エッジの街の高層ビルにあるホテルの最上階。関係企業を集めて開催されたクリスマスパーティーは、煌びやかなライトときらめく装飾で彩られ、広々としたバンケットホールには招待客の笑い声が響いていた。天井から吊り下がるクリスタルのシャンデリアが、雪の結晶のように輝きを放つ。

ルーファウス神羅は、ホールの片隅でグラスを持ち、周囲を観察していた。どこにいてもその存在感を隠せない彼は、完璧なスーツを身にまとい、冷ややかだが威厳ある表情を浮かべている。その視線は、会場の中ほどに立つみみに向けられていた。

みみはシャンパンゴールドのドレスを纏い、周囲の注目を一身に集めていた。柔らかな髪を片側に流し、その笑顔は彼女の持つ優しさと品を引き立てている。しかし、ルーファウスは彼女が笑顔を向ける相手に不快感を覚えていた。

その相手――エドワードは、みみの元恋人であり、現在彼女への執着を隠そうとしない大企業の御曹司だった。エドワードはみみの手にワイングラスを渡しながら、親しげな笑みを浮かべている。その態度は、過去の関係を強調するかのようで、ルーファウスの胸に嫉妬の炎を燃え上がらせた。

「相変わらず綺麗だね、みみ。こうしてまた君と話せるなんて、僕にとってクリスマスプレゼントのようだ。」
エドワードの軽口に、みみは困惑した表情を浮かべながらも、無礼にならないように応じた。「そんなことを言われても困りますよ、エドワードさん。私はただここで、神羅の秘書としての役目を果たしているだけです。」

「神羅の秘書として?それだけなのかい?」
エドワードは一歩彼女に近づき、その声を低めた。「僕たちにはまだ話し合うべきことがあるはずだ。君がどんなに否定しようと、僕は君を諦められない。」

その瞬間、ルーファウスがゆっくりと二人に歩み寄った。青い瞳には氷のような冷たい怒りが宿り、彼の存在感が一気に周囲の空気を変える。

「エドワード、ここでの話は終わりだ。」ルーファウスの低く鋭い声が、パーティーのざわめきの中でもはっきりと響く。

エドワードは振り返り、ルーファウスを見てわざとらしく笑った。「おや、神羅の社長様。彼女の時間を少し拝借していただけだよ。過去の友人としてね。」

「君の言う『友人』が、彼女に不快な思いをさせていることに気づかないのか?」
ルーファウスの声には怒りを抑えた冷静さがあったが、その裏にはみみを守ろうとする強い意志が感じられた。

みみは二人の間に立ち、軽く首を振った。「エドワードさん、私はあなたと話すつもりはありません。それ以上、私たちに干渉するのはやめてください。」

エドワードは一瞬表情を曇らせたが、すぐに余裕を装いながら肩をすくめた。「そうか……でも、僕はまだ諦めるつもりはないから。君が間違いに気づく日を待っているよ。」

彼が去った後、ルーファウスはみみの手を取り、自分の視線に引き寄せた。その瞳には嫉妬の残り火がちらついていたが、彼女を思う深い愛情が滲み出ていた。

「君、大丈夫か?」
ルーファウスの問いに、みみは安心したように微笑んだ。「ええ、あなたがいるから。」

ルーファウスはみみを見つめ、その手をしっかりと握り締めた。彼の中で燃える嫉妬は、みみへの愛とともに静かに消えていく。

外の夜空では雪が降り始め、窓越しに見えるその景色が、二人の未来を白く純粋なものに染め上げているかのようだった。