ君が格好いいところだから!」
「本人此処にいるでしょぉぉぉぉ!?」
ビリビリと大きな私の彼の声が響き渡る。
ああ、折角のコウ君の台詞聞き逃しちゃった!
まぁ、録画してるからあとで見直せばいいか。
盛大にため息を吐いて後ろからぎゅうぎゅうと抱き締めている画面の中のアイドル様をちらりと見ればびっくりするくらい不機嫌顔だった。
そんな彼に苦笑してごめんなさいとキスをしたらようやく呆れたように息を吐いて私を解放してくれた。
「全く…花子ちゃんってば俺の事好きすぎ。何が悲しくて自分に嫉妬しなきゃいけないの」
「だってコウ君は明るくてキラキラしてて格好良くて可愛くてそれでいて」
「ま、まってまって褒めすぎ。褒めすぎだから」
どうしてか顔を赤くしてしまったコウ君が両手で私の口を塞いでしまう。
困った…これじゃぁコウ君の素敵な事を語ることが出来ない。
それでも一生懸命もがもがと口を動かしていれば困ったようにコウ君は笑う。
ああもうその顔も可愛いなぁ。
彼の言う通り、私はコウくんがだいすき。
アイドルとしての彼ももちろん好きだし、こうして恋人である彼はもっと好き。
だからこうして忙しい時間を縫って私と一緒に居てくれるこの時間は最高に幸せなのだ。
「はぁ…それにしても花子ちゃんの部屋、すっかりピンクだねぇ」
「だってコウ君カラーだからね」
いたるところに彼のポスターが貼ってる私の部屋はどうしても彼のイメージカラーであるピンク色に染まってしまう。
仕方ないよね、だいすきなんだもの。
けれどそんな私を見てコウ君はやっぱり困った顔。
「でもさぁ、何か…アイドルの俺が最大のライバルって感じ。いつか花子ちゃんを取られちゃいそうだよ」
「それはないかな」
彼の不安げな言葉にぎゅっと抱き付いてもう一度自分からキス。
するとコウ君は少しばかりその綺麗な瞳を見開いてくれた。
キラキラ輝く彼の瞳に映る私の顔はだらしなく緩んでいる。
「だって私が一番好きなのは彼氏であるコウ君ただ一人なんだもの」
「花子ちゃん…」
それは本心からそう思う。
アイドルのコウ君はどうしても他の女の子の…みんなのものだけれど
こうして私と二人きりでいるときのコウ君は紛れもなく私だけの彼だから…
「っもー!そんな可愛い事言っちゃって!我慢できない!ベッド行く!」
「わっ!コウ君…」
私の言葉がよほどうれしかったのか
すごくご機嫌なまま抱き上げてそして勢いよく二人同時にダイブ。
ギシリとベッドがはずみ体を揺らしながら二人して微笑んだ。
「今夜は寝かせないよ〜?覚悟してっ」
「ふふ、コウ君がそう言うなら私も頑張ろうかな…?」
ぎゅっと抱き合ってこれからもっともっとこのシーツの海へと沈んでいくであろう事を思い浮かべて
幸せで思わず頬がゆるんだ真夜中のひととき
(「あの、花子ちゃん…せめてベッド周りだけでもポスターはがしてくれないかな?妖艶な微笑みで俺が俺を見つめてていたたまれない」)
(「ごめんそれはちょっと。大好きなコウ君をはがすなんてそんなそんな」)
(「もう!俺の彼女が俺を好きすぎてツラい!」)
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