冷たい冬の風が街を吹き抜ける夜、エッジの街の広場には巨大なクリスマスツリーが輝いていた。無数のイルミネーションがきらめき、周囲は幸せそうな笑顔を浮かべる人々で溢れている。

ルーファウス神羅は恋人であり秘書でもある「みみ」とこの夜を過ごすため、仕事を早めに切り上げていた。普段はスーツ姿が似合う彼も、この日は上質なコートを羽織り、少しだけ柔らかな雰囲気を醸し出している。

「あなたがこんな早く仕事を切り上げるなんて珍しいですね。」
みみが少し驚いたように微笑むと、ルーファウスは肩をすくめた。

「今日は特別だ。君のために時間を作らない理由がどこにある?」

ふたりはツリーの下で立ち止まり、その美しい光景を見上げていた。ルーファウスは懐から小さなベルの形をしたペンダントを取り出し、そっと彼女に手渡した。

「これは君へのクリスマスプレゼントだ。いつも僕を支えてくれている感謝の気持ちだよ。」

みみがその精巧なペンダントを見つめて微笑んだ瞬間、突然、ふたりの間に割って入る声が響いた。

「みみ、それは君にふさわしい相手からのプレゼントなのかい?」

振り向くと、そこにはみみの学生時代の元彼であるリオンが立っていた。コートを翻し、冷たい笑みを浮かべている。

「リオン……どうしてここに?」みみが驚いた声を上げる。

「偶然じゃないさ。この街に来たのは、もう一度君に会うためだ。」リオンの視線はみみに向けられているが、その背後に立つルーファウスにも鋭い視線を送っていた。

「君がこの人と一緒にいるなんて、正直信じられない。みみ、彼が本当に君にふさわしい相手だと思うか?」

ルーファウスは冷静にリオンを見据えた。「彼女が僕を選んだ。それが答えだろう。」

リオンは鼻で笑い、「それは彼女がまだ迷っているからだ。俺たちが過ごした時間を簡単に忘れられるわけがない。」

その言葉に、みみは唇を噛みしめた。彼女の動揺を見て、ルーファウスの胸の奥に嫉妬の炎が燃え上がる。それでも彼は感情を押し殺し、低く冷たい声で告げた。

「君の過去は僕には関係ない。だが、これだけははっきり言える――彼女の未来は僕と共にある。」

みみがルーファウスを見上げる。その瞳には迷いではなく、強い決意が宿っていた。

「リオン、もうやめて。」みみは静かに、しかしはっきりと告げた。「過去は大切な思い出だけれど、私は今、ルーファウスと一緒にいる。それが私の答え。」

リオンは一瞬言葉を失ったが、やがて苦笑しながら肩をすくめた。「……そうか。君がそう言うなら、仕方ないな。」

その場を去るリオンを見送りながら、みみは深く息をついた。

「ごめんなさい、あなたを巻き込んでしまって。」

ルーファウスは彼女の肩を優しく引き寄せ、静かに言った。「謝る必要はない。君が僕を選んでくれた、それがすべてだ。」

彼はみみの頬に触れ、そっと囁いた。「これからも君を守り続ける。どんな過去があろうと、僕だけが君の隣にいる男でありたい。」

みみは微笑みながら、ルーファウスの手に自分の手を重ねた。冷たい冬の夜に、ふたりの心は温かく結ばれていた。

輝くクリスマスツリーの下で、ふたりは未来への誓いを新たにした。