勘違い
みみが行動に移してから1時間ほど、社長室前の秘書席について驚くほど甘いカフェラテに口をつける。妙な怒りは治らず、自分の上司であるルーファウスが起きる時間を今か今かと待っていた。そこにタークスの主任であるツォンが出張から戻り、ルーファウスに報告へとやってきた。
「社長はいるか?」
「ただいま、仮眠中です。今日はその後も仕事が立て込んでいるので、明日以降にしていただけますか?」
「……なにか、あったのか?」
ツォンはどうも不機嫌なみみの様子を感じ取ったらしい。大体こういう時は社長関連なのだとツォンは思った。
「別になにもありません」
「それじゃあ困る。明日までに……」
「社長次第です」
棘のある物言いにツォンは大きく溜め息をついた。やはり社長だったかと内心笑う。
「最近の社長の女性関係は……」
「女性関係? いや、特にないはずだが……」
「本当ですか?」
「なにをそこまで気にしている」
「絵麻さんに教えていただいたんです!」
ツォンは耳を疑った。まさかこんなところで妻の名前を聞くとは思っていなかったし、みみの機嫌が悪い理由が社長だけではなく絵麻だとは考えてもみなかった。
みみはむすっとしながらツォンを追い出しにかかる。
「今日はもう、社長は誰ともお会いにはなりません」
「わかった。うちのがすまない。とりあえず、明日の朝一番に来ると伝えておいてくれ」
「わかりました」
ツォンは再び溜め息をついて69階を後にした。
―――※―――※―――
「なんだこれは」
みみに起こしてくれと頼んだ時間までもう少し。だが、目を覚ましてまさか自分の手が縛られているなんてルーファウスは考えてもみなかった。キツく結んだつもりなのだろうが、護身術を身につけているルーファウスには解くことは造作もなかった。だが、これをやったのはみみしかいないだろうと考えて、とりあえずこのままにしておく。理由を聞かなければならない。みみにもなにか思うところがあって、こんな行動に出たのだろう。
くだらない理由ならどうしてくれようかと考えて口の端が上がった。
その数分後だった。時間ぴったりにみみが仮眠室へと起こしに来る。ドアがすーっと開いて、みみとルーファウスの目が合った。みみは不機嫌そうにムッとしているし、それを見たルーファウスは呆れながらも笑いそうになる口元を引き締めた。
「お目覚めになっていたんですね」
「ああ。とても愉快な目覚めだ。お前だな? みみ」
「はい」
みみがはっきりと言い切る。ルーファウスが噛み殺していた笑いを堪えきれずにクククと喉を鳴らした。
「なにが目的だ?」
「社長とゆっくりお話がしたかったんです」
「こんなことをしなくても話なら――」
「はぐらかされると思いましたので」
相手の会話を遮ることは秘書として本来あってはならないことだが、今回ばかりは気にしている余裕はなかった。ルーファウスは口がうまい。ペースに乗せられたら負けてしまう。
ルーファウスはみみが珍しく話を遮るほど、なにか思うところがあるのだと思った。次はなにを言い出すのかと待つ。
「なにか身に覚えはありませんか?」
「ないな。思い当たると言えば、仕事量が多すぎることか?」
考える間もなくルーファウスが言い切る。そして愉しむように思いついた、冗談にも似た言葉を続けた。みみがますますムスッとしたのを見て、そこから飛躍したんだなと考え至った。
「それもありますけど、違います。最近、誰かと寝ましたか……」
最初は威勢のよかったみみの声が、少しずつ震えていく。みみはそんなつもりじゃなかったのに、かなり心に来ていると自分でも感じ取った。
そういうことか。ルーファウスは誰にそんな入れ知恵をされたのかと思考を巡らせるが、いまいち思い当たる人間が見つからない。
そもそも恋人というお気に入りがいる時点で、他の女になど興味はないのだがどうも信用されていないらしい。
「最近、誰と寝たかと聞かれればお前としか言いようがないが、私は誰と寝たことになっている?」
「思い当たることはありませんか?」
「ああ。ない」
「……ただすちゃん、とか」
(ただす? ああ、レノのか)
誰があり得もしないことを吹き込んだのか聞くのは後にするとして、どうやって解消してやろうかとルーファウスはほくそ笑んだ。
「私がなぜレノの女を抱かなければならない」
「つい先日の仕事の時の護衛は彼女が――」
「抱き心地のいいやつはもう目の前にいるだろう」
話はそれだけか? とルーファウスは言い放って、手首を縛っていた紐をいとも簡単に解いて見せた。ルーファウスの恥ずかしげもなく言ってのける言葉と、解かれた紐にみみがぐっと押し黙った。
ルーファウスがみみの驚いている顔にニヤリと笑った。ベッドから出て、ドアの前で突っ立ったままでルーファウスを見ていたみみの腕を掴む。みみの体がビクッと跳ねた。ルーは手に余り力を入れないように配慮しながらベッドの方へとみみを引っ張っていく。軽い力でぽいっとみみをベッドに倒した。柔らかいマットレスは柔らかくみみを包み、沈み込ませた。ルーファウスがみみの上に跨がるように見下ろす。
「あ、の、しゃちょう?」
「さて、私のものだと自覚が足りないらしいな。みみ」
「え、あ、え……」
みみは目の前で愉しそうに微笑んでいるルーファウスの顔を見上げた。背筋がゾクリとする。
「誰が、誰を抱いたのか、もう一度言ってみろ」
「……あの」
ルーファウスがん? と追撃を飛ばしながら、丁寧にみみのブラウスのボタンを外していく。ボトムスのホックに手がかかって、徐々に露わになっていく素肌にみみが少し身構えた。
「私が服を脱がすのも……」
ルーファウスの華奢で大きな手がみみの腰を撫で上げる。
「……っ」
「私が肌に触れるのもお前だけなのだが……、今は証明する術がないな」
ルーファウスが口元をみみの耳へと近づける。
「ならば体に覚えさせるしかあるまい」
低く囁かれた声にみみの体が震えた。働いていなかった思考が、余計に働かなくなり、言葉がなにも出てこない。ルーファウスの左手が、体を隠そうと動いたみみの両手をまとめ上げた。薄い唇がみみの耳に触れる。少しずつ下へ滑らせ、首を伝い、胸元へと降りていった。
みみがくすぐったさに体をくねらせ、胸元で鳴ったリップ音に息が漏れた。
「しゃ……」
「いつもなんと呼べと言っている?」
「……るー」
「ああ。そう呼ばせているのはお前だけだ」
みみのブラジャーの前土台に人差し指を引っかけ、上へとずらし上げる。みみの胸がブラジャーの外れた反動でぷるんと揺れた。乳房の柔らかさを確かめるようにルーファウスの唇が押し当てられる。
「ぁ……」
みみの口からか細い声が漏れて、ルーファウスがふっと笑った。手がやわやわと胸を揉み、舌がそっと撫で上げた胸の頂を硬くさせる。ちゅっと吸い上げた刺激にみみの体がピクンと跳ねた。
ルーファウスが頂を口で遊びながら、空いた手がみみの下腹部をそっとくるくると撫でる。その手つきにみみが足をすり合わせて、みみの下半身が甘く疼いた。
「優しくしてきてやったとは思うが、試したいことがある」
「るー……?」
するんと脱がされたボトムスとショーツに、みみの息が詰まる。ルーファウスがみみの手を解放したが、逃げられないように少し体重を掛けた。ルーファウスの手が秘部へと伸びていき、芽をすっとさすった。
「ん……」
みみの鼻から声が漏れる。すでに濡れていた秘部は、ルーファウスの指の滑りをよくさせた。くちゅりと音を立てさせて、指の腹が芽の上を往復する。みみの足がガクガクと震えだした。
「ぁっ……、ゃぁ……」
みみの口から漏れ出した甘い声にルーファウスが口元に弧を描いた。
「あっ、あぁっ!」
快感の波がみみの腰から背中へと駆け上がって、甲高く大きな声を上げさせる。
「みみ。お前は今、誰に、イかされた?」
唐突に合った透き通った青い目に、みみがゴクリと唾液を飲み込んだ。答えろと言わんばかりの目に口が動く。
「ルー、です……」
「そうだ。いい子だ」
低い声に、みみはなぜか安堵を覚えた。
初めて唇が重なる。ルーファウスの舌がつつっとみみの唇の合わせ目をなぞり、下唇にちゅっと吸い付いた。何度も食み、少しずつみみの体から力が抜けていく。それを見てルーファウスの中指が、みみの中につぷりと埋め込まれた。いいところを指の腹で静かに刺激しながら、中を慣らしていく。少しずつみみの息が上がり始めた。
みみの口を開けさせ、ルーファウスが舌を滑り込ませる。みみの舌を誘い出し、舌先をチロチロとくすぐってやると、中の刺激と相まって鼻にかかった声が漏れ出した。
「んっ……ふ……」
みみの腰が揺れ出す。身を震わせながら、つま先に力が入った。
「ぁ、んんっ!!」
「お前のいいところを知っているのは誰だ?」
「……ルー」
「そうだ。だが、ここがまだだ」
ルーファウスの長い指がみみの1番奥まで差し込まれる。指先がみみの最奥の柔らかいところに触れて、優しくほぐすように小刻みに振動させた。みみの腹にピクリと力が入ったの感じて、動きを変える。
一定のリズムでとんとんと軽く押してやると、ムズムズとした感覚にみみの口からホッと吐息が出た。その感覚がちょっとずつ腰から上へと上がっていく。みみの蕩けて来た顔に根気よく刺激を続けてやる。
「ぅ……ん……」
「気持ちよくなってきたみたいだな」
「ぁ、ぁ……、お、く、だめ……」
「そんな顔をして、なにがダメなんだ?」
「からだ、へ、ん……、ぅぁ」
みみの中がルーファウスの指をキュッと締め付けて、小さく達した。それを認めたルーファウスが意外と早かったなと言って指を引き抜く。それにみみが微かに声を出した。
ルーファウスがスラックスと下着だけを脱ぎ、大きくそそり立ったモノにスキンを嵌めてゆっくりとみみの中に呑み込ませていく。大きなモノの鈴なりが否応なしに、みみのいいところを擦って先が最奥へと届いた。だが、まだ全て入りきっていないソレをぐっと中まで押し込む。
「うぅっ……」
みみの背中が反って苦しげな声を上げた。みみの膝裏に手を差し込み、先ほどのリズムでルーファウスがテンポ良く中を小突いていく。少々強くなったノックも指よりも確実に太いソレも、今し方感じた僅かな快感を少しずつみみの体に記憶させていった。
「ぁっ、ぁぁ……」
奥をノックされるたびにみみの口から甘い声が出るようになってきた。中を小突くリズムに合わせて、小さなあえぎ声を上げる。ブルブルと震え出したみみの下腹部をルーファウスの綺麗な指先がぐっと押し込み、ごりっとした刺激をみみが受け止めた。
「きゃぁぁっ!!」
今までより一際大きく、悲鳴にも似た嬌声を上げてみみが果てる。ルーファウスがククッと喉で笑った。
「奥でイくのは相当気持ちいいらしいな。慣れれば挿れていなくても、外からの刺激でイけるらしい。今後が楽しみだ」
ルーファウスが不適な笑みを浮かべそう言って、みみをコロンとうつ伏せに転がす。後ろから突き立てられているモノにグッとみみの喉が鳴った。
「そろそろ私も愉しませてもらおう」
「あっ、ぅぁっ、やぁ……」
ルーファウスが大きくみみの中を穿ち始める。先まで引き抜き、根元まで押し込んだ。その度に肌の打ち合う音が小気味良く部屋に響いた。慣れ始めた奥が、強くなった押し込みに素直に反応する。いいところを擦られる快感も重なり、上り詰めるのが早かった。
「ぁん……、っ……ぁ……」
「このっ、愉しみがあるのに、他の者を抱く、理由があるか? みみ」
みみが問いかけにフルフルと首を降った。みみは大きすぎる快感を体に刻み込まれていく。自分でも驚くほど大きくなってきた喘ぎ声に耳を塞ぎたくなるけれど、手はシーツを力一杯に握りしめることしかできなかった。涙が自然と流れてきて、押し寄せる波に耐える。
「ひぁっ! ぁっぁぁああっ!」
みみは思い切り奥を穿孔されて、背中をしならせて大きな声を上げる。顔を上げて喉を突き出して、苦しそうに果てた。中の締め付けにルーファウスが小さく呻き声を上げたが、律動は止まらなかった。
「イった……、イ……るー、ま、って……ひぅ!」
「何度でもイけ。その感覚を体で覚えろ」
「ひぁっ、や……、ひぅぅんっ!」
与え続けられる快感に達しながら、みみの意識が途切れそうになってくる。痺れた思考と、疲れてきた体は壊れそうだった。
ルーファウスは丁寧に奥を穿ちながら、徐々に迫ってくる吐精感を覚え始める。小刻みにみみの中が収縮し、奥が先に吸い付いてきた。
「も……、だ、め、っっんぁあっ!!」
「ぅっく……」
みみが最後に達したキツい締め付けに、その吐精感が弾けてスキン越しにドクドクと吐き出した。ぶるりと背中が震えて余韻に浸る。少し上がった息で下にいるみみを見下ろすと、みみが少し乱れた呼吸で体を痙攣させて眠りに落ちていた。
ルーファウスはみみに仕事を詰め込ませすぎたなと苦笑いしながら、みみをそのまま寝かせてやることにした。
想定外の時間を食ったが仕事を再開するかと、乱れた服を整え社長机へと向かう。次の朝、ツォンからの謝罪でルーファウスが珍しく大笑いしたのは言うまでもない。
「社長はいるか?」
「ただいま、仮眠中です。今日はその後も仕事が立て込んでいるので、明日以降にしていただけますか?」
「……なにか、あったのか?」
ツォンはどうも不機嫌なみみの様子を感じ取ったらしい。大体こういう時は社長関連なのだとツォンは思った。
「別になにもありません」
「それじゃあ困る。明日までに……」
「社長次第です」
棘のある物言いにツォンは大きく溜め息をついた。やはり社長だったかと内心笑う。
「最近の社長の女性関係は……」
「女性関係? いや、特にないはずだが……」
「本当ですか?」
「なにをそこまで気にしている」
「絵麻さんに教えていただいたんです!」
ツォンは耳を疑った。まさかこんなところで妻の名前を聞くとは思っていなかったし、みみの機嫌が悪い理由が社長だけではなく絵麻だとは考えてもみなかった。
みみはむすっとしながらツォンを追い出しにかかる。
「今日はもう、社長は誰ともお会いにはなりません」
「わかった。うちのがすまない。とりあえず、明日の朝一番に来ると伝えておいてくれ」
「わかりました」
ツォンは再び溜め息をついて69階を後にした。
―――※―――※―――
「なんだこれは」
みみに起こしてくれと頼んだ時間までもう少し。だが、目を覚ましてまさか自分の手が縛られているなんてルーファウスは考えてもみなかった。キツく結んだつもりなのだろうが、護身術を身につけているルーファウスには解くことは造作もなかった。だが、これをやったのはみみしかいないだろうと考えて、とりあえずこのままにしておく。理由を聞かなければならない。みみにもなにか思うところがあって、こんな行動に出たのだろう。
くだらない理由ならどうしてくれようかと考えて口の端が上がった。
その数分後だった。時間ぴったりにみみが仮眠室へと起こしに来る。ドアがすーっと開いて、みみとルーファウスの目が合った。みみは不機嫌そうにムッとしているし、それを見たルーファウスは呆れながらも笑いそうになる口元を引き締めた。
「お目覚めになっていたんですね」
「ああ。とても愉快な目覚めだ。お前だな? みみ」
「はい」
みみがはっきりと言い切る。ルーファウスが噛み殺していた笑いを堪えきれずにクククと喉を鳴らした。
「なにが目的だ?」
「社長とゆっくりお話がしたかったんです」
「こんなことをしなくても話なら――」
「はぐらかされると思いましたので」
相手の会話を遮ることは秘書として本来あってはならないことだが、今回ばかりは気にしている余裕はなかった。ルーファウスは口がうまい。ペースに乗せられたら負けてしまう。
ルーファウスはみみが珍しく話を遮るほど、なにか思うところがあるのだと思った。次はなにを言い出すのかと待つ。
「なにか身に覚えはありませんか?」
「ないな。思い当たると言えば、仕事量が多すぎることか?」
考える間もなくルーファウスが言い切る。そして愉しむように思いついた、冗談にも似た言葉を続けた。みみがますますムスッとしたのを見て、そこから飛躍したんだなと考え至った。
「それもありますけど、違います。最近、誰かと寝ましたか……」
最初は威勢のよかったみみの声が、少しずつ震えていく。みみはそんなつもりじゃなかったのに、かなり心に来ていると自分でも感じ取った。
そういうことか。ルーファウスは誰にそんな入れ知恵をされたのかと思考を巡らせるが、いまいち思い当たる人間が見つからない。
そもそも恋人というお気に入りがいる時点で、他の女になど興味はないのだがどうも信用されていないらしい。
「最近、誰と寝たかと聞かれればお前としか言いようがないが、私は誰と寝たことになっている?」
「思い当たることはありませんか?」
「ああ。ない」
「……ただすちゃん、とか」
(ただす? ああ、レノのか)
誰があり得もしないことを吹き込んだのか聞くのは後にするとして、どうやって解消してやろうかとルーファウスはほくそ笑んだ。
「私がなぜレノの女を抱かなければならない」
「つい先日の仕事の時の護衛は彼女が――」
「抱き心地のいいやつはもう目の前にいるだろう」
話はそれだけか? とルーファウスは言い放って、手首を縛っていた紐をいとも簡単に解いて見せた。ルーファウスの恥ずかしげもなく言ってのける言葉と、解かれた紐にみみがぐっと押し黙った。
ルーファウスがみみの驚いている顔にニヤリと笑った。ベッドから出て、ドアの前で突っ立ったままでルーファウスを見ていたみみの腕を掴む。みみの体がビクッと跳ねた。ルーは手に余り力を入れないように配慮しながらベッドの方へとみみを引っ張っていく。軽い力でぽいっとみみをベッドに倒した。柔らかいマットレスは柔らかくみみを包み、沈み込ませた。ルーファウスがみみの上に跨がるように見下ろす。
「あ、の、しゃちょう?」
「さて、私のものだと自覚が足りないらしいな。みみ」
「え、あ、え……」
みみは目の前で愉しそうに微笑んでいるルーファウスの顔を見上げた。背筋がゾクリとする。
「誰が、誰を抱いたのか、もう一度言ってみろ」
「……あの」
ルーファウスがん? と追撃を飛ばしながら、丁寧にみみのブラウスのボタンを外していく。ボトムスのホックに手がかかって、徐々に露わになっていく素肌にみみが少し身構えた。
「私が服を脱がすのも……」
ルーファウスの華奢で大きな手がみみの腰を撫で上げる。
「……っ」
「私が肌に触れるのもお前だけなのだが……、今は証明する術がないな」
ルーファウスが口元をみみの耳へと近づける。
「ならば体に覚えさせるしかあるまい」
低く囁かれた声にみみの体が震えた。働いていなかった思考が、余計に働かなくなり、言葉がなにも出てこない。ルーファウスの左手が、体を隠そうと動いたみみの両手をまとめ上げた。薄い唇がみみの耳に触れる。少しずつ下へ滑らせ、首を伝い、胸元へと降りていった。
みみがくすぐったさに体をくねらせ、胸元で鳴ったリップ音に息が漏れた。
「しゃ……」
「いつもなんと呼べと言っている?」
「……るー」
「ああ。そう呼ばせているのはお前だけだ」
みみのブラジャーの前土台に人差し指を引っかけ、上へとずらし上げる。みみの胸がブラジャーの外れた反動でぷるんと揺れた。乳房の柔らかさを確かめるようにルーファウスの唇が押し当てられる。
「ぁ……」
みみの口からか細い声が漏れて、ルーファウスがふっと笑った。手がやわやわと胸を揉み、舌がそっと撫で上げた胸の頂を硬くさせる。ちゅっと吸い上げた刺激にみみの体がピクンと跳ねた。
ルーファウスが頂を口で遊びながら、空いた手がみみの下腹部をそっとくるくると撫でる。その手つきにみみが足をすり合わせて、みみの下半身が甘く疼いた。
「優しくしてきてやったとは思うが、試したいことがある」
「るー……?」
するんと脱がされたボトムスとショーツに、みみの息が詰まる。ルーファウスがみみの手を解放したが、逃げられないように少し体重を掛けた。ルーファウスの手が秘部へと伸びていき、芽をすっとさすった。
「ん……」
みみの鼻から声が漏れる。すでに濡れていた秘部は、ルーファウスの指の滑りをよくさせた。くちゅりと音を立てさせて、指の腹が芽の上を往復する。みみの足がガクガクと震えだした。
「ぁっ……、ゃぁ……」
みみの口から漏れ出した甘い声にルーファウスが口元に弧を描いた。
「あっ、あぁっ!」
快感の波がみみの腰から背中へと駆け上がって、甲高く大きな声を上げさせる。
「みみ。お前は今、誰に、イかされた?」
唐突に合った透き通った青い目に、みみがゴクリと唾液を飲み込んだ。答えろと言わんばかりの目に口が動く。
「ルー、です……」
「そうだ。いい子だ」
低い声に、みみはなぜか安堵を覚えた。
初めて唇が重なる。ルーファウスの舌がつつっとみみの唇の合わせ目をなぞり、下唇にちゅっと吸い付いた。何度も食み、少しずつみみの体から力が抜けていく。それを見てルーファウスの中指が、みみの中につぷりと埋め込まれた。いいところを指の腹で静かに刺激しながら、中を慣らしていく。少しずつみみの息が上がり始めた。
みみの口を開けさせ、ルーファウスが舌を滑り込ませる。みみの舌を誘い出し、舌先をチロチロとくすぐってやると、中の刺激と相まって鼻にかかった声が漏れ出した。
「んっ……ふ……」
みみの腰が揺れ出す。身を震わせながら、つま先に力が入った。
「ぁ、んんっ!!」
「お前のいいところを知っているのは誰だ?」
「……ルー」
「そうだ。だが、ここがまだだ」
ルーファウスの長い指がみみの1番奥まで差し込まれる。指先がみみの最奥の柔らかいところに触れて、優しくほぐすように小刻みに振動させた。みみの腹にピクリと力が入ったの感じて、動きを変える。
一定のリズムでとんとんと軽く押してやると、ムズムズとした感覚にみみの口からホッと吐息が出た。その感覚がちょっとずつ腰から上へと上がっていく。みみの蕩けて来た顔に根気よく刺激を続けてやる。
「ぅ……ん……」
「気持ちよくなってきたみたいだな」
「ぁ、ぁ……、お、く、だめ……」
「そんな顔をして、なにがダメなんだ?」
「からだ、へ、ん……、ぅぁ」
みみの中がルーファウスの指をキュッと締め付けて、小さく達した。それを認めたルーファウスが意外と早かったなと言って指を引き抜く。それにみみが微かに声を出した。
ルーファウスがスラックスと下着だけを脱ぎ、大きくそそり立ったモノにスキンを嵌めてゆっくりとみみの中に呑み込ませていく。大きなモノの鈴なりが否応なしに、みみのいいところを擦って先が最奥へと届いた。だが、まだ全て入りきっていないソレをぐっと中まで押し込む。
「うぅっ……」
みみの背中が反って苦しげな声を上げた。みみの膝裏に手を差し込み、先ほどのリズムでルーファウスがテンポ良く中を小突いていく。少々強くなったノックも指よりも確実に太いソレも、今し方感じた僅かな快感を少しずつみみの体に記憶させていった。
「ぁっ、ぁぁ……」
奥をノックされるたびにみみの口から甘い声が出るようになってきた。中を小突くリズムに合わせて、小さなあえぎ声を上げる。ブルブルと震え出したみみの下腹部をルーファウスの綺麗な指先がぐっと押し込み、ごりっとした刺激をみみが受け止めた。
「きゃぁぁっ!!」
今までより一際大きく、悲鳴にも似た嬌声を上げてみみが果てる。ルーファウスがククッと喉で笑った。
「奥でイくのは相当気持ちいいらしいな。慣れれば挿れていなくても、外からの刺激でイけるらしい。今後が楽しみだ」
ルーファウスが不適な笑みを浮かべそう言って、みみをコロンとうつ伏せに転がす。後ろから突き立てられているモノにグッとみみの喉が鳴った。
「そろそろ私も愉しませてもらおう」
「あっ、ぅぁっ、やぁ……」
ルーファウスが大きくみみの中を穿ち始める。先まで引き抜き、根元まで押し込んだ。その度に肌の打ち合う音が小気味良く部屋に響いた。慣れ始めた奥が、強くなった押し込みに素直に反応する。いいところを擦られる快感も重なり、上り詰めるのが早かった。
「ぁん……、っ……ぁ……」
「このっ、愉しみがあるのに、他の者を抱く、理由があるか? みみ」
みみが問いかけにフルフルと首を降った。みみは大きすぎる快感を体に刻み込まれていく。自分でも驚くほど大きくなってきた喘ぎ声に耳を塞ぎたくなるけれど、手はシーツを力一杯に握りしめることしかできなかった。涙が自然と流れてきて、押し寄せる波に耐える。
「ひぁっ! ぁっぁぁああっ!」
みみは思い切り奥を穿孔されて、背中をしならせて大きな声を上げる。顔を上げて喉を突き出して、苦しそうに果てた。中の締め付けにルーファウスが小さく呻き声を上げたが、律動は止まらなかった。
「イった……、イ……るー、ま、って……ひぅ!」
「何度でもイけ。その感覚を体で覚えろ」
「ひぁっ、や……、ひぅぅんっ!」
与え続けられる快感に達しながら、みみの意識が途切れそうになってくる。痺れた思考と、疲れてきた体は壊れそうだった。
ルーファウスは丁寧に奥を穿ちながら、徐々に迫ってくる吐精感を覚え始める。小刻みにみみの中が収縮し、奥が先に吸い付いてきた。
「も……、だ、め、っっんぁあっ!!」
「ぅっく……」
みみが最後に達したキツい締め付けに、その吐精感が弾けてスキン越しにドクドクと吐き出した。ぶるりと背中が震えて余韻に浸る。少し上がった息で下にいるみみを見下ろすと、みみが少し乱れた呼吸で体を痙攣させて眠りに落ちていた。
ルーファウスはみみに仕事を詰め込ませすぎたなと苦笑いしながら、みみをそのまま寝かせてやることにした。
想定外の時間を食ったが仕事を再開するかと、乱れた服を整え社長机へと向かう。次の朝、ツォンからの謝罪でルーファウスが珍しく大笑いしたのは言うまでもない。