envy
「ルキくん、ルキくん!だいすきっ!」
嗚呼、どうしてお前はそんな嘘をつくのだろうか。
相変わらず馬鹿げたテンションで紡がれる愛の言葉と絡められる腕に大きくため息をつく。
「花子、嘘はやめろ」
「ひ、ひどい!私はこんなにもルキくんを愛してるのに!!」
俺の言葉にじわりと涙を浮かべて
離さないでと言わんばかりに絡める腕に力を込める。
嗚呼、また俺はこの嘘つきの言葉と態度に欺かれてしまうのか。
いつだって花子は俺にすき、好き、愛していると沢山の甘い言葉を投げかける。
それが辛くて辛くて仕方がない。
「花子…、」
彼女の言葉のままにその唇を塞ごうとした時に流れる無機質な音に小さなため息。
ホラ、お前はこうやって簡単に俺の傍から離れてしまう。
「ああ、ごめんね。職場から電話だ…」
するり
絡められていた腕が簡単に離れていってしまう。
ホラ、いつだってお前の一番は俺ではないじゃないか。
俺の知らない声で
俺の知らない表情で
俺の知らない言葉で
お前はいつだってこうして俺から離れるじゃないか。
暫くして携帯の通話ボタンを切った花子は再び俺の腕に擦り寄ってくる。
俺は別に貴様の都合の良い男じゃない。
「花子」
「あ、」
するりと彼女の手の中から携帯を取り上げベッドの上へ放り投げる。
少しばかり戸惑った花子の瞳に更にイライラが増す。
「貴様が本当に俺を愛している言うのなら…休日位、奴の電源を切っていろ」
そんな本音を吐いて先程塞ぐ事の出来なかった唇に噛み付いた。
花子は驚いて目を見開いていたがその瞳に映っていたのが俺だけだった事実に酷く安心してしまう。
嗚呼、今だけはお前の世界に俺だけだな。
「ルキくん…?」
唇を離せば未だに戸惑っている彼女にもう全て暴露しよう。
愚かで愚鈍なお前には態度なんかよりはっきり言葉に表した方がいい。
「花子、俺だって嫉妬位する…仕事を家に持ち込むな」
ピリリ、ピリリ
再び鳴り響く無機質な音。
けれど彼女はもうそれに応えることはない。
只々嬉しそうに俺の腕の中で微笑むだけだった。
「そうだね、特別手当も出ないし。…その分ルキくんを構おうかな。」
その言葉に感情のままに花子に覆いかぶされば
鳴り響く彼女を呼び出す電子音は暫くして諦めたのかもう鳴り響くことはなかった。
戻る