変わらない世界
少しばかり疲れてしまった…
ねぇ私っていない方がいいのかな?
「………はぁ?んだよそれ。」
「ユーマ君ならそう言うと思った。」
彼の予想通りの言葉に思わず苦笑してしまう。
ただ、ちょっと疲れてしまっただけだ。
別に本気でそんな事を思ってるわけではない。
作り笑いも
人の空気を読むのも
ただ、疲れただけ…
ユーマ君ならそうやってすごく嫌な顔をして怒ってしまうって分かってたのに。
どうして私、こんな言葉口にしてしまったのかな…
それだけ疲れてしまってるのかな。
「ごめんね!変な事言っちゃって。」
「ホントだぜ…うっぜ。」
不機嫌な彼はそのままシュガーちゃんを齧りながら
のそのそと私の隣に座っていたのに立ち上がってしまった。
ああ、本格的に機嫌を損ねてしまったらしい。
…正直、こんなに疲れてしまってるから傍に居て欲しかったけれど。
「何が自分がいない方がいいだよ…自惚れんな。花子がいなくなったところでなんもかわんねぇわバーカ。」
「うん………そう、だね。」
グサリ。
彼の言葉が疲れている心を抉ってしまう。
うん、正論。
私みたいなのがいようがいまいが何も変わらない。
あーあ…何自惚れてたんだろ。
でも…うん、でも…ちょっとは慰めて欲しかったな…。
元気出せって…大丈夫って…ユーマ君に言って欲しかったな。
じわりと俯いて涙を溜めていれば
彼はそんな私を無視して部屋の出口の扉へと手をかける。
あ、行っちゃう…でもそうだよね、こんなめんどくさい女の隣は嫌か。
でもユーマ君は一瞬ピタリと足を止めてこちらは振り向かなかったけど
小さく、少しだけ震えた声で言葉を紡いだ。
「でも、俺は…花子がいなくなったら泣くけどな。」
「ユーマく、」
「…………部屋、戻る」
彼の言葉に思わず溜めていた涙を零して
わざわざ行先を伝えてくれたユーマ君に思わず笑ってしまった。
「えへへ…ユーマ君、だいすき」
独りきりになった自室で小さく呟いて私もゆっくり立ち上がる。
向かうはユーマ君の部屋。
彼の部屋の扉を3回ノックすれば返事の代わりにぬっと伸びてきた大きすぎる腕に飛びついた。
ここはユーマ君の部屋…彼の縄張りだ。
大丈夫、ここならいくら泣いても喚いても貴方は全部包み込んでくれる。
「花子、もうあんな事…絶対言うな。」
「さっきは私が消えても何も変わらないって言ったのに」
ぎゅうぎゅうと消えないようにと力いっぱい抱き締めてくれるユーマ君に意地悪を言えば
彼は不機嫌な顔じゃなくて泣きそうな顔をして私に大丈夫なんてそんな言葉より元気が出る言葉をくれた。
「花子が消えても世界は変わらねぇけど…きっと俺は変わっちまう」
ねぇユーマ君…貴方に愛されるのってこんなにもマイナスな思考が全部吹っ飛んでしまうものなの?
さっきまで疲れ切ってボロボロだった心がこんなに簡単に癒えてしまったよ?
これはユーマ君の言葉が凄いのか私の思考が単純なのか…はたまた両方なのかは分からない。
分からないけれど…
「んだよ…嬉しそうな顔しやがって。さっきまで死にそうな顔してたっつーのに」
「えへへ…なんでだろうね。」
もうそんなのどうだってイイやって思っちゃうくらい
今、私すっごく満たされてる気がするよ。
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