嘘つきハニー


「うう…世の中の男子諸君は消滅すればいい。」



「え…じゃぁ、俺も…きえちゃうの…?」



「アズサ君は天使だから消えない。大丈夫。」




ベッドの上で寝転んでグチグチと呪詛を吐いていれば悲しそうに呟いちゃった私の天使にぎゅうぎゅうと抱き付いた。
ああん、もういちいち私の言葉を真に受けちゃう貴方が大好きよ。



そう、本日女の子の日二日目である。
比較的重い私は月に一度のこの拷問に毎回耐えまくっていつもアズサ君がそんな私を見て悲しそうな顔をしてしまう。
彼にこんな顔をさせている自分を一発殴りたい気分だ。



「花子さん…可哀想…よしよし」



「………一家に一台アズサきゅん。」



直接おなかに触れると冷たくて私が可哀想だからって
ゆっくり優しく頭を撫でてくれるアズサ君はまごう事無き天使だと思っていた私が甘かった。
この時、彼が密かに私の事を想ってある決意をしてくれていた事に気付きもしなかったのだから。






「花子、さん…」



「あず、アズサ君?どうしたの?」



次の日、更にしんどい3日目を迎えて、本気で屍状態で家に帰れば当然の様に待ち構えていたアズサ君にぎゅうぎゅうと抱き締められて
そのままずるずるとベッドまで運ばれてしまった。
や、うん。移動するのもしんどかったからありがたいけれど…何だか嫌な予感しかしない。



気が付けば二人でベッドの上にちょこんと向かい合って座っている状態だ。
そして心なしかアズサ君がすっごく嬉しそう。
どうしたのかな?って思って首を傾げればアズサ君は本当に嬉しそうに微笑んだ。




「花子さん…あの、ね?俺…女の子の日…辛くなくなる方法…昨日、覚えた。」



「え!?ほ、本当!?ど、どんな方法なの!?」



彼の言葉に前のめりになって言葉の続きを待つ。
薬や暖かいモノでも収まらないこの痛みが解消されるのならばなんでも縋りたいのだ。
けれど私の期待をこの天然ぎゃんかわ吸血鬼君は盛大に裏切るのである。




「俺…だったら、花子さんの…女の子の日…10か月、止めれるんだって…」



「よし、アズサ君。野生児とアイドルを今すぐここへ呼び出してくれるかな?ボコボコにしてやんよ。」




誰だよ私の天使にとんでもない事吹き込んだ馬鹿野郎はマジ野生児とアイドルぶっとばす。
と、心の中で犯人を特定して彼にその二名を呼び出すようにお願いしてみたけれど
彼は既に私の言葉なんて耳に届いちゃいない。



「ふふ、俺も…花子さんに出来る事…あったんだね…うれしい…10か月終わったら…また10か月、止めてあげるね?」



「やだ子だくさんの予感しかしない!」



少し弾んだ声でぎゅうぎゅうと抱き締めてくれるアズサ君にもはや抵抗できなくて
私もお返しに彼を力いっぱい抱き締めてしまう。
くそう!天使が大好きな私に抵抗と言う二文字はないのだ!!



しかし、不意に体を離されて彼はきょとんと首を傾げてしまう。
ん?ど、どうしたのだろう…。



「えっと、どうすれば花子さんの女の子の日…とまるんだろ?」




「………………アズサ君がぎゅってしてちゅってしたら痛いの吹っ飛ぶと思うよ。」



「!…うん、沢山…する、ね?」



どうやら肝心な方法は聞いてこなかったらしく、そんなアズサ君に
「赤ちゃんはコウノトリさんが運んでくるんだよ★」レベルの嘘をつけば
嬉しそうにホントにぎゅって抱き締めて何度もキスをしてくれた。




………なんで女の私が生殺し状態にならなければならないんだ。





解せぬと1人アズサ君の可愛い愛情表現に溺れながらも
明日絶対ユーマ君とコウ君をボコボコにしてやると誓った春先の夜。




―後日。




「す、すまない…アズサと花子が付き合っているから万が一を考えてアズサに性教育を教えていた所いきなり抜け出されてしまって…!」



「………まさかの犯人ルキ君オチとか。」




宣言通り無神家に乗り込んで問答無用で野生児とアイドルを殴りまくっていれば
参謀がガタガタと震えながら正座して懺悔し始めたからもう私は怒る気力もうせてしまった。




まぁでもこれから月に一度はアズサ君が私に沢山ぎゅってしてチュってしてくれるから良しとしようか。




「「俺達解せぬ!!」」



「うるせぇ日頃の行いでしょ!ばーか!!」



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