やきもち〜ユーマ君の場合〜


「ゆ、ユーマ何ソレ…すごくかわいい…」


「…………笑ってんじゃねぇよ」



ぴよぴよぴよ



いやいやいや、無理だろ。
こんなかわいい光景見て笑うなとか無理な話だからね。


けれど大声を上げてしまえば可愛い可愛い客人が逃げてしまうから
声を必死に抑えて笑ってしまう。
ユーマはそんな私を見て小さく舌打ちをしつつもそろそろと慎重に歩く。


現在無神ユーマ君の頭の上に可愛い小鳥さんが三羽来客中である。


「背が高いから…電柱と間違えたんだね…ぶふっ!」


「知らねぇよそんなの…って、うお、揺れたらやべぇ」



いつも通り悪態を付くけれど声は心なしか小さくて
出来る限り体を揺らさないように細心の注意を払っているユーマはもう本当に優しくて可愛い。
そしてチラリと頭上の小鳥たちを見上げて思わず苦笑。


「羨ましいなぁ…」


「何がだよ」


「その子達、ユーマと同じ視線なんだなぁって思うと…ちょっと、」



私と彼の身長差はお世辞にも理想的とは言えない位でこぼこしているから何だか今の小鳥たちが羨ましい。


キスをする時だって私が一生懸命背伸びしても届かないし、
ユーマも精一杯か屈んでくれるけれど、やっぱり申し訳ない。


「おい、花子」


「ユーマ?…、ぅわ!」


気が付けばじっとこちらを見つめていた彼。
すると何を思ったのか突然ぬっと彼の手が伸びてきて状況を把握しきれないまま私の世界は急上昇する。


そしてバサバサと羽ばたく小鳥たちの羽根音


「…かたぐるま?」


「どぉよ!無神ユーマ様の世界ってのは」



気が付けば彼にひょいっと肩車をされていたようで、
今私は190cmのユーマの身長プラス、自身の座高を合わせて2m超えの世界を堪能している。
…同じ世界だと言うのに視界が変わるだけでこんなにも違うものなのか。


「すごいね…何だか別の世界みたいだよ」


「花子?」


ぎゅっと彼の頭を抱けば優しく私の名前を呼ぶユーマに甘えて
普段言えない本音をポツリ。


「やっぱりユーマと私、遠いんだね…私もユーマと同じ世界がいいのに」


それは身長も、目線も、種族も。
どうして私乗せは低いの?
どうして私は人間なの?
どうして私はユーマと同じになれないの?


色んな悲しい事実に嘆きそうだけれど
それはこの格好良い野生児が全部壊してくれる。


「ばっかじゃねーの?」


「ちょ、人が真剣に…ん、」



チクリの太腿に痛みが走れば鉄の香り…
ああ、またこいつは所構わず吸血してくれちゃって。
少し注意しようと思ったけれどいきなり頭を動かされてしまい顎に彼の石頭が直撃してしまう。
うう、痛い。


「花子がちまいなら俺が屈んでやるし、俺の世界が見てぇならこうしていつだって肩車してやる。お前が望むならいつだってこっちの世界へ引き摺り込んでやる」


この態勢なので彼の顔はよく見えないけれど
その言葉はしっかりはっきりしていて、ありきたりな「大丈夫」なんて言葉よりも酷く安心させられてしまう。


ああ、私はユーマのこう言う所が大好きだ。



「ありがとう、ユーマ。大好きよ」


「…おまえなぁ。この態勢でそう言う事言うか?普通」


「は?え、ちょ…待、んん…っ」


彼の長い溜息の後、私を襲う痛みと快感の連続で
涙を溜めながら全力でこの馬鹿エロ野生児の頭を殴りつける


「太腿舐めては吸血ってどこのド変態よ!ばか!」


「ぃてぇ!花子が可愛い事言うのがワリィんだろ!?」



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