愛の報い
「最悪…マジ最悪、花子最悪。」
「う、うえええん!ごめんなさいシュウくーん!!」
自身のベッドの上でいつもの様に横になりながらこちらをじとりと睨みつけるシュウ君にぶわっと涙をあふれさせる。
それもこれも全部私が悪いのだけれど…
「ったく、唇荒れるまでキスとか…ホントありえない。…痛い。」
「だ、だってシュウ君が好きすぎてつい!!」
私はシュウ君が大好き。
だからその感情のままに何度も何度も毎日飽きもせず彼の唇を奪っていれば
遂にシュウ君の綺麗な唇がキスのし過ぎで荒れてしまったのだ。
すこしばかりやり過ぎてしまったと反省して肩を落としてしょんぼりしていればながーいため息が部屋に響き渡る。
「花子、一週間キス禁止な。」
「彼女にまさかの死刑宣告!!!」
彼の無慈悲な台詞に溜めていた涙を零せばシュウ君の眉間の皺が深くなる。
「何、花子は俺の唇が切れて血が出ちゃっても良いって?」
「そ、それは…その、」
「ホラ、わかったら取りあえずお詫び寄越して」
彼の言葉にもごもごと口を動かしていれば未だに不機嫌顔なシュウ君にそう言われて
おずおずと彼の傍に近付く。
あ、顔近い…キス、したいなぁ。
じっと彼の唇を見つめていればむにっと綺麗な人差し指が触れる。
「花子、だめ」
「う…うぅ〜!」
彼の言葉に必死に我慢していればブツリと首筋に埋め込まれる牙にぎゅっと瞳を瞑る。
そしていつもの様に彼に縋り付けば低く笑われてしまうけれど今は吸血の痛みとか快楽とかそれどころではない。
シュウ君にキスできないのが辛い!
「ん、…………花子、何してんの?」
「ぅむー!むー!!!」
一通り私の血を吸って満足したのかシュウ君は私の首から牙を引き抜いたけど
彼の身体が私から離れることはない。
いや、正しく言えば私がシュウ君を離そうとしていない。
「全く…キスできないからって俺のマネ?」
呆れかえったシュウ君はポンポンと私の頭を撫でる。
さっきから私はずっと彼の首筋に吸い付いている状態だ。
勿論彼の様に牙はないけれど、それでも彼にキスしたい欲求を抑えるために私は必死なのだ。
「花子、」
「むぁ!?」
ぐいっと体を離されてしまい開いてしまった彼との距離に再び涙目である。
このドS吸血鬼は私を泣かせる天才だと思う。
それでも再びかれに抱き付こうとしたけれど顔をわしっと掴まれて固定されてしまえばその距離が縮まることはない。
「うわーん!シュウ君が遠いよー!!」
「はぁ…落ち着け、花子。いい子だから…」
じたじた暴れていればとっても優しい口調でそんな台詞。
基本彼に従順な私は言われるがままピタリと動きを止める。
そうすれば彼は困ったような、呆れたように微笑んだ。
「我慢が出来ない花子の為に唇以外なら…許してあげる」
「しゅ、しゅうぐーん!!!」
「あ、ちょ、花子…ま、あ…っ、ちょ…!」
彼のそんな言葉が嬉しくて嬉しくて私は思わずシュウ君をそのままベッドに押し倒して
感激と好きと愛しているのキス。
勿論ご命令通り唇以外にだ。
これから一週間唇に出来ない分彼の身体中に唇を落とそうと心に誓った夜。
(「ご、穀潰し…この季節に蚊、ですか?それにしては量が多いような…」)
(「これは俺が甘すぎた報いなのか…ガチで禁止にすればよかった…」)
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