静まり返った夜の寝室。月明かりがカーテンの隙間から薄く差し込む中、みみは眠りの中で苦しげに眉を寄せ、肩を小刻みに震わせていた。

「……いや……やだ……行かないで……」

微かな声が漏れ、彼女の頬を一筋の涙が伝う。その涙が枕に染み込むころ、隣で眠っていたルーファウスが気配に気づいた。

「みみ?」

彼はすぐに起き上がり、眠りの中で苦しむ彼女の肩にそっと触れた。

「みみ、目を覚ませ。大丈夫だ。」

彼の静かな声と優しい揺れが、みみを悪夢の世界から引き戻す。ぱっと目を開いた彼女は、涙で濡れた頬を晒したまま、彼を見つめた。

「ルー……」

彼女は唇を震わせ、次の瞬間、声を上げて泣き出した。

「どうした、何があった?」

ルーファウスは動揺しながらも、彼女をしっかりと腕の中に包み込んだ。みみは彼の胸に顔を埋め、涙をこぼし続ける。

「夢で……ルーが私に別れを告げるの……冷たい顔で、何も言わずに……遠くに行っちゃうの……」

途切れ途切れの声でそう告げる彼女の言葉に、ルーファウスの眉が微かに動いた。

「そんなことは絶対にありえない。」

彼は断言するように言い、みみの肩を少しだけ引き離して顔を見つめた。涙で濡れたその瞳に、自分の言葉を届けるようにまっすぐに。

「お前がそんな不安を抱えているなんて、気づけなかった俺が悪い。でも、これだけは覚えておけ。お前を置いてどこかに行くなんて、俺には絶対にできない。」

「でも、私は……」

みみの不安げな声を遮るように、ルーファウスは彼女の額にそっとキスを落とした。

「話はいい。お前の不安も悲しみも、全部俺が消してやる。」

彼は額から頬、そして瞼に優しくキスを重ねていく。そのたびにみみは少しずつ肩の力を抜き、涙が止まるのを感じた。

「ほら、もう泣くな。お前は俺のそばにいるべきだし、俺もお前のそばにいる。それは、これから先も変わらない。」

最後に唇に触れた彼のキスは、優しさとともに確かな愛を感じさせるものだった。

「ルー……ありがとう……」

みみは彼の胸に顔を埋めながら小さく呟いた。ルーファウスはその小さな声に微笑みながら、彼女をしっかりと抱きしめ続けた。

その夜、彼の腕の中で眠りについたみみは、もう悪夢を見ることはなかった。そして、ルーファウスもまた、彼女の温もりを感じながら、自分のすべてで彼女を守り抜く決意を改めて固めたのだった。