連絡篇東堂


仕事も終わり、買い物を終えて家に着いたとほぼ同時にスマホが震えて、確認してみると尽八くんからだった。

【急遽対応しないといけない仕事が入ってしまって、今日の帰りは20時頃になってしまうと思う。先に食事をすませてもらってもかまわないが、終わり次第すぐに帰るから待っていてもらえると嬉しい。】

忙しいだろうに、きっちりした文面が並んでいることに感心してしまう。いつも時間に余裕を持って連絡をくれる彼だから、今日は本当に突然のできごとだったんだろう。
わざわざ律儀だなあと思うと同時に、こんなこと言われたら待っていないわけにはいかないじゃないかと顔がほころんだ。

尽八くんが帰ってきたのは、連絡通りの、20時を少し過ぎた頃だった。

「すまない蒼さん、遅くなった!」

瞬間移動でもしたのかってくらいのスピードで玄関からリビングに入ってきた彼が、開口一番そう言った。

「ぜんぜんだいじょうぶだよ。むしろ忙しいのによく連絡できたね」

「当たり前ではないか。一緒に暮らしているのだからそれくらい当然だろう」

きょとんとした尽八くんが、連絡1本できない状況などそうそうない、とつけ加える。
それをちゃんとしてくれる人ってけっこう貴重なんだということを、これまでの経験からわたしは知っているんだよ、尽八くん。

「尽八くんって、いい男だよね」

「?! ふ、不意打ちとはずるいではないか!」

思いの外突発的なできごとに弱い尽八くんを見ながら、しあわせを噛みしめるのだった。

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