望むプレゼント
「シュウ君!シュウ君!ハッピーメリークリスマス!!プレゼントくれないと大人の悪戯しちゃうぞ!!」
「…………ハロウィンかクリスマスかどっちなんだバカ花子。」
「く、クリスマス!!クリスマスですシュウ君!!ああ!寝ないで!!プレゼント頂戴!!」
ばーンと勢いよく扉を開いてゴキゲンに声を掛ければ
さっきまで眠っていたであろう最愛がジトリとコチラをにらんで再度布団の中へ今度は頭まで潜り込もうとしたから
慌ててベッドへ駆け寄りゆさゆさと全力でその体を揺さぶった。
「うるさい。大体俺はヴァンパイアなんだからクリスマスとかどうでもいいというか聖なる夜とか胸糞悪いだけだ」
「きょ、今日くらいシュウ君が大好きな私の為に人間世界のお祭りごとに合わせてよお願いっ!!」
「………アンタよくそんな自惚れた台詞言えるな。」
めちゃめちゃ揺さぶったらどうにかお布団から出てきてくれた愛しの眠り姫は
そのままだるそうに上体を起こしてめんどくさそうに頭をかくので
その膝の上に勢いよくダイブしてじたじたとワガママを伝えたら真顔でそんな事を言っちゃうシュウ君に苦笑してしまう。
だって自惚れもするでしょう。
こうやって大きな声を上げながら突然部屋に乱入しても怒らない。
彼の大好きな睡眠を全力で妨害しても私の命はまだ健在。
…こうして許可なく彼の膝の上に体を投げ出しても大きなその手は私の首を絞めるどころかそっと頬を撫でてくるのだから。
「だって私はシュウ君に愛されてるもん」
「…………ちょっと花子のこと、甘やかしすぎたか」
自信満々にそう言えば彼は小さく笑ってそのまま覆いかぶさるように私の体を抱きしめてくれた。
嗚呼、ほら…やっぱり私は愛されている。
「で?プレゼント…何が欲しいわけ?」
「んー……もういいや!」
「は?」
柔らかな声色で問われたけれど、一思案して
そのまま彼の腰にぎゅっと抱き着き、部屋に入ってきた時の言葉とは違った返事を返す。
嗚呼、私…この世で一番欲しいプレゼントは既にもらってた。
「シュウくんは?シュウくんは何が欲しい?プレゼント、あげるよ?」
「んー……ん、んー……」
「…………ふへへ」
ぎゅうと抱き着きながら折角なので彼には何かあげようと
欲しいものを問えば返ってきたのは曖昧な返事というかうわ言というか寝言…
こうして私を抱きしめたまま眠ってくれるのも実はすっごく嬉しかったりする。
だってこれは私の体温と存在に気を許してくれている証拠なので
「シュウくんシュウくん…メリークリスマス。……おやすみ。」
もうすでに夢の中の最愛におやすみのキスを唇にしたかったけれど
抱きこまれてしまっているのでそれはかなわず、
仕方がないので目の前の彼のおなかにそっとキスをした。
クリスマス、結局通常運転になっちゃったけれどまぁいいかな。
私が一番欲しいもの…彼の愛は既に毎日もらっちゃってるし
彼も私の温度と存在が一番みたいだしこれで…
あれ?
毎日欲しいものを互いに捧げ捧げられているという事は
もしかして互いが互いにとって毎日サンタさんって事なのだろうか…
そう思うとなんだか胸の辺りがほわりと温かくなって
私は既に眠ってしまっているシュウくんの腕の中でひとり、
ちいさくしあわせに笑った。
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