はつこい
俺はキミが大好きだった。
けれど愛されなかった俺は愛し方を知らないでいたんだ。
「花子…、」
「ひぅ…、」
君の名前を優しく呼んだのにどうしてか君はガタガタと怯えてその場にへたり込んでしまった。
どうして…?俺はこうして君をいじめる人たちをやっつけただけなのに
どうしてそんな怯えた目で俺を見るの?
“アズサ君、ありがとう…だいすき”
って、どうして言ってくれないの?
期待された言葉がもらえないのが酷く淋しくて悲しくて…
花子を抱き締めたくて手を伸ばしたら彼女の綺麗な瞳から沢山の涙が零れ落ちる。
嗚呼、どうして…?どうしてそんなに怯えるの?
「花子…もう花子を苛めるひとなんていないよ?大丈夫だよ…?怯えないで…」
「やだ…や…や…っ!こないで…!」
優しく包み込んであげたいのに花子はずっと否定の言葉を俺に浴びせる。
違う…違うよ…俺が欲しかったのはそんな言葉じゃない。
「花子…ひどいよ、」
君の為に頑張ったのに
君の為にたくさん消したのに
どうして…どうしてそんな風に泣くの?
どうしてそんな風に俺を拒むの?
悲しくて悲しくて悲しくて
そんな衝動のまま俺は泣きじゃくる彼女の身体に牙を立てた。
「…今なら、わかるのに…な、」
ぽつり、独りで呟いても誰も返してくれることはない。
今なら…今ならきっと君を愛するって事…どういうことか分かるのに。
「花子は元気かなぁ…」
幼すぎた俺の恋心で酷く傷付けてしまった女の子の名前を紡ぐ。
愛おしくて大好きなその名前を口にするだけで酷く胸が暖かくなる。
…どうか、俺に傷つけられてしまった分、どこかで幸せになっていてほしい。
「花子…だいすきだよ…、」
小さな音を立てて真っ白なある華にキスをした。
どうかこの先君が幸せでありますように。
「ごめんね…、」
愛し方を知らない俺で。
只君の周りの嫌な奴を消していけば俺を愛してくれるって思ってたけれどそうじゃなかった。
慈しむって、どういう事かあの時の俺は酷く無知で分からなかった
「花子」
いとしいいとしいキミ。
俺の最初で最後の恋は酷い結末で終わってしまったけれど…
その分君はどうか幸せで
「あいしてた」
酷く寂しいそんな言葉は夜空に消えてまるで元からなかったかの様に溶けて消えてしまった。
さようならいとおしひと
さようならはつこい
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