クリスマスパーティーが始まって間もなく、ルーファウスとみみの周囲には絶えず人が集まった。関係企業の重役や令嬢たちが挨拶に訪れ、社交界の華やかさを存分に感じさせる。みみはルーファウスの隣で笑顔を絶やさずにいたが、慣れない環境に少し緊張していた。

ルーファウスはそんなみみの様子をしっかりと捉えていた。周囲との会話をそつなくこなしながらも、ふとした瞬間に彼女へ視線を向けるたび、その瞳には微かな不安と愛おしさが宿っていた。

「飲み物を持ってきますね。」
みみが小さく告げると、ルーファウスは頷くだけで彼女を引き止めなかった。その隙間を狙ったかのように、幾人かの男性がみみに声をかける。

「綺麗なドレスですね、お似合いですよ。」
「お一人でいらっしゃったんですか?」

褒め言葉のシャワーを浴びながら、みみは内心で困惑していた。彼らの言葉が悪意に満ちているわけではなかったが、ルーファウスが目にしたらどう思うだろう――そんな考えが頭をよぎった。

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みみがドリンクを手に戻ると、すでにルーファウスは新たな令嬢たちに囲まれていた。背筋を伸ばし、涼やかな微笑みを浮かべるその姿は完璧で、まるで他人のように遠く感じられる。

「みみ。」
彼が気づき、手を軽く差し出す。みみは胸を締めつけられるような感覚を覚えながらも、その手を取った。

令嬢たちは一瞬だけ視線を交わし、みみに軽い会釈をする。だがその瞳には明らかに警戒と嫉妬が見え隠れしていた。

「社長様のお相手とは、随分と光栄ですね。」
どこか皮肉めいた声色に、みみは言葉を詰まらせる。

「彼女は私の秘書であり、それ以上の存在だ。」
ルーファウスの冷ややかな一言が場を凍りつかせた。令嬢たちは何も言えず、退散していく。

「……ルー、あんな言い方しなくても。」
「必要なことを言っただけだ。」
ルーファウスの声は低く、隣にいるみみには彼の内心が手に取るようにわかった。

嫉妬。独占欲。そして――自分への強い執着。

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その夜の終わり、二人きりになれる時間は思いがけず早く訪れた。会場を抜け出し、屋上のテラスに立ったみみは、冷たい夜風に肩を震わせた。

「寒いか?」
後ろからルーファウスがコートを彼女の肩にそっとかけた。その動きは優しく、彼の言葉よりも多くを語っていた。

「ありがとう……でも、ごめんね。」
「何がだ。」
「私がこんな格好して、誰かに声をかけられたりして……嫌だったでしょ?」

ルーファウスはしばらく答えなかった。そして、みみの肩を掴んで自分のほうへ向けた。

「嫌に決まっている。」
冷静な彼が感情を露わにする瞬間は稀だ。だからこそ、その言葉はみみの心に深く突き刺さった。

「俺は、他の誰かがお前を見ることさえ耐えられない。」
みみの頬が熱くなる。だが、そんな彼の気持ちを重くは感じなかった。むしろ、自分も同じだと気づいていた。

「……私もだよ。」
「ならいい。」
ルーファウスはそれ以上何も言わず、彼女を抱き寄せた。

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その夜の満天の星空の下で、みみは彼の鼓動を耳にしながら思った。
誰よりも近くにいられるのは自分だけ――それが何よりの証明だと。