しあわせだね
「ううん、中々見つからないね…」
「そう、だね…でも探したい…なぁ。」
ガサガサ。
私とアズサ君は絶賛原っぱで大捜索中なのだけれどかれこれ2時間はこうしている。
流石にしゃがみっぱなしだから腰とかも痛くなって来たけれどまだもうちょっと頑張っていたい。
「そうだよねぇ…見つけたいよね、四葉のクローバー」
小さく呟いたその言葉は青空に溶けて消えた。
昨日の夜、何気なくアズサ君とお話してる途中に目に入った一冊の本。
きっとルキ君のものだったのだろうけれど彼にしては意外にも可愛らしい表紙だったので本人もその場にいないという頃でこっそり中を二人で拝見してみたのだ。
するとそこに載っていたのは可愛らしい御伽噺ばかりで、ルキ君らしくないなぁと思いながらも読み進めていけば不意に目に留まった「四葉のクローバー」のお話。
四葉のクローバーを見つけたら幸せになれるという例のお話だったけれど、私は小さいころから知っていたがアズサ君は初めてだったみたいで
その目をキラキラ輝かさせて「俺も四葉のクローバー探したい」って言ったので今に至る。
「うぅ…ホント…中々見つからないものなんだね…」
「そうだね…ていうかアズサ君はどうして四葉のクローバー見つけたいの?」
それから更に二時間、すごく頑張ったけれど全然見つからなくて
疲れ切った私達は原っぱの上にぐったりと倒れ込んで大きく息を吐いた。
そして不意に聞いてみたのは私の疑問だ。
突然四葉のクローバー見つけたいとか…
それもこれを見つけたら幸せになれるって聞いた瞬間にいつも以上に大きな声をだしての主張だったからホントに疑問だったんだ。
もしかしたらアズサ君、今…幸せじゃないのかなって、
私はアズサ君と恋人同士になれて、いつも大好きだよって言い合って
抱き締めあって愛し合ってすごく幸せ。
でもそれってもしかして私だけだったのかなって思うとちょっと悲しい。
じっと彼の目を見つめて返答を待てば彼はとても幸せそうに笑った。
「俺が今…すっごくしあわせだから…花子さんにもこの幸せをおすそ分けしたくって…」
「アズサ君…」
「花子さんに出会って恋人同士になって…俺、すっごくしあわせ…怖い位。だから…花子さんも俺と同じくらい幸せになってもらいたいなぁって…」
「…っ」
「俺が伝えるだけじゃ足りない位しあわせだから…こうして四葉のクローバーの力も借りたらようやくお揃いかなって…」
ぎゅっと放り出された手を握られてそんな事言っちゃうアズサ君に対して
私の胸からは愛おしさが溢れだしてもうどうすることも出来ない。
只、今自分に出来る事をぐるぐると頭の中で考えて、勢いよく飛び起きる。
突然の事で驚いたアズサ君がじっと私を見つめるからニッコリ悪戯に微笑んだ。
「きーめた!絶対四葉のクローバー見つける!!そんでアズサ君にあげるの!!」
「え?」
私の言葉に今度はアズサ君が疑問を持ったらしくくたりと首を傾げるから
ぐいーっと青空に向かって背伸びしてこちんとその可愛い額を小突いてあげた。
「私の方がアズサ君よりずーっと幸せだから、私がアズサ君に幸せのおすそ分けするの!」
「……花子さん…ふふっ、そっか…ふふ…俺も、負けないよ?」
先程までは一緒に探していたのに今はどちらが先にその幸せのシンボルを見つけるか競争になってしまった。
その様子は何だか自分の方がキミと愛し合えて幸せなんだよって言い合ってるみたいでとても素敵。
「「あった!!」」
土まみれになりながら叫んだのはほぼ同時で、二人して片手に持った小さな四葉のクローバーを見つめ合って声をあげて笑った。
どうやら神様は「ふたりとも同じくらい幸せなんだよ」って言いたいみたい。
「もう、仕方ないなぁ…はい、アズサ君。」
「ふふ…っ、はい、花子さん。」
互いの見つけたそれを差し出して交換完了。
嗚呼、結局私達の幸せはお互い与え、与えられて同じなんだ。
「アズサ君」
「花子さん」
片手に幸せ、片手に最愛の手をぎゅっと握って一緒に笑った。
ああ、なんて素敵な一日なんだろう…
「「しあわせだね」」
同時に出た々言葉にまた静かに笑う。
ねぇどちらが幸せなんかじゃない。
私達、好きも愛も幸せも…ぜーんぶ一緒だね。
ふわふわ
幸せの四葉のクローバーふたつ
静かに風に揺られて笑っていた。
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