背伸び厳禁
「シュウ君、今まで…ごめんなさい」
「…………なにが?」
俺の彼女がいきなり部屋に飛び込んできたと思えば
そのまま抱き付いてきてボロボロ涙を零しながらこんなセリフ。
急展開過ぎて全然ついて行けない。
「花子、とりあえず落ち着いて。何があった」
ぐいぐいと、彼女の涙を拭ってやりながらそう問えば
相変わらずとても悲しそうな顔をして震える声でようやく涙の理由を話し始める。
「ライト君が…『シュウはね、とってもめんどくさがりだから今まで気持ちいい事の時動いた事無いんだよねぇ。だから花子ちゃんはそろそろめんどくさいって飽きられちゃうね。んふっ♪』…って」
「火あぶりで」
ぷるぷると、また泣きそうになりながらの彼女の告白に俺は即座にライトの処刑方法を高らかに宣言した。
きっとトラウマ的なものが克服できる気がする。
「だ、だから…だから今日はシュウ君に飽きられないように頑張ろうって…!」
「はぁ?ちょ…おい、花子…!」
訳のわからないスイッチが入ってしまった花子はそのまま勢いよく俺をベッドへと押し倒してじっとこちらを見降ろす。
いつもこういうのは俺が彼女の上で、花子は只散々俺に喘がされてただけだからすっごく新鮮…新鮮なのだが
「花子…無茶しなくていいから」
「だ、だい、だい…だいじょぶ!」
大丈夫な訳ないだろう…というか緊張しすぎて大丈夫って言えてないぞお前…
顔真っ赤にして涙目になりながらそんな事言われたって全然説得力ないし。
小さくため息を吐けばぐっと俺を押さえつけているほっそい腕に力が入る。
…まぁ、正直この程度なら易々と形勢逆転できるのだけれど。
「わ、わた、私だって動くし!動けるし!!まぐろちゃんじゃないし!!!」
「ったく…何でそんなにライトの言葉気にしてんの」
俺以外の言葉で花子の心が動かされるのが正直気に食わない。
けれど花子はそんな俺の考えなんてお構いなしに理性を崩壊させる爆弾を投下してくれる。
「シュウ君に嫌われないためなら私なんだってするもの!」
「………花子はちょっと俺に対して健気すぎ」
そんな言葉と共にくるりと体制を反転させれば
一瞬何が起こったのか分からなかったのか花子はきょとんとしていた。
けれどその顔はすぐに焦りの表情になり、バタバタと俺の下で大暴れし始める。
「ダメダメダメー!きょうは私が上なの!!シュウ君にめんどくさがられたくないよー!!!」
「あーハイハイハイ、黙って…花子、」
「んぅ、」
駄々っ子のような大暴れに盛大な溜息をついて
その喧しい唇を深く深く塞いでやる。
すると素直で従順な花子の身体はするすると力が抜けて大人しくなる。
ああもう、本当に可愛い奴。
「シュウ君…」
「俺は花子にだけは自分で動きたい気分なの」
子供をあやすように優しく頭を撫でで額にキスしてやれば
ようやくその顔はほっとしたような嬉しいような笑顔に変わって
俺もその表情を見て笑顔に変わる。
「大丈夫、花子は無茶なんてしなくていいから…」
気持ちいい事が大好きなくせに恥ずかしがりやで
それでいてそれ以上に俺の事が大好きすぎるお前の事が誰よりも大好きだ。
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