ポリネシアンafterA
ーEveningー
二人はビーチ沿いのオープンバーでカクテルを待っていた。
日の傾き始めたコスタ・デル・ソルは、街全体が柔らかく発光しているように見える。
沿岸の歩道を当てもなく歩いていたのは、ほんの十分程前の話だ。二人が行き着いたこのバーは、乾燥ヤシの葉を葺いたいかにもリゾート風の外観で、観光客と地元客の両方で賑わっている。
「こんな騒がしいところで良かったのか」
ルーファウスの問いかけに、みみは頷いた。
ナイフやグラスの音一つにさえ気を使う静かなラウンジやレストランに比べれば、こういう場所の方がみみは気楽に感じることができた。
「ふむ…」
ルーファウスは辺りを見回した。
午前中に回った市場とどこか似た雰囲気を感じる。雑多で喧しいが、恐らくこれが活気と言うものなのだろう、とルーファウスは結論づけた。
「はい、サンセットビーチとジンバック」
不躾に運ばれてきたグラスを受け取り、ルーファウスは乾いた喉を潤す。店員の対応は粗雑だが、酒の味は悪くない。
「綺麗なお花!」
みみはグラスに据えてあるハイビスカスの花を手に取り、嬉しげに呟く。夕焼け色に染まり始めた顔に、長い睫毛が影をさしていた。
ちょうどその時、ルーファウスの電話が鳴る。緊急の用事がない限り掛かってくる事はないが、携帯を手に取り発信者の名前を確認すると、彼は仕方なしに腰を上げた。
みみは不思議そうにルーファウスを見上げる。その手元のハイビスカスを取り上げ、彼女の耳元に挿してやった。
「こうする方が綺麗だ」
みみはぽかんと口を開け、そのまま席を外すルーファウスの背中を、ほんのりと赤らむ顔で見送った。
ーー
みみの姿を視認出来る位置で、ルーファウスは受話器越しにツォンの報告を受けていた。
アバランチを名乗る数人が本社ビルに襲撃をかけたらしい。大剣を持った男、と聞いてルーファウスは思い当たる節があった。
だがそんな些末は話は良い。彼らの襲撃が失敗に終わったと、ツォンは淡々と述べている。
「当然の結果だな」
テロリストにそう何度も侵入を許すつもりはない。十分に強化した警備の働きにルーファウスは頷く。
『追跡させますか?』
「構わん、放っておけ」
ふと、視界に入れていたみみの傍に、見知らぬ男が入り込む。明らかに店員の身なりではない。
「ツォン、報告はそれだけだな?」
これだから品の無い店は困る。ルーファウスは心の中でそう独りごちた。
ーー
みみは目の前の酔っ払いをどうあしらうかを考えていた。八番街のバーでもこういう客は時折現れたが、久しぶりに向けられる下卑た視線にみみはうろたえてしまう。
「でけーオッパイ見せつけるような格好してよぉ…誘ってるんだろ?」
ハイビスカスの花でほころんでいた気持ちが台無しだ。みみは耳元でくったりと元気を無くした花の重みを感じながら、溜息を吐く。花の命はかくも短い。
「黙りこくってないで可愛い声、聞かせてくれよ」
ぼんやりとしていたみみの胸に男の手が伸びる。その手が肌に触れる寸前のところで、間に割り入ったルーファウスが男の手首を捻り上げた。
「いででで!」
「汚い手を近づけるな」
ミシミシと軋みそうな程に手首を極めると、みみが思わず制止の声を上げる。仕方なく手を離すと、男は後退りをしてルーファウスを睨みつけた。
「こ、こいつ!」
振りかぶった男の手を軽く受け流し、その反動を利用して自身の右拳を鼻先に打ち込む。無駄な力を使わない華麗な護身術だ、とみみは感心した。
男は鼻血まみれで喘ぎながら、一目散にその場から姿を消した。数席先の客がトラブルに気づかない程の寸劇だった。
「あ、ありがとう…」
「抵抗できた筈だ。何故そうしなかった?」
ルーファウスの冷ややかな声に、みみは一瞬呼吸を忘れる。彼女の耳元で徐々に萎れ始めたハイビスカスの花を手に取り、ルーファウスは向かいの席に腰を下ろした。
「それは…」
上手く言葉を紡げず、みみはそこで言葉を切ってしまう。それが彼の神経を逆撫でしたのは明白だった。
「あの男に触られてもいいと思ったか?」
「そんなことは、!」
ハイビスカスの花弁が一枚、ぷつりと契り取られる。ルーファウスはそれをみみのカクテルの上に浮かべ、彼女の反応を待った。
「す、すみません…無反応でいれば帰ると思って…」
「考えが甘かったな」
ルーファウスは一枚、また一枚と花弁を摘み取り、カクテルグラスに挿してゆく。グラスの中のサンセットビーチが、赤い花弁で彩られていった。
「反省は体で示せ、みみ」
その言葉に、みみはふるりと体を震わせた。ルーファウスは最後の花弁をカクテルの中に沈め、加虐的な微笑を浮かべる。
「帰ってお仕置きだ」
低く色気たっぷりに紡がれる言葉に、みみの下腹部がじゅんと疼く。
お仕置きという言葉が、甘美な色を纏って脳内で反芻された。
「…分かったな?」
ルーファウスは体勢を低くし向かいの顔を覗き込む。
「…はい…」
みみの期待に潤んだ瞳が彼を見つめていた。
ーー
「今日は楽しめた様で何よりだ」
隣の座席に腰掛けたルーファウスが不意にそう呟く。
つい数分前、ルーファウスの視線に嬲られながら味の分からなくなったカクテルを何とか飲み干したみみは、熱い体を持ち上げて彼と共に店を後にした。示し合わせたように二人を待っていた車へと乗り込み、今に至る。
「新鮮な街の空気を吸うのも悪くない」
ルーファウスの動きに釣られ、車窓から夕焼け色のコスタ・デル・ソルの海岸線を見渡す。キラキラと輝く海面、全てを橙に染め上げる太陽の色…。
みみはその風景に何とか意識を向けようとした。だがそんなことは無意味だった。
お仕置きという言葉が頭に貼り付いて離れない。ここに来る前に味わった恥辱の極みを思い起こす。
薬を使われ、苦しさすら感じるほどの強い快楽を与えられ続けた。しかし、それらが今となっては自分にとって興奮の材料となっている事を、みみは否定できないでいる。
「ご苦労」
幸か不幸か、市街地から別宅はそう遠くはなかった。丁重に車から降ろされ、門をくぐる。
どんなお仕置きを受けることになるのだろうか。みみは恐怖と期待で震える体を抱きしめる。
この常夏の島に来てからというもの、ルーファウスはいつも以上にみみに甘かった。
しかしこれから与えられるのは、否応なくもたらされる逃げ場のない快楽に違いない。
「どうした?」
いつの間にか歩みを止めていたルーファウスが、手の甲でみみの頬に触れる。
「期待しているような顔つきだな」
彼の言葉に顔が熱くなるが、潤んだ瞳でそれを否定する事は出来なかった。
別邸の扉が開き、そして閉じられる。後ろ手に鍵を閉めると、ルーファウスは静かにみみを見下ろした。
「服を脱げ」
突然低くなった声に、みみの背筋がぞくりと震えた。
シフォンワンピースをたくし上げると、早速それを奪われる。下着を身につけていない裸体は、履かされたままのサンダルと相まってやけに羞恥を煽った。
「みみ。お前の口から言わせてやろう」
ルーファウスは支配的な口調でそう告げた。みみは目を伏せ、唇を震わせる。
「お仕置き…してください…」
「ふふ、来い」
ルーファウスはみみの腰を抱きリビングへと歩き出す。
アイランドキッチンには市場で買い込んだフルーツや野菜が積み上げられ、日中過ごした時間が決して幻想ではない事を物語っていた。
それを横目に、二人はソファの前で足を止める。
「仕置きで絶頂することは許さん」
みみの顎を持ち上げ、ルーファウスはそう告げる。
こうして顎をくすぐられるだけで快楽を得るようになったみみにとって、余りにも酷な命令だった。
ルーファウスはその場を離れ、見覚えのあるトレーを持ってみみの前へと戻ってくる。みみはごくりと喉を鳴らした。
中にはバイブが3本、並べられている。そのどれもに、みみは見覚えがあった。
「選ばせてやろう」
「…っ」
つい先程、絶頂を禁じられたばかりなのに?
信じられない様子でルーファウスを見上げる。いつもの嗜虐的な顔が自分を見下ろしていた。
「どうした?全部入れて欲しいのか?」
「ち、ちが…っ」
みみはトレーの中のバイブを躊躇いがちに眺めた。何せこんなにまじまじと見比べたことはなかったのだ。
一本は多少細いが最も長く、最近覚えさせられた膣の最奥を容赦なく刺激してきそうだ。それに、根元で枝分かれしたブラシの様なものに肉芽を磨かれ、何度も絶頂を迎えた鮮烈な記憶が蘇り、みみは本能的にこれを除外する。
もう一本はおおよそ人間のペニスとは思えない大きさをしていた。これを初めて見せられた時、みみは壊れてしまうとルーファウスに泣き付いたのを覚えている。だが恐ろしいことに、濡れそぼった膣はそれを難なく咥え込み、膣をいっぱいに広げて振動するそれは、みみの体に逃れがたい快楽を与えてきた。
「ぁ…」
一つ一つ記憶を辿っていると、愛液がとろとろと溢れてくる。透明の糸が股から一筋床へ落ちてゆくのを、ルーファウスは見逃さなかった。
「早くしないと端から入れていくぞ」
「ま、まって!」
みみは三番目のバイブを手に取った。ルーファウスのペニスより一回り小さいそれは、全体にびっしりとパールが埋め込まれグロテスクな形をしていた。だが他の二つに比べれば幾分かましに思えた。
「こんなグロテスクなものを選ぶとは物好きだな?」
ルーファウスはスイッチを入れバイブがグネグネとうねる様を眼前に突きつけたが、みみは目蓋を伏せ、ただ小さく「ぅ…」と唸った。他のどの二つを選んだところで、同じ様になじられるのは目に見えている。
「手をついて尻を上げろ」
ソファのフットレストに手を掛けると、サンダルの高さも相まって自然と尻を上げる様な格好になる。自分の秘所の有り様を知りつつ、みみはルーファウスから紡がれるであろう言葉を待った。
「もうすっかり濡らしているな。可愛い身体だ」
バイブの先端を秘裂に滑らせながらルーファウスは微笑んだ。
腰に添えた手に力を込めると、みみはいよいよ尻だけを突き出す様な屈辱的なポーズになる。
「落とさない様にこうして尻を上げていろ」
「は…い…」
つぷり、とバイブが秘裂を割り開く。歪な粒々が膣壁を擦り上げるのを感じながら、みみは自分の選択を後悔した。だが、他の二つを選んだところで同じだろうとすぐに思い直した。
幸いバイブは振動することなく膣奥まで到達した。ルーファウスは手を離し、半歩引いてみみの痴態を確認する。
「良い格好だ」
みみは埋まったバイブの先を見せつけるかのように尻を高く突き上げている。腕の間から重そうに垂れ下がった豊満な乳房の尖端で、乳首は既にピンと立ち上がっていた。ルーファウスはそれに気づくと口角を上げる。
「ここも飾り付けしておこう」
そう言うと、テーブルに据えてある化粧箱から鈴付きのクリップを取り出す。みみは生唾を飲んでその様子を見守った。
案の定、クリップは乳首に取り付けられ、ジンとした痛みに近い快楽をもたらす。ちりん、と胸元で鳴る鈴の音が、この状況をより倒錯的に感じさせた。
「ん、あっ」
「30回だ」
ルーファウスはみみの脇に立つと、尻に手のひらを据える。これから起こることを理解し、みみは息を弾ませた。
「数えろ」
「あぁぁんっ」
乾いた肌の音が部屋中に響き渡った。胸元の鈴を鳴らしながらみみが身悶えする。
「い、いち…」
「いいぞ」
じんじんと痺れる尻に、ルーファウスは容赦なく二発目を打ち込む。
「あぁッ…にぃ…」
反射的に締め付けたバイブから、パールの形が嫌と言うほど伝わってくる。
「うぁぁんっ…さ、さん…」
「続けろ」
窓辺に見渡せるロマンチックな夕暮れ時の海辺とはかけ離れた淫猥な行為は、それからしばらくの間続けられた。
手加減のないスパンキングに、みみは半ば悲鳴に似た喘ぎ声を上げる。
「じゅ、じゅうさん…」
「尻を落としていいと言ったか?」
「ひ、ぅ…ごめんなさい…」
ガクガクと脚を震わせながら尻をぐいと持ち上げる。そこにまた平手が振り下ろされ、みみの尻が跳ね上がった。
ぎゅうぎゅうとバイブを締め上げるとパールが膣壁を押し上げ、快楽を生む。その体にまた平手が打ち込まれ、刺すような痛みに膣がまた引き締まる。負の連鎖が繰り返され、与えられる刺激が快楽か痛みなのか、分からなくなってしまう。
「にじゅ、う…」
尻は真っ赤に染まり、燃えるように熱を帯びていた。
尻を打たれる度に胸元で奏でられる鈴の音が、気つけのようにみみに羞恥心を呼び起こす。
「ああ、スイッチを入れ忘れていたな」
「あッ、やぁぁっ」
突然バイブのスイッチが入り、グネグネとパールが蠢き始めた。新たな快楽に思わず尻を振る。そこに容赦なく掌が振り下ろされ、みみは獣のような声を上げた。
「ふあぁっ!」
激しく蠢くバイブは膣の締め付けに耐えかねゴトリと床に落ちる。ビタビタと床の上を跳ね回るそれを拾い上げ、ルーファウスはわざとらしい溜息を吐いた。
「落とすなと言っただろう。仕方ない」
ルーファウスはハーネスを持ち出しバイブを固定すると、それをみみの下半身に装着した。
「あぁぁ…だめぇぇ…」
しっかりと埋め込まれたバイブは、どんなに暴れても蜜壺から抜け落ちることはない。みみは尻を振ったが、バイブはびくともしなかった。
「続きだ」
「んああっ」
みみの声はいつしか悲痛なものから甘美なものへと変化していき、涙を流しながら30回目を数え終わった頃には、大量の愛液が太腿を伝い落ちていた。
「終わったら言う事があるな?」
ひりついた掌を撫でながらルーファウスはみみを見下ろす。真っ赤な尻とそれを支える両脚を震わせながら、みみは涎と汗にまみれた顔を上げた。
「ぁ…っ、お仕置き…ありがとうございます…」
ルーファウスは満足しみみを立ち上がらせると、彼女の唾液を舐めとるようにキスをした。
求めていた甘い刺激にみみは思考を手放し、必死に彼の舌にしゃぶりつく。
「跪いて、舐めろ」
「はい…」
無感情な声色でルーファウスが告げる。みみは操られるようにその場に跪き、スラックスに手をかけジッパーを下ろした。しゃがんだ事でバイブがより膣内の深い場所を抉り、僅かに呻く。
「っ…」
ぶるりと現れる彼の陰茎に鼻先を近づける。頬にそれが擦り付けられると、みみはペニスの先から根元に向かってレロレロと舌を這わせ始めた。
「唾液を良く擦り付けろ」
言われるがまま唾液をぬるぬるとペニスに塗してゆく。根元に行き着いたところで、唇に柔らかい陰嚢が押し当たった。
「そこもだ」
みみはそこを舌で押し上げる様に何度か舐め上げる。頬に感じる陰茎の重量が明らかに増し、みみは陰嚢が唾液まみれになるまで夢中でそこを舐め続けた。
バイブは蜜壺の中でうねり続け、みみは行為中も無意識に腰を揺らしてしまう。
「みみ」
ペニスがぺちりと頬を叩く。みみはハッとして顔を上げた。すっかり怒張した陰茎が目の前にそそり立っている。
「咥えろ」
威圧的なトーンに胸が締め付けられる。ぬるついた唇を亀頭に押し当て、ゆっくりと割り開く。隙間なくペニスを咥え込むと、みみはルーファウスを見上げた。
「もっと奥までだ」
その言葉に、きゅんとバイブを締め付けてしまう。みみは尚もペニスを口の中に押し進めていった。
上顎に亀頭が当たると生理的な嘔吐感に襲われるが、みみは涙で滲む目をきゅっと閉じそれに耐える。
「このペニスを突き入れられるところを想像してみろ、みみ」
頭上から降ってくるルーファウスの言葉に、みみは震えた。このペニスの好さは嫌というほど分かる。限界まで勃起したそれは、膣奥に暴力的なまでの快楽を与えてくるだろう。無意識に膣を締め上げたことでバイブのパールから耐えがたい刺激を拾ってしまい、みみは身悶えた。
「ぅ…ん…ふぅぅ」
みみは陰茎を更に奥まで咥え込んだ。今度は不思議と嘔吐感には襲われなかった。代わりに、じわじわと興奮の熱が込み上げてくる。
「いいぞ…」
頭を撫でられ、みみはうっとりと目を細めた。ルーファウスは片脚をみみの肩に回し、みみの口に残りの陰茎を根本近くまで押し込んでやる。
「ぉ…」
「偉いな…」
みみの手はルーファウスの脚元に添えられていたが、それを押しやることはなかった。代わりに彼のスラックスをギュッと握りしめ、生理的な涙を零しながらじっと口内の圧迫感に耐える。
「そうだ…鼻で息をしろ」
ふう、ふうと荒い鼻呼吸が足元から聞こえてくる。ルーファウスはぐいと額を押しやり、みみに視線を向けさせた。
「ああ、可愛い」
ルーファウスは口元を歪めた。
つい先程までシフォンワンピースを揺らし、愛らしい普通の女として街を闊歩していたみみが、今や裸に剥かれ腰を震わせながらイラマチオをしている。その落差は無惨とも言っていい。
みみは潤んだ目で懇願するように自分を見上げていた。喉奥に亀頭が押し当たり、異物を胃に送り込もうと咽頭が蠢く。人体の当然の反応だ。それが叶わず、また呼吸もままならず、彼女の目が徐々に焦点を無くしてゆく様を堪能し、ルーファウスはようやく脚の力を緩めてやる。
「あぇ…」
みみは太く濃厚な唾液の糸を引かせながら口を離した。何度か咳き込みながらも彼を見上げるみみに、ルーファウスは気を良くしながら口を開いた。
「自分でやってみろ」
みみは目蓋を震わせ目を閉じると、再び陰茎に口づけをし、非常に長いストロークでペニスを扱き始めた。張り詰めた陰茎は見事に口内に収まり、てらてらと唾液を纏って姿を現す。みみの口元から唾液の糸が何本も落ち、胸元の鈴が控えめに音を鳴らし続けた。
「溢すな」
みみが唾液を吸い上げ口元からジュルジュルとはしたない音を響かせる。興奮を煽られる音に、膣がまたきゅんと締め上がる。生きた魚のように膣内を抉るバイブの刺激を逃そうと、もしくはより刺激得ようとしていたのかも知れないが、みみはひっきりなしに腰を振っていた。
「じゅ…ッ、ジュル…」
口内で陰茎を刺激しながら、時折みみは張り詰めた亀頭を喉奥へと押し付けた。濃厚な唾液が自然と湧き、それを潤滑剤にしてまたペニスを扱く。舌は常に陰茎の裏筋に添えられ、ぬるぬると蠢いていた。
「上手いぞ」
喜びに打ち震えながら頭を前後に振る。胸元の鈴が弾み、クリップで挟まれた乳首に微弱な刺激を送り続けた。
「そのまま続けろ、口に出す」
射精が近いことを知り、みみは必死に深いストロークを続けた。
秘裂からは既に何本もの愛液の糸が床に滴り落ちている。絶頂を禁じられたヴァギナは、歪なパールに嬲られ限界を迎えようとしていた。
ルーファウスのスラックスを強く握りしめる。亀頭を自ら喉奥に押し込むと、みみはついに全身を大きく痙攣させた。
「んぅぅぅ…ッ」
「く…」
ペニスを咥え込んだまま目を見開き、赤くなった尻を痙攣させるみみの様子を、熱っぽい視線で眺めながらルーファウスは射精した。
市場の人間と朗らかに交流し、浜辺で顔を綻ばせる昼間の可憐な姿からは余りにもかけ離れたみみの痴態に、ルーファウスは心から満足していた。そしてこの姿を見るのが自分だけであることに、酷く優越感を抱く。
「溢すなよ…」
ルーファウスは眉間を寄せ、目を閉じて絶頂に浸っていた。その悩ましげな表情を見つめながら、みみは吐き出される精液を全て口で受け止める。
「まだ飲み込むな」
バイブの電源を切ってやりながら、ルーファウスはそう命じる。
ペニスがゆっくりと引き抜かれた後も、みみは口の中に感じる甘苦い液体をじっと留めた。
「見せてみろ」
「あ…」
顎をクイと持ち上げられ、口を開けられる。みみは舌を突き出して口の中が良く見えるようにした。
いい眺めだと言わんばかりにルーファウスは微笑み、体を起こす。
「飲み込め」
口をキュッとつぐみ、みみは少しずつそれを飲み下していった。こんなはしたない行為にさえ、興奮を覚える自分がいる。
全て飲み干した後、みみは口を開けてルーファウスを見上げた。
「それでいい、みみ」
ゆったりと頭を撫でるルーファウスの手が、心を満たしてゆく。
「だが、お仕置きだというのに絶頂していたな?あとでしっかり躾けてやろう」
みみはその言葉に身震いした。今夜もきっと嫌というほどこの男に抱かれるのだろう。
「分かったか?」
「…はい…」
控えめに頷きながら、自分はもう戻れないのだとみみは悟った。
この男に身も心も支配されてしまったのだ。その事実はみみの理性を溶かすように脳内へと刻み込まれていった。
二人はビーチ沿いのオープンバーでカクテルを待っていた。
日の傾き始めたコスタ・デル・ソルは、街全体が柔らかく発光しているように見える。
沿岸の歩道を当てもなく歩いていたのは、ほんの十分程前の話だ。二人が行き着いたこのバーは、乾燥ヤシの葉を葺いたいかにもリゾート風の外観で、観光客と地元客の両方で賑わっている。
「こんな騒がしいところで良かったのか」
ルーファウスの問いかけに、みみは頷いた。
ナイフやグラスの音一つにさえ気を使う静かなラウンジやレストランに比べれば、こういう場所の方がみみは気楽に感じることができた。
「ふむ…」
ルーファウスは辺りを見回した。
午前中に回った市場とどこか似た雰囲気を感じる。雑多で喧しいが、恐らくこれが活気と言うものなのだろう、とルーファウスは結論づけた。
「はい、サンセットビーチとジンバック」
不躾に運ばれてきたグラスを受け取り、ルーファウスは乾いた喉を潤す。店員の対応は粗雑だが、酒の味は悪くない。
「綺麗なお花!」
みみはグラスに据えてあるハイビスカスの花を手に取り、嬉しげに呟く。夕焼け色に染まり始めた顔に、長い睫毛が影をさしていた。
ちょうどその時、ルーファウスの電話が鳴る。緊急の用事がない限り掛かってくる事はないが、携帯を手に取り発信者の名前を確認すると、彼は仕方なしに腰を上げた。
みみは不思議そうにルーファウスを見上げる。その手元のハイビスカスを取り上げ、彼女の耳元に挿してやった。
「こうする方が綺麗だ」
みみはぽかんと口を開け、そのまま席を外すルーファウスの背中を、ほんのりと赤らむ顔で見送った。
ーー
みみの姿を視認出来る位置で、ルーファウスは受話器越しにツォンの報告を受けていた。
アバランチを名乗る数人が本社ビルに襲撃をかけたらしい。大剣を持った男、と聞いてルーファウスは思い当たる節があった。
だがそんな些末は話は良い。彼らの襲撃が失敗に終わったと、ツォンは淡々と述べている。
「当然の結果だな」
テロリストにそう何度も侵入を許すつもりはない。十分に強化した警備の働きにルーファウスは頷く。
『追跡させますか?』
「構わん、放っておけ」
ふと、視界に入れていたみみの傍に、見知らぬ男が入り込む。明らかに店員の身なりではない。
「ツォン、報告はそれだけだな?」
これだから品の無い店は困る。ルーファウスは心の中でそう独りごちた。
ーー
みみは目の前の酔っ払いをどうあしらうかを考えていた。八番街のバーでもこういう客は時折現れたが、久しぶりに向けられる下卑た視線にみみはうろたえてしまう。
「でけーオッパイ見せつけるような格好してよぉ…誘ってるんだろ?」
ハイビスカスの花でほころんでいた気持ちが台無しだ。みみは耳元でくったりと元気を無くした花の重みを感じながら、溜息を吐く。花の命はかくも短い。
「黙りこくってないで可愛い声、聞かせてくれよ」
ぼんやりとしていたみみの胸に男の手が伸びる。その手が肌に触れる寸前のところで、間に割り入ったルーファウスが男の手首を捻り上げた。
「いででで!」
「汚い手を近づけるな」
ミシミシと軋みそうな程に手首を極めると、みみが思わず制止の声を上げる。仕方なく手を離すと、男は後退りをしてルーファウスを睨みつけた。
「こ、こいつ!」
振りかぶった男の手を軽く受け流し、その反動を利用して自身の右拳を鼻先に打ち込む。無駄な力を使わない華麗な護身術だ、とみみは感心した。
男は鼻血まみれで喘ぎながら、一目散にその場から姿を消した。数席先の客がトラブルに気づかない程の寸劇だった。
「あ、ありがとう…」
「抵抗できた筈だ。何故そうしなかった?」
ルーファウスの冷ややかな声に、みみは一瞬呼吸を忘れる。彼女の耳元で徐々に萎れ始めたハイビスカスの花を手に取り、ルーファウスは向かいの席に腰を下ろした。
「それは…」
上手く言葉を紡げず、みみはそこで言葉を切ってしまう。それが彼の神経を逆撫でしたのは明白だった。
「あの男に触られてもいいと思ったか?」
「そんなことは、!」
ハイビスカスの花弁が一枚、ぷつりと契り取られる。ルーファウスはそれをみみのカクテルの上に浮かべ、彼女の反応を待った。
「す、すみません…無反応でいれば帰ると思って…」
「考えが甘かったな」
ルーファウスは一枚、また一枚と花弁を摘み取り、カクテルグラスに挿してゆく。グラスの中のサンセットビーチが、赤い花弁で彩られていった。
「反省は体で示せ、みみ」
その言葉に、みみはふるりと体を震わせた。ルーファウスは最後の花弁をカクテルの中に沈め、加虐的な微笑を浮かべる。
「帰ってお仕置きだ」
低く色気たっぷりに紡がれる言葉に、みみの下腹部がじゅんと疼く。
お仕置きという言葉が、甘美な色を纏って脳内で反芻された。
「…分かったな?」
ルーファウスは体勢を低くし向かいの顔を覗き込む。
「…はい…」
みみの期待に潤んだ瞳が彼を見つめていた。
ーー
「今日は楽しめた様で何よりだ」
隣の座席に腰掛けたルーファウスが不意にそう呟く。
つい数分前、ルーファウスの視線に嬲られながら味の分からなくなったカクテルを何とか飲み干したみみは、熱い体を持ち上げて彼と共に店を後にした。示し合わせたように二人を待っていた車へと乗り込み、今に至る。
「新鮮な街の空気を吸うのも悪くない」
ルーファウスの動きに釣られ、車窓から夕焼け色のコスタ・デル・ソルの海岸線を見渡す。キラキラと輝く海面、全てを橙に染め上げる太陽の色…。
みみはその風景に何とか意識を向けようとした。だがそんなことは無意味だった。
お仕置きという言葉が頭に貼り付いて離れない。ここに来る前に味わった恥辱の極みを思い起こす。
薬を使われ、苦しさすら感じるほどの強い快楽を与えられ続けた。しかし、それらが今となっては自分にとって興奮の材料となっている事を、みみは否定できないでいる。
「ご苦労」
幸か不幸か、市街地から別宅はそう遠くはなかった。丁重に車から降ろされ、門をくぐる。
どんなお仕置きを受けることになるのだろうか。みみは恐怖と期待で震える体を抱きしめる。
この常夏の島に来てからというもの、ルーファウスはいつも以上にみみに甘かった。
しかしこれから与えられるのは、否応なくもたらされる逃げ場のない快楽に違いない。
「どうした?」
いつの間にか歩みを止めていたルーファウスが、手の甲でみみの頬に触れる。
「期待しているような顔つきだな」
彼の言葉に顔が熱くなるが、潤んだ瞳でそれを否定する事は出来なかった。
別邸の扉が開き、そして閉じられる。後ろ手に鍵を閉めると、ルーファウスは静かにみみを見下ろした。
「服を脱げ」
突然低くなった声に、みみの背筋がぞくりと震えた。
シフォンワンピースをたくし上げると、早速それを奪われる。下着を身につけていない裸体は、履かされたままのサンダルと相まってやけに羞恥を煽った。
「みみ。お前の口から言わせてやろう」
ルーファウスは支配的な口調でそう告げた。みみは目を伏せ、唇を震わせる。
「お仕置き…してください…」
「ふふ、来い」
ルーファウスはみみの腰を抱きリビングへと歩き出す。
アイランドキッチンには市場で買い込んだフルーツや野菜が積み上げられ、日中過ごした時間が決して幻想ではない事を物語っていた。
それを横目に、二人はソファの前で足を止める。
「仕置きで絶頂することは許さん」
みみの顎を持ち上げ、ルーファウスはそう告げる。
こうして顎をくすぐられるだけで快楽を得るようになったみみにとって、余りにも酷な命令だった。
ルーファウスはその場を離れ、見覚えのあるトレーを持ってみみの前へと戻ってくる。みみはごくりと喉を鳴らした。
中にはバイブが3本、並べられている。そのどれもに、みみは見覚えがあった。
「選ばせてやろう」
「…っ」
つい先程、絶頂を禁じられたばかりなのに?
信じられない様子でルーファウスを見上げる。いつもの嗜虐的な顔が自分を見下ろしていた。
「どうした?全部入れて欲しいのか?」
「ち、ちが…っ」
みみはトレーの中のバイブを躊躇いがちに眺めた。何せこんなにまじまじと見比べたことはなかったのだ。
一本は多少細いが最も長く、最近覚えさせられた膣の最奥を容赦なく刺激してきそうだ。それに、根元で枝分かれしたブラシの様なものに肉芽を磨かれ、何度も絶頂を迎えた鮮烈な記憶が蘇り、みみは本能的にこれを除外する。
もう一本はおおよそ人間のペニスとは思えない大きさをしていた。これを初めて見せられた時、みみは壊れてしまうとルーファウスに泣き付いたのを覚えている。だが恐ろしいことに、濡れそぼった膣はそれを難なく咥え込み、膣をいっぱいに広げて振動するそれは、みみの体に逃れがたい快楽を与えてきた。
「ぁ…」
一つ一つ記憶を辿っていると、愛液がとろとろと溢れてくる。透明の糸が股から一筋床へ落ちてゆくのを、ルーファウスは見逃さなかった。
「早くしないと端から入れていくぞ」
「ま、まって!」
みみは三番目のバイブを手に取った。ルーファウスのペニスより一回り小さいそれは、全体にびっしりとパールが埋め込まれグロテスクな形をしていた。だが他の二つに比べれば幾分かましに思えた。
「こんなグロテスクなものを選ぶとは物好きだな?」
ルーファウスはスイッチを入れバイブがグネグネとうねる様を眼前に突きつけたが、みみは目蓋を伏せ、ただ小さく「ぅ…」と唸った。他のどの二つを選んだところで、同じ様になじられるのは目に見えている。
「手をついて尻を上げろ」
ソファのフットレストに手を掛けると、サンダルの高さも相まって自然と尻を上げる様な格好になる。自分の秘所の有り様を知りつつ、みみはルーファウスから紡がれるであろう言葉を待った。
「もうすっかり濡らしているな。可愛い身体だ」
バイブの先端を秘裂に滑らせながらルーファウスは微笑んだ。
腰に添えた手に力を込めると、みみはいよいよ尻だけを突き出す様な屈辱的なポーズになる。
「落とさない様にこうして尻を上げていろ」
「は…い…」
つぷり、とバイブが秘裂を割り開く。歪な粒々が膣壁を擦り上げるのを感じながら、みみは自分の選択を後悔した。だが、他の二つを選んだところで同じだろうとすぐに思い直した。
幸いバイブは振動することなく膣奥まで到達した。ルーファウスは手を離し、半歩引いてみみの痴態を確認する。
「良い格好だ」
みみは埋まったバイブの先を見せつけるかのように尻を高く突き上げている。腕の間から重そうに垂れ下がった豊満な乳房の尖端で、乳首は既にピンと立ち上がっていた。ルーファウスはそれに気づくと口角を上げる。
「ここも飾り付けしておこう」
そう言うと、テーブルに据えてある化粧箱から鈴付きのクリップを取り出す。みみは生唾を飲んでその様子を見守った。
案の定、クリップは乳首に取り付けられ、ジンとした痛みに近い快楽をもたらす。ちりん、と胸元で鳴る鈴の音が、この状況をより倒錯的に感じさせた。
「ん、あっ」
「30回だ」
ルーファウスはみみの脇に立つと、尻に手のひらを据える。これから起こることを理解し、みみは息を弾ませた。
「数えろ」
「あぁぁんっ」
乾いた肌の音が部屋中に響き渡った。胸元の鈴を鳴らしながらみみが身悶えする。
「い、いち…」
「いいぞ」
じんじんと痺れる尻に、ルーファウスは容赦なく二発目を打ち込む。
「あぁッ…にぃ…」
反射的に締め付けたバイブから、パールの形が嫌と言うほど伝わってくる。
「うぁぁんっ…さ、さん…」
「続けろ」
窓辺に見渡せるロマンチックな夕暮れ時の海辺とはかけ離れた淫猥な行為は、それからしばらくの間続けられた。
手加減のないスパンキングに、みみは半ば悲鳴に似た喘ぎ声を上げる。
「じゅ、じゅうさん…」
「尻を落としていいと言ったか?」
「ひ、ぅ…ごめんなさい…」
ガクガクと脚を震わせながら尻をぐいと持ち上げる。そこにまた平手が振り下ろされ、みみの尻が跳ね上がった。
ぎゅうぎゅうとバイブを締め上げるとパールが膣壁を押し上げ、快楽を生む。その体にまた平手が打ち込まれ、刺すような痛みに膣がまた引き締まる。負の連鎖が繰り返され、与えられる刺激が快楽か痛みなのか、分からなくなってしまう。
「にじゅ、う…」
尻は真っ赤に染まり、燃えるように熱を帯びていた。
尻を打たれる度に胸元で奏でられる鈴の音が、気つけのようにみみに羞恥心を呼び起こす。
「ああ、スイッチを入れ忘れていたな」
「あッ、やぁぁっ」
突然バイブのスイッチが入り、グネグネとパールが蠢き始めた。新たな快楽に思わず尻を振る。そこに容赦なく掌が振り下ろされ、みみは獣のような声を上げた。
「ふあぁっ!」
激しく蠢くバイブは膣の締め付けに耐えかねゴトリと床に落ちる。ビタビタと床の上を跳ね回るそれを拾い上げ、ルーファウスはわざとらしい溜息を吐いた。
「落とすなと言っただろう。仕方ない」
ルーファウスはハーネスを持ち出しバイブを固定すると、それをみみの下半身に装着した。
「あぁぁ…だめぇぇ…」
しっかりと埋め込まれたバイブは、どんなに暴れても蜜壺から抜け落ちることはない。みみは尻を振ったが、バイブはびくともしなかった。
「続きだ」
「んああっ」
みみの声はいつしか悲痛なものから甘美なものへと変化していき、涙を流しながら30回目を数え終わった頃には、大量の愛液が太腿を伝い落ちていた。
「終わったら言う事があるな?」
ひりついた掌を撫でながらルーファウスはみみを見下ろす。真っ赤な尻とそれを支える両脚を震わせながら、みみは涎と汗にまみれた顔を上げた。
「ぁ…っ、お仕置き…ありがとうございます…」
ルーファウスは満足しみみを立ち上がらせると、彼女の唾液を舐めとるようにキスをした。
求めていた甘い刺激にみみは思考を手放し、必死に彼の舌にしゃぶりつく。
「跪いて、舐めろ」
「はい…」
無感情な声色でルーファウスが告げる。みみは操られるようにその場に跪き、スラックスに手をかけジッパーを下ろした。しゃがんだ事でバイブがより膣内の深い場所を抉り、僅かに呻く。
「っ…」
ぶるりと現れる彼の陰茎に鼻先を近づける。頬にそれが擦り付けられると、みみはペニスの先から根元に向かってレロレロと舌を這わせ始めた。
「唾液を良く擦り付けろ」
言われるがまま唾液をぬるぬるとペニスに塗してゆく。根元に行き着いたところで、唇に柔らかい陰嚢が押し当たった。
「そこもだ」
みみはそこを舌で押し上げる様に何度か舐め上げる。頬に感じる陰茎の重量が明らかに増し、みみは陰嚢が唾液まみれになるまで夢中でそこを舐め続けた。
バイブは蜜壺の中でうねり続け、みみは行為中も無意識に腰を揺らしてしまう。
「みみ」
ペニスがぺちりと頬を叩く。みみはハッとして顔を上げた。すっかり怒張した陰茎が目の前にそそり立っている。
「咥えろ」
威圧的なトーンに胸が締め付けられる。ぬるついた唇を亀頭に押し当て、ゆっくりと割り開く。隙間なくペニスを咥え込むと、みみはルーファウスを見上げた。
「もっと奥までだ」
その言葉に、きゅんとバイブを締め付けてしまう。みみは尚もペニスを口の中に押し進めていった。
上顎に亀頭が当たると生理的な嘔吐感に襲われるが、みみは涙で滲む目をきゅっと閉じそれに耐える。
「このペニスを突き入れられるところを想像してみろ、みみ」
頭上から降ってくるルーファウスの言葉に、みみは震えた。このペニスの好さは嫌というほど分かる。限界まで勃起したそれは、膣奥に暴力的なまでの快楽を与えてくるだろう。無意識に膣を締め上げたことでバイブのパールから耐えがたい刺激を拾ってしまい、みみは身悶えた。
「ぅ…ん…ふぅぅ」
みみは陰茎を更に奥まで咥え込んだ。今度は不思議と嘔吐感には襲われなかった。代わりに、じわじわと興奮の熱が込み上げてくる。
「いいぞ…」
頭を撫でられ、みみはうっとりと目を細めた。ルーファウスは片脚をみみの肩に回し、みみの口に残りの陰茎を根本近くまで押し込んでやる。
「ぉ…」
「偉いな…」
みみの手はルーファウスの脚元に添えられていたが、それを押しやることはなかった。代わりに彼のスラックスをギュッと握りしめ、生理的な涙を零しながらじっと口内の圧迫感に耐える。
「そうだ…鼻で息をしろ」
ふう、ふうと荒い鼻呼吸が足元から聞こえてくる。ルーファウスはぐいと額を押しやり、みみに視線を向けさせた。
「ああ、可愛い」
ルーファウスは口元を歪めた。
つい先程までシフォンワンピースを揺らし、愛らしい普通の女として街を闊歩していたみみが、今や裸に剥かれ腰を震わせながらイラマチオをしている。その落差は無惨とも言っていい。
みみは潤んだ目で懇願するように自分を見上げていた。喉奥に亀頭が押し当たり、異物を胃に送り込もうと咽頭が蠢く。人体の当然の反応だ。それが叶わず、また呼吸もままならず、彼女の目が徐々に焦点を無くしてゆく様を堪能し、ルーファウスはようやく脚の力を緩めてやる。
「あぇ…」
みみは太く濃厚な唾液の糸を引かせながら口を離した。何度か咳き込みながらも彼を見上げるみみに、ルーファウスは気を良くしながら口を開いた。
「自分でやってみろ」
みみは目蓋を震わせ目を閉じると、再び陰茎に口づけをし、非常に長いストロークでペニスを扱き始めた。張り詰めた陰茎は見事に口内に収まり、てらてらと唾液を纏って姿を現す。みみの口元から唾液の糸が何本も落ち、胸元の鈴が控えめに音を鳴らし続けた。
「溢すな」
みみが唾液を吸い上げ口元からジュルジュルとはしたない音を響かせる。興奮を煽られる音に、膣がまたきゅんと締め上がる。生きた魚のように膣内を抉るバイブの刺激を逃そうと、もしくはより刺激得ようとしていたのかも知れないが、みみはひっきりなしに腰を振っていた。
「じゅ…ッ、ジュル…」
口内で陰茎を刺激しながら、時折みみは張り詰めた亀頭を喉奥へと押し付けた。濃厚な唾液が自然と湧き、それを潤滑剤にしてまたペニスを扱く。舌は常に陰茎の裏筋に添えられ、ぬるぬると蠢いていた。
「上手いぞ」
喜びに打ち震えながら頭を前後に振る。胸元の鈴が弾み、クリップで挟まれた乳首に微弱な刺激を送り続けた。
「そのまま続けろ、口に出す」
射精が近いことを知り、みみは必死に深いストロークを続けた。
秘裂からは既に何本もの愛液の糸が床に滴り落ちている。絶頂を禁じられたヴァギナは、歪なパールに嬲られ限界を迎えようとしていた。
ルーファウスのスラックスを強く握りしめる。亀頭を自ら喉奥に押し込むと、みみはついに全身を大きく痙攣させた。
「んぅぅぅ…ッ」
「く…」
ペニスを咥え込んだまま目を見開き、赤くなった尻を痙攣させるみみの様子を、熱っぽい視線で眺めながらルーファウスは射精した。
市場の人間と朗らかに交流し、浜辺で顔を綻ばせる昼間の可憐な姿からは余りにもかけ離れたみみの痴態に、ルーファウスは心から満足していた。そしてこの姿を見るのが自分だけであることに、酷く優越感を抱く。
「溢すなよ…」
ルーファウスは眉間を寄せ、目を閉じて絶頂に浸っていた。その悩ましげな表情を見つめながら、みみは吐き出される精液を全て口で受け止める。
「まだ飲み込むな」
バイブの電源を切ってやりながら、ルーファウスはそう命じる。
ペニスがゆっくりと引き抜かれた後も、みみは口の中に感じる甘苦い液体をじっと留めた。
「見せてみろ」
「あ…」
顎をクイと持ち上げられ、口を開けられる。みみは舌を突き出して口の中が良く見えるようにした。
いい眺めだと言わんばかりにルーファウスは微笑み、体を起こす。
「飲み込め」
口をキュッとつぐみ、みみは少しずつそれを飲み下していった。こんなはしたない行為にさえ、興奮を覚える自分がいる。
全て飲み干した後、みみは口を開けてルーファウスを見上げた。
「それでいい、みみ」
ゆったりと頭を撫でるルーファウスの手が、心を満たしてゆく。
「だが、お仕置きだというのに絶頂していたな?あとでしっかり躾けてやろう」
みみはその言葉に身震いした。今夜もきっと嫌というほどこの男に抱かれるのだろう。
「分かったか?」
「…はい…」
控えめに頷きながら、自分はもう戻れないのだとみみは悟った。
この男に身も心も支配されてしまったのだ。その事実はみみの理性を溶かすように脳内へと刻み込まれていった。