宇宙を飛んだ鳥

夢主×タオの新刊
『宇宙を飛んだ鳥』
#新刊のタイトル


 「翼があれば、何処までも飛んでいけるのでしょうか」
 澄み渡る青空の下、雲ひとつない空はまるで大海原のように広がっていた。その大海を泳ぐかのように翼をはためかせる鳥を見ては、羨望の眼差しを向ける。
 自由がない訳では無い。望めば何処へだって行くことは出来るのだろう。
 ただ纏わり付く息苦しさだけは、何処へ行っても消えはしない。
 睨めつくような人の視線が目を閉じても見えている。他者を貶める囁き声が耳を塞いでも聞こえてくる。
 誰もいない宇宙まで、羽ばたいて行けたら良いのに──
 
 「何処へ行っても俺の隣に帰ってこいよ、ナマエ」
 そう言って彼(タオ)は乱雑に頭を撫でる。暖かな掌は、自分を苛む視線も声も覆い隠すように大きくて。
 目を細め、深く息を吸う。
 彼の隣にいることで、私は生きているのだと実感できるのだ。

 ──息苦しいこの世界で、貴方の隣だけは呼吸がしやすかった。

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