ホントのキモチ
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何気なく、今日の晩御飯でも尋ねるような軽いノリで告げられた言葉は、頭を殴られるかのような強い衝撃を与えた。その内容が、自分の理解の範囲を超えたものであったから。
彼のいう「好き」という単語が、恋愛の意味を込めていると、熱の篭った、期待と不安の交ざった視線がそう語っていた。
彼の言葉を一度飲み込んで、改めてまじまじと彼に目を向ける。自分よりも小柄で華奢な体躯の、中性的なクラスメイト──けれど彼は男のはずだ。
同性同士の恋愛について、エースが茶化しながら男子校ではよくあるらしいと話していたことを思い出す。
そもそも恋愛事とは縁のない、喧嘩ばかりしていた日常を送ってきたものだから、いつかお互いに想い合えるような相手と出会うことができたら良いと、──自分は異性と付き合うのだろうと無意識のうちに考えていた。
まさか、自分が当事者になる日が来るとは思いもしなかったのだ。
友達から恋人になった自分と彼を思い描いては、その関係性の一線を画すことに、デュースは心の隅で違和感を覚える。
僕達は友達じゃないか。
監督生の事は好きだが、それは恋愛感情ではないのだろうと結論付けて、いかにして伝えるべきかと監督生の方に向きなおれば、潤んだ瞳に困ったような笑顔を浮かべ、こちらを向いていた。
「監督生──」
そう、声をかけて。彼の瞳から涙が零れ落ちるのを見届けるより先に咄嗟に彼の腕を引き、強く抱きしめる。
「泣くな、泣かないでくれ」
監督生の想いに応えることはできない。だが彼の涙を誰にも見せたくはない。
そんな自分のエゴを、彼は許してくれるだろうか。目次へ◇top