お荷物です
ピンポンと誰か来たことを知らせる音。お荷物ですと言うカメラの向こうの人に答えて、オートロックを解除する。
しばらくして、今度は玄関のチャイムが鳴った。はーい、とドアを開けた先に立つ人を見て、「あれ」と反射的に声が出た。
彼の着ている制服は、よく来てくれる宅配業者のひとつに違いない。でもその制服でいつも来てくれていたのは、腰の低い小柄なおじさんだったはず。さっき応対したときは、買い物してきたものを冷蔵庫に入れようとしていて、よく確認しなかったんだっけ。
「?どうかしましたか?」
目の前にいるのは、初めて見る男の子だ。いや、子っていうのは失礼かもしれない。わたしよりは確実に若いだろうけど。とりあえず、こんなイケメン1回見たら忘れないってくらいイケメンだ。
癖毛なのかパーマなのか、緩く波打つ赤茶の髪に、けっこうがっしりした体つきをしている。
「え、あ、すみません、いつもの人と違ったからつい…」
そう言うと彼は、自分がヘマをしたわけじゃないと安心したのか、眉毛が下がりほっとしたような顔になった。なんだその顔、かわいいな。
「今週からこの辺りの担当になりました、新開です。オレのこともいつもの人って思ってもらえるようにがんばるんで、よろしくお願いします」
胸の名札を見せて笑う彼に、なんだか久々にときめいた。
「荷物、重いんで気をつけてくださいね」と、5キロのお米ごときに心配してくれるのは彼じゃなくてもマニュアル的にそうするんだろう。わかっている。わかってはいるけど、やっぱりイケメンにそう言われると悪い気はしないどころか好感度が思いっきり上がるのも致し方ない。
ありがとうございましたと背を向けた背中がまた、服の上からでもいい感じに筋肉がついているんだろうなあと思わせる。
ああやばい、これはむやみにネットで買い物をしてしまいそうだ。
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Around and around*