夜も更けた豪華なパーティー会場には、きらびやかなシャンデリアの光が降り注ぎ、軽やかな音楽が響いていた。関係企業の幹部たちが集まるこの一夜の社交場で、ルーファウスとみみは堂々たる存在感を放っていた。しかし、みみが珍しく手にしていたワイングラスの中身が減るごとに、彼女の表情が少しずつ緩んでいくのをルーファウスは見逃さなかった。

「みみ、飲みすぎていないか?」
ルーファウスが低い声で問うと、みみは赤らんだ頬を軽く振り、「大丈夫です、社長」と、少し上擦った声で答えた。普段冷静な彼女がこんなふうになるのは稀だ。どこか可愛らしく、しかし同時に心配でもあった。

パーティーの終盤、みみはテラスで夜風に当たっていた。ひんやりした空気が火照った肌に心地よかったのか、ふわりと微笑んでいる。その姿を見つけたルーファウスは彼女に近づき、静かに肩に手を置いた。

「少し酔っているようだな。」
みみは彼を見上げ、ふわりと笑う。「少しだけ、気が緩んだみたいです。でも、こんな気持ちになるのもたまには悪くないですね。」

彼女の瞳が潤んで見えるのは、アルコールのせいだろうか。それとも、いつも張り詰めた自分を解放した喜びか。ルーファウスは微かに眉を寄せ、彼女の手を取りながら言った。「そろそろ戻るぞ。こんな場所で倒れられたら困る。」

みみは素直に頷いたが、足元はふらついていた。ルーファウスはため息をつきつつも、その手を離さず、彼女の腰を支えるように歩き出した。控室までたどり着くと、みみはソファに沈み込むように座り、「ありがとうございます、ルー」と小さくつぶやいた。

その呼び名にルーファウスは僅かに目を見開いたが、すぐに口元を緩めた。「酔うと普段は言わないことを言うんだな。」
みみは困ったように笑い、顔を手で隠した。「すみません…少し失礼なことを言ったかもしれません。」

「いや、気にするな。それより、しっかり休め。」
ルーファウスはそっと彼女の額に触れ、熱を確かめるように手を当てた。その指先に触れた彼女の温かさが、彼の胸に奇妙な安堵感をもたらす。ふと見ると、みみは彼を見つめていた。

「どうしました?」と彼が問うと、みみは小さな声で言った。「社長が優しいのは、酔っている私だけに見せてくれる特別ですか?」

ルーファウスは一瞬驚いたが、すぐに微笑む。「いや、お前が特別だからだ。」
その言葉に、みみの顔がさらに赤くなる。それがアルコールのせいなのか、彼の言葉のせいなのか、どちらなのかはわからなかったが、彼女はそっと目を閉じた。

ルーファウスは彼女に毛布をかけながら、耳元で囁くように言った。「お前が倒れる前にここに連れてこられてよかった。次は飲みすぎるなよ。」
みみは眠たげに頷き、彼の声に安心したように眠りに落ちた。

その夜、ルーファウスはみみの隣に座り、控え室で静かな時間を過ごした。周囲の喧騒から離れた二人だけの空間で、彼はただ彼女の寝顔を見つめ、そっと彼女の手を握り締めた。