煌びやかなシャンデリアが眩い光を放つホテルの大ホール。関係企業の重役やその家族、招待された一流の客人たちが集うクリスマスパーティーは、まるで豪華な絵画の一部のようだった。
その中心で、みみは煌びやかなドレスを纏いながらも、どこか居心地の悪さを感じていた。視線の先には、完璧な笑顔を浮かべながら他社の重役たちと談笑するルーファウスの姿があった。彼の存在感は圧倒的で、ホールにいる誰もが彼を一目置いているのが明らかだった。

しかし、みみの心は少しざわついていた。
今日のパーティーには、ルーファウスに長年想いを寄せる令嬢、エリザベート・カミングスも参加していた。エリザベートはある大企業の令嬢で、美しさも家柄も完璧と言える女性だった。

「秘書さん、楽しんでいる?」
みみの横に立つエリザベートの声には、柔らかさの中に棘があった。彼女は真紅のドレスを完璧に着こなし、その美貌は周囲の目を釘付けにしていた。

「ええ、楽しませていただいています。」
みみは礼儀正しく微笑み返したが、エリザベートの目は冷たく、どこか嘲るようだった。

「あなたも大変よね、社長のような忙しい人のお世話をするなんて。でも、きっとプライベートな時間なんて取れないでしょう?こういうパーティーのような場でしか近づけないなんて、少し可哀想だわ。」

みみは一瞬、言葉に詰まった。エリザベートの言葉には、彼女がみみの立場を軽んじている意図が明確に含まれていた。


### 令嬢の狙い

その後、エリザベートは意図的にルーファウスに近づき、身体を触れるほど接近した。談笑の中で彼の腕にそっと手を置き、まるで恋人同士のような距離感を演出していた。ルーファウスはその行為に無反応でいようとしたが、明らかに苛立ちを隠せていなかった。

みみは遠目にその様子を見ながら、胸が締め付けられる思いだった。彼女の中で、ルーファウスが靡くことはないという確信と、それでもエリザベートの美しさや地位に圧倒される自分への劣等感が交錯していた。

「ねえ、ルーファウス様。私は以前から、あなたがどれほど素晴らしい方かを知っています。もし、少しでも私に興味があるのなら…」
エリザベートが低い声でささやきながら、ルーファウスの耳元に顔を寄せた。

しかし、彼は冷たい目を向け、静かに言葉を返した。
「エリザベートさん、あなたには期待されていることが多いのは理解しています。しかし、私のプライベートな領域に踏み込むのはお控えください。」


### ルーファウスの選択

それから数分後、ルーファウスはみみの元へと戻ってきた。エリザベートの視線が鋭く二人を追っていることに気づきつつ、ルーファウスはみみの手を取り、そのままホールの隅へと誘った。

「みみ、少し外に出よう。」

二人は静かにホールを抜け、ホテルの庭園に出た。冷たい冬の空気が肌を刺すが、ルーファウスの温もりがそれを忘れさせた。

「ごめん、嫌な思いをさせたな。」
ルーファウスの声には深い誠実さがあった。

「大丈夫です。でも…」
みみが言葉を紡ごうとした瞬間、ルーファウスは彼女の肩を優しく抱き寄せ、耳元で囁いた。

「誰が何を言おうと、誰が何をしようと、俺が愛しているのはお前だけだ。」

その瞬間、みみの中にあった全ての不安が溶けていった。庭園の木々が冷たい風に揺れる中、ルーファウスの唇がみみの額に触れた。その光景をホールの窓越しに見ていたエリザベートは、顔を曇らせながらその場を後にした。


### ハッピーエンド

翌朝、エリザベートは何も言わずにコスタを去ったという話をルーファウスの部下から聞いた。みみはそっと安堵の息をつき、隣にいるルーファウスの顔を見上げた。

「ルー、ありがとう。」
「礼なんていらない。ただ、これからもお前は俺のそばにいればいい。」

冷たい冬の日差しが差し込む中、二人は静かに手を取り合った。その絆は誰にも壊されることがないと確信しながら。